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TPPの議論 – 民進党は自民党の存続を願っているという説

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最初にお断りしておくと、これはいわゆる陰謀論で、根拠はない。
TPPの審議がストップした。政府自民党の広報である読売新聞によると安倍政権はTPP議論を先送りする方針らしい。これを見ていくつかのことを思った。
第一に自民党の中には反TPPの人たちがいる。西川公也議員は安倍政権に協力するフリをしているのだが、背後では自爆攻撃を計画した。政府が秘密にしているという外交交渉過程を暴露することで、野党に付け入る隙を与えているのである。でなければ、野党の人たちがゲラを手に入れることができるはずなはない。もし、官僚が勝手にリークしたなら、彼の将来はなくなるだろう。これが出版社から漏れたとしても大問題になったはずだ。故に、政治家本人の承諾があったと考えるのが自然だ。
安倍政権は西川議員を放逐できない。選挙前に農水族を放出してしまえば、郵政選挙のときと同じことが起る。あのときは亀井議員などが自民党を離党せざるを得なかった。彼らは後に保守系の野党を立ち上げることになり、今でもいわゆる第三極の中心人物になっている。そもそも有権者は「どっちつかずだが、割れている」という状況を嫌う。いったん対立が表面化すると、対立者を悪魔呼ばわりしなければならなくなる。だが、農水族を悪者にすることはできない。
ここで大きな役割を果たしたのは石原担当大臣だ。お坊ちゃん育ちを絵に描いたような人で、問題に対面できない。環境大臣をしていたときも矢面に立たず、副大臣に丸投げしていたのが記憶に新しい。野党の攻撃にふてくされたような表情で「お前ら(これは国民のこと)なんかに教える情報はないよ」と言い続けた。
構造としては、自民党内部の自爆犯がお膳立てをして、能力のない大臣が答弁するという図式が作られた。野党としては「おいしい」図式だった。
だが、ここで民進党は「追求しない」ことを選んだ。つまり、せっかくの機会を拒否して委員会から立ち去ってしまったのだ。ここはねちねちと石原大臣を攻めるべきだった。これはおかしな動きである。考えられることは2つある。
1つはTPPが選挙の争点になることを避けているというもの。TPPは多国籍企業に有利な取り決めだ。関税問題はそれほど大きくなく、知財保護と公的サービス(医療や公共事業など)のアクセスを保証するものだ。民進党はこうした多国籍企業とつながっており、TPPに悪印象が付くのを避けたいのかもしれない。このままではTPPそのものが議論になることはないだろう。
もう1つは民進党内部に自民党の内通者がいるというものである。実は単に反対をする振りをしているのである。中谷大臣もたいがい大根役者だったが、なんとか舞台を降りずに済んだ。だが、石原さんはお坊ちゃん育ちで撃たれ弱いために、役者が勤まらなかったのだろう。そこで「これはプロレスが成立しない」と考えた民進党側が「怒る振り」をして舞台をたたんでしまったのである。
さて、この陰謀論だがちょっと無理がある。ある程度は正しいと思うのだが、筋書きが複雑すぎるからだ。意外と、自民・民進ともにアメリカの空気が読めなくて四苦八苦しているだけかもしれない。TPPはアメリカ大統領選挙の争点になりつつあり、多くの候補者が反対している。
特に重要なのはオバマ大統領がいつTPPを批准手続きを始めるかなのだが、どうやらすぐには動きそうにない。だから、政治的リスクを背負ってまでTPPを批准する義理はない。かといってやらないというわけにも行かないので歌舞伎芝居をしているのだろう。
TPPは国の形を変える議論だ。おそらくメリットもあるだろうが、デメリットも大きい。もしどちらかの党に愛国心というものがあれば、真剣な議論(真剣な賛成か真剣な反対)が行われているはずだ。だが、多分どちらの党にも自分たちで国の形を決めてゆくという気概はないのだろう。単にアメリカがどう思うかばかりを気にしているのである。
安倍政権に至っては足下の抵抗勢力をまとめることすらできていない。多分、憲法議論が始まれば自民党の分裂は決定的なものになるだろう。その意味では自民党が大勝して自壊に追い込まれるのをみるのが楽しみになってきた。
 

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