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長期金利上昇、円安、12月のFRB利上げ観測の高まり 好調な9月のアメリカの雇用統計を受けて

もはやあまり目先の統計に一喜一憂していても仕方ない状況だが一応流れだけを補足しておきたい。それぞれのニュースを読めばわかる単なる「まとめ」であり特に分析や評論はない。ニューヨークの株価はこのところの悲観からやや反発して終わったようだ。連休明けの日本の株式市場にポジティブな影響があることを望みたい。

アメリカで雇用統計が発表された。失業率が低いまま雇用者数が増えアメリカの経済が順調に成長していることがわかった。これにより12月のFRB利上げ観測が高まっている。

これにより長期金利が上昇(債権価格が下落)する。金利差が開くので円安の流れがやや加速し再び149円水準に戻ってきた。好調な雇用統計は好景気の証なので株価が上がってもおかしくないのだが金利上昇の圧力を受けてニューヨークの株価は一時下がったそうだ。しかしやがて回復して今週の取引を終えている。アメリカの投資家の複雑な心理が伺える。

アメリカの経済は加熱しておりこのまま破綻に向けて突き進むのでは?と一部のエコノミストは心配を始めているようだがアメリカのCMでお馴染みの「エナジャイザー・バニー」のように着実な前進を続けている。エナジャイザー・バニーは電池で動いており電池が切れるまでとにかく前に進み続ける。

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アメリカの雇用統計が発表された。「米雇用者数、9月+33.6万人増で予想大幅に上回る 失業率3.8%」でアメリカの雇用が引き続き好調であることがわかった。このため「米12月利上げ観測高まる、雇用統計好調 米国債利回り上昇」にあるように金利の上昇が予想され国債利回りが上昇した。

この結果アメリカの株式は下落して始まった。日経新聞が「米国株、ダウ続落で始まる 雇用統計受けて金利が上昇」と伝えている。当然円相場も149円台に戻ってきた。円安基調に戻ったのだ。日経は「NYの株は続落で始まる」と書いているが、タイトルに「株が続落」と入れなかったのは、その後株価が回復したからである。チャートを見る限り今週初めの水準に戻っているようだ。投資家たちの複雑な心理状況を反映しているようだが、この記事を書いている時点でなぜ株価が揺り戻したのかの説明は見当たらない。正確な終値と分析については記事を探して読んでいただきたい。


株価の上下動を見ても雇用統計の解釈に対して戸惑いがあることがわかる。アメリカの経済は電池の入ったウサギのおもちゃのように「何かにぶつかるか電池が切れるまで」突進を続けるのではないかと警戒するコメントがいくつもみられる。

例えばこの記事では「何かが壊れる」と書いている。

別のBloombergの記事は「逆イールドが解消傾向にある」というニュースを取り上げている。過去の動向を見るとこれはリセッション(景気後退)を示しているのだが、最終的に「確かなことは何もいえない」と曖昧な結論で締め括られている。目の前で起きていることについて確かな説明がない。

【コラム】逆イールドの急速な縮小、米経済に危険な兆し-オーサーズ(Bloomberg)

別の記事も「過熱」に力点が置かれている。ここでアメリカ人にお馴染みの乾電池のCMに出てくるウサギ(エナジャイザー・バニー)の例えが出てくる。例えたのはサマーズ氏だ。電池仕かけでとにかく電池が切れるまで前進を続けるというCMでお馴染みである。エナジャイザー・バニーにセンサーはないので障害物の前で止まることはないし崖があればそのまま落ちてしまう。このようにアメリカ経済はとにかく前に前にと進み続けている。ただしバニーの前にあるのは平坦な道ではなく「上向きになった傾斜」だ。

とはいえ株式に投資する投資家たちが心理的に安心したいのも確かである。雇用が好調だということは経済が好調なのだと思いたい。投資家は悲観と楽観の間を行き来しているということが最後の記事では説明されている。振り回されているという表現が印象的である。

今週の相場は投資家が振り回されていることを反映する展開で、強弱まちまちの経済データに反応して強気と弱気の間を日々行ったり来たりしている。

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