山田太郎参議院議員に「不適切な不倫報道」で一つエントリーを書こうと思ったのだが、どうもこの話題は大した騒動になりそうにない。ということで気持ちを切り替えて「なぜ話題にならなかったのか」を考えたい。お相手は(あくまでも文春によるとだが)某美人女優に似た色白美女だったそうだ。
「20代後半のA子は聞き上手で優しい性格。山田氏からの誘いで、数年前から親密な関係になりました」(事情を知る関係者)
山田太郎参議院議員に文春砲による不倫報道が出た。20代後半の女性との不倫ということだ。たいていこうした問題は当初否定から入り文春砲が追い打ちをかけるという展開になる。だが、今回は違っていた。あっさりと不倫を認めて文部科学政務官を辞任した。これがあまり話題にならなかった最初の理由だろう。否定されると追いかけたくなるのが人の性というものだが今回はそれがなかった。
次に山田太郎参議院議員の背景も独特だ。「家庭を大切にします」という好感度で知名度を広げた議員ならばギャップがあったのだろうが、もともと「表現の自由」がテーマになっていた人だった。ネットでの知名度は極めて高いがお茶の間の知名度はそれほど高くない。ワイドショーで扱っても「え、誰?」で終わっていた可能性が高い。
「不倫」で有名になった政治家といえば宮崎謙介氏が思い浮かぶ。不倫を認めて議員を辞職。最近では妻の金子恵美さんとセットで活動することも多い。金子さんが「被害者としての妻」というキャラクターを全面に押し出さなかったことで、スキャンダル当時から「文春砲を浴びるほど人気が出てしまう「宮崎謙介・金子恵美夫妻」強さの秘密」などと言われた。不倫そのものが嫌われているというより「弱い立場にいる妻」に自分達を重ねてしまう視聴者が多いのかもしれない。
「表現の自由」を扱っているくらいだから支援者は道徳観念ギリギリの表現であっても守られるべきだと考えている人が多いはずだ。つまりこの手の問題には耐性がある支援者が多い可能性がある。支援者にとってむしろ問題なのは山田さんが組織で偉くなってゆくうちに当初の支援者と共有していた課題から離れてゆくことなのだろう。
唯一気掛かりなのは文春が「お金のやり取りがあった」と指摘している点だ。山田氏側はこれを否認し法的措置も辞さないとしている。仮に山田さんのお相手が複数人いるならば「買春疑惑」の状況証拠になりそうだが、今の所相手と指摘されている人は1名しかいない。全く法的に問題がなかったとも断定できないが、今後の展開次第といったところ。
本人に知名度がない場合問題になるのが組織への影響である。仮に岸田政権の支持率が高ければ下落余地があったのだろうが、もう下がるところまで下がっている。
あくまでも感覚でしかないのだが岸田総理を主語にしてもあまり記事が閲覧されることはなくなった。むしろ「総理は減税といっているがこんな負担増が計画されている」という記事に注目が集まる。マスコミは「岸田政権に打撃」と報じているが、おそらくこの問題が単体で打撃になることはないのではないかと思う。
それでも野党に支持が集まれば話は別だ。こちらは立憲民主党が共産党との連携話でもめている。
泉健太代表は共産党に選挙協力を持ちかけた。ところが連合は共産党と連携する候補者は推薦しないと言っており、国民民主党は「共産党と組むような政党とは話ができない」として泉代表との面会を拒否した。焦った泉代表は「きっと玉木さんは忙しかったのだろう」と弁明し、のちに共産党には挨拶に行っただけと説明を変えた。これに対して共産党は「あれは党同士の正式な約束である」と反発している。副大臣・政務官に女性が入っておらず今回慌てて女性を後任にしたという杜撰さを攻撃材料にすることはできたのだろうが自民党に対峙できる枠組みを整理して国民に提示しない限り野党が注目されることはないだろう。
最後に山田太郎氏の経歴をおさらいしておく。
「表現の自由の維持」を掲げてネット選挙運動を展開したことで有名になった議員である。みんなの党の比例候補で出馬し2012年に繰り上げ当選。2016年には新党改革の比例で29万票を獲得したが落選し「オタク票は29万票もあるのか」などと注目された。いち早くオンラインサロンも展開しディスカッションや情報提供なども行っている。つまり無党派層であっても潜在的なアジェンダさえ掘り起こすことができれば組織化できると示した議員だった。
山田氏が29万票も獲得したのに当選できなかったのは当時の新党改革に票が集まらなかったからだとされている。このオタク票に着目した自民党からリクルートされ2019年の参議院議員選挙では比例第4位で当選している。得票数は54万票だった。特定枠が2名いるので実質的には郵便局代表の柘植芳文氏に続く第二位の得票数だった。
- 当時は「私の戦闘力は53万です」とオタク層の岩盤支持を誇っている。(IT media)
今回のきっかけになった文春砲によると相手になったのは「有村架純似の色白美女」だったそうだ。ワイドショーを見ている高齢主婦層には絶対に受け入れられないのだろうが、山田氏を支援してきた人たちが気にしているのはむしろ山田氏が表現の自由問題に今後どう取り組むかだろう。組織に取り込まれてしまい表現の自由を維持する活動に熱心でなくなると離れてゆく支援者も多いはずだ。
ただ、この問題はこれで終わりというわけでもない。ネットに出ている文春の記事には書かれていないが記事には「お金のやり取りがあった」ことが仄めかされている。
本人のXの投稿は「しかし性行為の対価として現金を支払ったという内容は事実無根ですので早急な法的対応を検討しております。」ということになっている。立憲民主党の蓮舫参議院議員は「能力あれば法律違反していいわけないでしょ。」と追求の構えだそうだ。確かに法律違反があるのなら追求されるべきだろう。
読売新聞は「男女の関係にあったことは確かだが金銭は支払っていない」として法的対応を検討しているという本人の主張を伝えている。
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