安倍首相が「TPPがイノベーションを加速する」と熱く語っていたとき、ちょうど昔まとめたイノベーションについての資料を読み返していた。10冊程度の本をまとめたWordの文書で37ページになる。当然のことながら、全く記憶にもなく体系化もされていない。困ったなあと思った。
まずやったのは文書の見出しを作り直すことだ。なんとなく、何を書いていたのかは思い出した。だが、困ったことに5ページくらい読むと、何が書いてあったかわからなくなる。世の中には本を読んだだけで体系化できる人もいるのだろうから「才能なくてバカなんだなあ」と思った。
こういうのは紙に書くと良いのではと思ったが、意外と面倒な作業だ。そもそもどうまとめてよいかわからない。
最後に思いついたのがマインドマップを作ることだ。まず「イノベーションとひらめき」という中心課題を作ってから、小さな箱を積み重ねてゆく。あとはこれを組み合わせるだけである。間違ったらやり直せばいいのでとても気が楽である。悪筆も気にならないし、消しゴムもいらない。
特に気に入ったのは縦軸横軸を作らなくてもよいところだ。あのMECEというのが苦手なのだ。多分、拡散的な指向を持っているからだと思う。
イノベーション分野というのは、いくつかの根幹になる要素があり、本来の知識はネットワーク状になるはずだ。例えば、複数の枝に「自発性」の要素がある。だが、この程度体系化できれば、自発性のような共通要素は頭で再構成できる。完全にすべての要素を体系化しなくても構わないわけだ。
もう一つのマインドマップの利点は「足りないところ」がわかることだ。この図の場合「絵を描く」というトピックがあるのだが、あまり枝葉が広がっていない。掘り下げる必要があるのかもしれないし「クリエイティブ」という言葉に引っ張られて関係ない要素を盛り込んでしまったのかもしれない。また、紙一枚で収まらないのなら、やはり手を広げすぎているというべきなのではないかと思う。
マインドマップを作って、改めて思ったのだが、文章というのは人にものを伝えるのにはあまり向いていない。全体像がつかみにくいからだ。かといって、絵にすればよいというものでもない。情報量が多すぎる。パワーポイントのようなブレット形式ならわかりやすいかもしれないが、構造を決めないと作れない。
「パソコンでメモをとっても覚えられない」とか「メモは手書きであるべきだ」という意見もあるのだが、何をすれば「わかった感」が得られるかというのは人によって違うのかもしれないと思った。「今までのやり方ではなんとなくまとまらない」と思っている人にはマインドマップはおすすめである。
イノベーション・プロセスではチームワークが大きな役割を果たしている。問題を解決するためにもチームでビジョンを共有するためにもマインドマップは有効なツールになり得るのではないかと思う。