ざっくり解説 時々深掘り

「なんとなくパッとしない」岸田政権の支持率が26.3%に下落 過去最低に

Xで投稿をシェア

カテゴリー:

実に不思議な状況だ。「内閣支持26.3%、過去最低に 改造「評価せず」45%―時事世論調査」に示された通り内閣支持率が26.3%に下がった。うっすらとした不満は聞こえてくるが大きな反発はない。にもかかわらず「好きか嫌いか」と聞かれるとなんとなく嫌いと答える人が多い。これといった反発の理由がないため、これといった起死回生の策も見当たらない。政治家たちは無党派層の気持ちを掴もうとあの手この手だが、その対応はどこかチグハグである。

Follow on LinkedIn

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで

|サイトトップ| |国内政治| |国際| |経済|






一体どうすれば支持率が上がるのだろうか?

もちろん岸田政権が「増税メガネ」という批判が払拭できていないという点は大きいのかもしれない。だが、調査の内容をよく見ると、内閣改造が良かったのか悪かったのかよくわからないという人が44.3%もいる。さらに支持政党なしが61.1%という状況はすっかり定着した。岸田政権に反発しているというよりは、なんとなくパッとしないから興味がないという人が多いのかもしれない。こうした状況なので当然野党に支持が集まることもない。

「政治に対して興味を持てない」あるいは「興味を持っても仕方がない」という人が増えているのかもしれない。あるいは色々と処理する情報が多く「政治にまで関心が回らない」という人もいるだろう。今すぐ自分の収入が上がったり気持ちがアガルような情報なら欲しい。だがそれ以外には興味がない。そんな状況である。

政治家と有権者の距離が次第に遠くなってゆくと、政治家の提案が仮に有益な者だったとしても誰も評価してくれなくなる。一方で一旦火がつくと手がつけられなくなる。

先日、ワイドショーで埼玉県議会のある条例提案が話題になっていた。

子供を一人で置いておくと虐待にあたるという条例だ。パブリックコメントや委員会採決の時点では全く問題にならなかった、ワイドショーが取り上げると、立憲民主党の議員たちも参加し大騒ぎになった。内容を精査すると「なんでこんなとんでもない提案が」と大騒ぎになり、結局取り下げになった。

もともと「埼玉都民」が多い埼玉県は地方選挙に関する関心が薄い。平均の投票率は3割程度である。議会の細かな審議内容には全く興味が持たれていないのだろう。だが、今回の件は共働きのお父さんお母さんを直接否定するような内容になっていた。だから、瞬く間に炎上した。

この件を見ると「有権者の一人ひとりが政治に参加してもどうせ大した違いは作れない」という気持が強いのかもしれない。だがYahoo!ニュースで取り上げられる程度に大きくなると全国から反発の声が集まる。つまり無関心と炎上がセットになっている。

さらにそもそもなぜ県議団がこのような提案をしたのかがよくわからない。共働き家庭を否定し専業主婦が多い状態を「本来の日本の姿だ」と思っているのではないかとか「宗教が絡んでいるのでは」というような話も出ている。

確かに、記者会見を行った田村琢実県議は「我が家は代々神道の家系である」とXで宣言している。だが、タイムラインを見るかぎり「リベラル系神道」という独特の立ち位置のようである。つまり神道なのに多様性に配慮しているという演出になっている。にもかかわらず「道徳」で条例を作ると「家にはお母さんと子供が一緒にいなければならない」という価値観の押し付けになる。いくら外を飾ってみてもいざという時に地金が出てしまう。そして有権者はそれをめざとく見つける。仮に田村さんがゴリゴリの神道右派であればまだ代わりやすかったが、実はそうではないという演出になっている点に問題の複雑さがあるのかもしれない。

未曾有の政治的無関心の中で今最も慌てているのが公明党だ。やはり無党派の気持ちを掴みかねている。

公明党は支持母体の創価学会が先細る中無党派層の囲い込みの必要性に迫られている。今選挙をやれば維新との競合選挙区で大勢の落選者が出るだろうと言われているためだ。だが長い間支持母体とだけコミュニケーションをとってきたので、今更どうやって無党派の気持ちを引きつけていいのかがわからないようだ。

そんな公明党には「有権者は金券を喜びポイントで動く」と考える人が多いようだ。消費税をとっておいて一部をポイントで還元するという新しい政策を思いついた。「とにかくポイントをつければ有権者が動く」という手法はマイナ健康保険証の時にも使われた。高齢者が見ている地上波で盛んにCMを流した結果、多くの高齢者がこのポイントに引きつけられ、大きな混乱がもたらされた。

公明党には軽減税率で消費税の税率を二本立てにして事務作業を複雑化させた前科がある。現役世代には高騰向けに見えても政府がこのアイディアを採用する可能性は意外と高いのかもしれない。自民党税調は年末までに増税を具体化させなければならないのだが公明党は逆に(選挙はやらずに)減税と現金給付について話し合うべきだと提案している。それなりに必死なのだろうという気はする。

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで

Xで投稿をシェア


Comments

“「なんとなくパッとしない」岸田政権の支持率が26.3%に下落 過去最低に” への2件のフィードバック

  1. 末端公論のアバター
    末端公論

    >「埼玉都民」が多い埼玉県は地方選挙に関する関心が薄い。平均の投票率は3割程度である。

    全く仰るとおりで埼玉県人としてお恥ずかしい限りですが、一方でこういう状況でもあるのです。

    https://www.nhk.or.jp/shutoken/saitama/article/011/20/

    >統一地方選挙の前半戦、埼玉県議会議員選挙は31日告示され、51の選挙区93人の
    >定員に対して141人が立候補しました。選挙区は前回、4年前の選挙と比べて1減っています。
    >このうち16の選挙区のあわせて23人の当選が無投票で決まりました。無投票となった市区町村はさいたま市の3つの区などあわせて31となり、全体の43%に上りました。

    選びたくても選べない、というこの状態では、「埼玉都民」としても権利の行使以前の問題ということで由々しき事態だと考えるところですが、案外地方議会選挙の実態はどこも似たり寄ったりではないのか、とも思えるわけでして。
    少し大仰な言い方になりますが、ある意味地方自治ひいては民主主義の危機を迎えているということが言えるのかもしれません。

    1. 私は千葉9区(逮捕された秋本さんの地盤ですね)なのですが、接戦でどっちみち両方とも当選するという状態が続いています。こうなると、選挙に行っても行かなくてもどうせ同じなんですよね。一応投票はしていますけど、毎回「なんだかなあ」と思います。

      コメントありがとうございました。