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SEALDsはテロリストになったわけではない

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Twitterを見ていたらSEALDsがテロリスト認定されたというような書き込みを見かけた。『内外情勢の回顧と展望』という文書の一部が画像化されている。これをみると確かにSEALDsに対する書き込みがあり「なるほどSEALDsには近づかないほうがいいな」と思うかもしれない。
ところが実際に『内外情勢の回顧と展望』を読むと印象が違って見える。平和安全法制を戦争法と決め付けた運動が展開されたと書いてあり、背景情報として学生によるデモなんかがあったね、と書いてあるのだ。文脈としてはこうした運動体が過激派左翼の活動家の(公安調査庁によれば、過激派の中には共産党も含まれる)の草刈場になりかねないというようなニュアンスである。
公安調査庁としてはこうした運動を過激派によるものと印象付けたいのかもしれないが、さすがに表立ってそのようなことは言えないだろう。政権打倒を目指す動きは暴力が伴わない限り憲法で保障された国民の権利だからである。左派・左翼の扱いはことのほか慎重で、共産党は準テロリスト扱いなのだが、社民党や民主党の名前は一切出てこない。ほのめかすように「党派を超えて政権批判活動を展開」と書いてある。もし仮に野党の名前を出せば「民主主義を理解していない」と糾弾されるのは明らかだからだろう。だが、よく考えてみれば野党が政権打倒を目指すのは当たり前だ。
ちなみに『内外情勢の回顧と展望』には右翼団体の記述もある。短くはあるが人種差別主義者(レイシスト)に対する記述も見られた。
もっと面白いのは国外情勢のページだ。国際的な脅威といえばイスラム原理主義者のテロが思い浮かぶが、公安調査庁が関心を寄せるのはもっぱら中国・朝鮮・ロシアである。章立てとしてはそちらが先になっている。気分としては東西冷戦を生きているわけである。組織的に一度組み立てられた認知というのはなかなか変えられないものなのだなと思う。
改めて思ったのは権力というのは自然と体制維持を志向するものであり、国民の監視下に置いておかないと暴走しかねないのだなということだ。放置しておくと政権交代そのものが体制破壊活動だということになりかねない。中国や北朝鮮のような一党独裁の国家なら別だが、普通の国ではそれは民主主義の否定に他ならない。


Comments

“SEALDsはテロリストになったわけではない” への1件のコメント

  1. かかしのアバター
    かかし

    ですな。
    SEALDsのことはそこまであまり知らないけど
    暴力がないならテロリストではないでしょうな。
    独裁国家なら
    ちょろっと言葉で批判しただけで
    反逆罪・テロリスト認定だろうけど。

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