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コンサルタントやコメンテータは何を売っているのか

ショーン・Kという人が経歴詐称で活動を自粛することになった。学歴を詐称しており、ハーフでもなかったという。個人的には整形すればハーフ顔になれるんだなあと、ちょっと関心した。西洋人の顔と日本人の顔の違いは実はそれほど大きくないのかもしれない。
ショーン・K氏の才能は嘘をついても顔色を変えないところだ。社会的に問題を起こせば反社会性の障害などといわれるが、却って高い地位に就く人も多い。
大学中退ということだが、テレビではそれほど困っていなかったようだ。コメンテーターとして活躍しており、その発言に専門性がないなどと疑問を持つ人は誰もいなかった。4月からは司会すら決まっていたようだ。つまり、視聴者もテレビ局の人もそれほど専門的な知識を持っていなかったことになる。MBAの基本的な知識を持った人ならば誰でも判断ができるくらいの違和感はあったと思うのだが、それが分かる人はテレビにはいなかったらしい。
では、人々は何を求めていたのだろうか。多分、経営の本場であるところのアメリカ帰りの人が持っている空気みたいなものにあこがれていたのだろう。これはかつてのファッションや音楽に似ている。その昔、パリやロンドンから帰国した人のファッションはおしゃれに見えたし、ロスでレコーディングというとなんとなく格好よく思えた。だが、本場のファッションや音楽というのが本当はどんなものなのか誰も知らなかった。
インターネットが発展した現代では、パリやロンドンからの情報もダイレクトで入手できるので、誰も「洋行帰り」をありがたがらなくなった。逆に日本人でもロスのライブハウスで活躍しているバンドもいる。ファッションでは却ってシンプルな方が格好よいという風潮すらある。受け手(消費者)の間に知識が行き渡ったからだろう。
ここから、経営学や経済というのは、実務の領域からファッションの領域に移りつつあるということが分かる。「イケメン実業家」は稀少で格好いいし、一般人は実業の知識など持ち合わせていないのだ。ショーン・Kさんはその流れにうまく乗ったのだろう。
皮肉なことに、日系アメリカ人のコメンテーターは、立派なキャリアがあっても、あまりありがたがられない。日本の文化に精通していないと「日本人が聞きたがること」を発言できないし、実力よりも肩書きや容姿のようなコンテクストの方が重要なのだということがよくわかる。パトリック・ハーラン氏も芸人出身である。日本人に何が受けるかを経験的に学んだのだろう。コメンテーターというのは基本的に「芸人仕事」なのかもしれない。
コンサルタントやコメンテータは夢を売っていることになる。ある意味お金では買えないものだ。
さて、本題とは全く関係がないが、ツイッターで「だからテンプル大学はいんちきだ」というような書き込みを見つけた。卒業生に一人としては心苦しい限りである。日本の学校制度に沿っていないので、そういう評判があることは知っているが、もともと「誰にでも学問の道を開こう」という趣旨で作られた大学であり、生涯教育にも力を入れている。日本の大学と違って「学びたい」時に学べる学校だ。学歴が欲しいというより、学びたいことがはっきりした社会人も多く通っている。生きた英語が学べるのでぜひ多くの方に興味を持っていただきたい。
 


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