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「4番目の男」マイク・ジョンソン氏が下院議長に選出

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時事通信が「【速報】米下院は共和党のマイク・ジョンソン議員を議長に選出した」という記事を出している。ロイターは「2016年に初当選したジョンソン議員は、ここ数十年で最も経験の浅い下院議長となる。このため政敵が少なかったことも、議長選出の一助となった。」と不思議な伝え方をしている。どうやら経験が浅いことが議長選出の決め手になったようだ。日本の衆議院議長を決めるときに「この人は経験が浅いから」という理由で決まることはないのだから極めて不思議な決まり方だ。

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マイク・ジョンソン氏はルイジアナ州選出の弁護士で2016年が初選出だそうだ。副議長を務めていたがアメリカでもあまり知名度がない。このためアクシオスとCNNはどちらも「マイク・ジョンソン氏とは何者なのか?」という記事を出している。だがこの知名度のなさこそが議長選出の決め手になったようだ。知名度がなく経験が浅いためにトランプの中では最も敵が少なかった。

理由はよくわからないが、Yahoo!ニュースのコメント欄には識者のコメントはついていない。第三の男エマー氏が撤退した直後の出来事だったので、4回目であっさり決まると思っていた人が多くなかったのかもしれない。

Quoraにこの件について投稿したところ、民主党支持の人から「穏健な人とは言えない」というコメントがついた。発言はかなり過激だったようだが、経歴が浅いこともありあまり発言が目立っていなかったようだ。この人は「穏健派が屈服した」と書いている。

CNNを読んで「トランプ支持派であることをかなり強調して書いている」と感じたのだが、このコメントを読む限りそれでも割り引いて書かれていたのだなという気がする。

このところ、Quoraのスペースでは共和党の間にはメインストリームの人たちと過激な人たちとの間に埋めるのが難しい亀裂が生じているというようなストーリーのコメントが入っていた。日本でいうと「商工会議所」の人たちが支える穏健な人たちとネット保守の対立のような図式で語られている。

日本では無党派層の岸田総理離れが進んでいる。安倍元総理と岸田総理を比べると熱心な支持者もいない代わりに極端なアンチもいないと言った状況だ。無党派層だけでなく自民党支持者にも岸田総理の声が響かなくなったと田崎史郎氏が指摘するように「熱」が冷めきっている。

一方共和党は「政治は企業を後ろ盾にする人たちに支配されている」と信じる人たちがこぞってトランプ氏を応援するようになった。つまり共和党はある意味では無党派層の獲得に成功したわけだが、これが却って「毒を内包した」状態を作り出している。

史上初の下院議長解任から再選出までの過程を見ているとネット保守にあたる人たちは数としては少ないが意思決定に大きな力を持っているということがわかる。穏健共和党は彼らに振り回されていたと表現してもいい。結局のところ穏健保守側が制御を諦めてしまい表向き最も反発が少なく見える人を選んでしまったことになる。「屈服」と言えるかどうかは別にして諦めや妥協があったのは確かだろう。

ウクライナの支援継続やイスラエルのガザ問題などこのところ国際情勢をめぐる動きは大きく変化している。アメリカの支援の有無や多寡は国際情勢に大きな影響を持っている。例えばイスラエルのガザへの侵攻が止められるかあるいはそのまま大きな悲劇に向けて突き進んでゆくかについてみてもアメリカがどの程度積極的に関われるのかによって大きく状況が左右される。

下院議長が決まることでアメリカ合衆国はようやく予算審議ができるようになる。だが、仮に「穏健派がトランプ派に妥協してしまった」という指摘が事実であるとするとアメリカの政治は今後さらに不安定かすることになるのかもしれない。これは国際情勢を動揺させる。世界に大きな空白が生まれると「この隙に現状を変更してやろう」という人たちがでてくるわけで、東シナ海・南シナ海も例外ではない。

フリーダムコーカスが信奉するトランプ氏はかなり追い込まれている、かつてのチームメンバー達が次々と罪を認めている。本人はついに自分は政治的迫害を耐え忍ぶネルソン・マンデラのようになるのだなどと嘯(うそぶ)くようになった。このままトランプ氏の神格化もまた進行してしまうのかもしれない。

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