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初日の憲法審査会はわずか1分で解散に 岸田総理大臣は本気で憲法改正のつもりがあるのか?

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11月3日は憲法公布の日として知られている。時事通信が「憲法改正「首相の本気度」問う声 衆院審査会、初日は1分」という記事を書いている。岸田総理は憲法改正への意欲を示しているが衆議院の初回会合は1分で終わり参議院では開かれていない。岸田さんは本気で憲法を改正するつもりがあるかというのである。タイトルだけを見ると時事通信は憲法改正に前向き。そんな印象を持つ。

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現在の憲法改正議論は3つの目的がある。

  • 時事通信が指摘するように岸田総理は保守派をつなぎとめておきたい。そのために憲法議論が有効だと考えている。
  • 党内に意見の隔たりがある立憲民主党は議論を先延ばししたい。左派リベラルが国民に支持されなくなってきており護憲平和運動が唯一の運動の核になっている団体もあるため護憲運動が手放せないという人たちもいる。
  • 維新・国民民主はうっすらとした左派差別的な風潮を利用し「政権の姿勢には反対だが自分達は左派でもない」と主張したい。政権批判=左派という印象があり、左派という印象がつくと有権者に差別されかねないという意識は選挙連携における共産党外しにもよく現れている。

立憲民主党は「憲法の問題について議論を重ねるべきだ」と議論の先延ばしを図っている。一方で自民党、公明党、維新、国民民主党の間には「緊急事態条項」を憲法に書き加えるべきだという合意が形成されているそうだ。とにかく簡単なものを選んで憲法を変えたいのだろう。

維新は憲法改正議論では与党と協力する姿勢を見せている。これで「自分達は左派ではない」と示すことができる。馬場代表は毎日新聞が「維新・馬場氏、立憲に「退場していただいた方がいい」 憲法審」と書くように立憲民主党排除を通じて立憲民主党の左派色を強調する。政権を狙う野党としては後発なので先発の立憲民主党を抑えたいのであろう。

ではここで岸田総理は憲法改正議論を主導すべきなのかという問題が出てくる。時事通信が書くように「憲法改正議論を主導すれば保守派の離反を食い止め支持率が上がるのか」ということだ。

岸田総理は「増税メガネ」批判を気にして所得税を減税しますと宣言した。だがこの発言はどういうわけか世論からは反発されている。選挙目当ての一時しのぎであって結局は増税が待っているのだろうと認識されてしまったからだ。

日本の政治議論には独特の雰囲気がある。最初にある印象がついてしまうとそれを払拭するのは極めて困難になる。印象によって情報の解釈が歪んでしまう上に、みんなの意見を聞いて追随する人も多いからだ。

そもそも各会派は憲法改正の中身にはあまり興味がなさそうだ。彼らが興味は「憲法改正議論によってどのような支持層をつなぎとめておけるか」という問題だけである。既に岸田総理には「結局は国民に負担増を押し付けるつもりなのだ」という印象がついている。そこでSNSの意見を気にして憲法改正議論に加わってしまうと「また問題を隠すために憲法を利用した」と言われかねない。

日本の政治運動は問題解決よりもどのような政治的立場を表明すれば自分の立場をより有利に見せることができるかに力点が置かれることが多い。憲法のような抽象的な問題は特にその色合いが強いのかもしれない。現在の積極改憲派には日本保守党のような代替選択肢も現れている。彼らが憲法改正にどのようなアプローチで臨むのかにも注目が集まる。今の所、国体護持にふさわしい憲法を作るべきだというような説明になっている。

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