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ロシア無断渡航の鈴木宗男氏に維新が腰のひけた処分検討 大阪と東京で意見に相違も

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鈴木宗男参議院議員が党に無断でロシアに渡航し話題になっている。維新は何らかの処分を検討するようだが、渡航の是非については問わず、主に手続きの問題での処分になりそうだ。国会議員が個人の政治的主張を持つのは当たり前だが仮に維新と鈴木宗男氏個人の意見に相違があるならば政党はそれを明らかにすべきだろう。今回の処分について大阪側の吉村知事は「政党の主張とは相違があるのだから厳しく処分すべきだ」と説明しており、東京と大阪で便利にポジションを使い分けている。安全保障の大きな問題について党内の意見がまとめられないなら維新はこの先憲法改正などにおいて意見を述べるべきではない。政党としてどんな狙いがあって憲法改正がしたいのかがわからない。維新が仮にロシアの同盟者を政党内に内包し続けるならば支持者に対して明確な説明があってしかるべきだろう。「ただし個人の意見です」は通らない。

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鈴木宗男氏がロシアから帰ってきた。ご本人は「秘書の連絡遅れ」と主張している。一方、ロシアでは要人たちと次々と面会しロシアとの個人的なつながりをアピールした。スプートニクは鈴木氏の発言を伝え「これまで日露が培ってきた友好の歴史を岸田政権が壊した」と岸田政権を批判している。

鈴木氏「墓参が再開されるためにはロシアとの友好が必要だ」とか「和平交渉はロシアが主導すべきでありウクライナがこのまま抵抗を続けるならば広島や長崎のような惨劇に見舞われかねない」とも主張している。日本人の心情に訴えかけロシアの主張を浸透させようとしている。

これまでの経緯から鈴木宗男氏がロシアの権力構造に魅了された政治家であるということはよくわかっている。主な焦点は維新がこれをどう処理するかだろう。これしきの問題を解決できないようでは、日米同盟などの安全保障の問題も片付けられないだろうし、ましてや憲法改正の議論などもできるはずはない。

だが党内の姿勢はどこか危うい。吉村大阪府知事は「鈴木宗男氏の主張は党の主張と異なるのだから厳しく処分されるべきだ」と主張していた。だが東京側は次のように説明している。

面会後、藤田氏は記者団に「重要な意思決定を相談なしに行うことや、事後報告となったことは責めを受けるべきだ」と述べた。一方、渡航そのものについては処罰対象としない意向を示した。

維新は大阪と東京をうまく使い分けるところがある。維新が全体として日本の安全保障についてどう考えているのかがよくわからない。

鈴木氏は長らく「新党大地」を率いて選挙戦を戦ってきたが訴えは浸透しなかった。このため維新と組むことになり、維新の比例で当選している。2019年の投票結果を見ると得票数は220,742票であり他の名前の浸透していない候補者と比べて得票数が多い。良くも悪くも知名度が高く維新の比例を引っ張っていることがわかる。政党名投票は4,218,454票だった。全国展開を狙う維新としては切り捨てるのが惜しい政治家なのかもしれない。

鈴木さんが政治家として主張を持つことに問題はない。またそれを支持する有権者がいてもおかしくない。実際に東欧では既に親ロシア派の政権が誕生している。だが、経済や安全保障など大きな問題で政党と政治家の意見が一致しないのであれば鈴木氏は独自で政治体を維持し票を得るべきだろう。

仮に鈴木氏の行動を党が制御できていないのであれば鈴木氏のどこか危うげな政治的背景も維新が政権政党を狙う上ではリスク要因だろう。昭和の中選挙区制時代の「政治と金」の問題を引きずっている政治家である。罪は償っているとはいえそれなりに注意して取り扱う必要がある。

鈴木宗男氏はもともと中川一郎氏の秘書だった。中川一郎氏は総裁選に挑戦した頃から様子がおかしかったようだが最終的に札幌で自殺している。ロッキード事件絡みの問題を抱えていたなどと言われている。さまざまな噂が飛び交っており、特に遺族と鈴木氏の主張が対立する。遺族側の訴えを受け入れるならば「当選するためには多少汚い手を使っても止むを得ない」と考えていたことになる。

その後、鈴木さんは中川氏の長男である中川昭一氏と争い4位で初当選している。中川昭一氏は最終的に大臣に上り詰めたが酩酊記者会見が問題になり議席を失った。長い間心理的な問題を抱えていたとされる。政治家として歩み出した最初から何らかの緊張感を抱えていたのかもしれないと考えると胸の痛む話だ。

当時の北海道5区は中選挙区だった。道東をカバーする非常に広い選挙区でおそらく選挙運動を維持するのが大変難しい地域である。秘書として悲劇を経験している鈴木氏だが今度は自分の「政治と金」の問題に見舞われた。

2002年に国後島の「ムネオハウス」の建設疑惑が持ち上がる。最終的にやまりんのあっせん収賄容疑で逮捕されている。2004年に受託収賄・あっせん収賄・政治資金規正法・議員証言法違反で起訴され、2010年に最高裁判所で上告が棄却され罪が確定した。最終的に1年5ヶ月の刑期が決まり刑期満了から5年間の公民権停止となった。結果公民権停止明けは2017年4月だった。

もともと「地盤がない中で独自の主張を展開し存在感を維持する」政治家だった。受け取った金額は600万円や500万円などである。結果的に収監されてしまったのだから決して割りのいい身入りではなかっただろう。だが、こうしないと政治運動を維持できなかったのだ。

政治家が自分個人の考えを持って情報発信することは悪いことではない。日本政府がウクライナ支援の方針を持っているからといって全ての政治家がそれに従うべきというのは全体主義の思想であるといえるだろう。

だが、彼の主張が純粋に彼の良心から来たものなのかは冷静に判断する必要がある。常に独自のポジションを探しておりロシアに与することが政治家個人の利得になるという側面がある。

政党に属する以上は政党はそれを管理・制御する必要がある。鈴木宗男氏は個人の票と維新の票の両方を受けている。仮に党の方針に従わないのであれば議席の返上も含めて検討されるべきであろうし、仮に政党側が鈴木宗男氏の主張を受け入れないのであれば「協議離婚」も検討されるべきだ。

維新が与党の補完勢力として存在するつもりなら「ごった煮」でも構わない。だが、仮に政権政党を目指すのであればその主張は有権者にとって明瞭なものでなければならない。

いずれにせよ、今回の件で馬場代表・吉村共同代表の説明はまだ行われていない。どのような説明が行われるのか、そもそもお互いの主張が整合するのかに注目したい。

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