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今度は自民党若手議連が消費税5%減税を提言 なぜか政治発で広がり続ける減税提案

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「責任ある積極財政を推進する議員連盟」が消費税減税に踏み込んだ提案をして話題になっている。どちらかといえば国民の方が減税には消極的であり「選挙目当ての減税ではないか」との疑念が広がりそうだ。震源地を探るとどうやら岸田総理の曖昧さに原因があるようである。だがおそらく本人にはその自覚がないようだ。

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時事通信が「自民議連、消費税率5%を提言 経済対策、党内論争激化も」と伝えている。発信したのは「責任ある積極財政を推進する議員連盟」だそうだ。聞きなれない議連なのだが若手有志と表現されている。ウェブサイトには102名の議員の名前が入っている。派閥ではないのだが規模としては安倍派に匹敵するくらいの大所帯である。若手が多いことから選挙に危機感を持っている人が多いのだろう。

岸田政権はどちらかといえば財務省言いなりの増税内閣という印象がついている。最近では「増税メガネ」というあだ名も定着した。にもかかわらず選挙直前になって政治家発信で「減税」の話がやたらと出てくるようになった。

国民の方がむしろ減税には消極的だ。意見はさまざまなのだろうが「医療福祉を支えるためには増税は不可避なのではないか」と考える人や「選挙直前になって減税を言い出すとはさては票がほしくて有権者を騙そうとしているのであろう」と考える人も出てくるだろう。政府中枢から明確な保障がなく不安な気持ちになっていることがわかる。

それにしてもなぜここにきて減税の話が出てくるようになったのか。それは選挙が近いと思っている人が多いからだろう。

どうやらその震源地は岸田総理にあるようだ。岸田総理はこれまでの自民党・公明党政権のもとで税収が順調に伸びたと主張した。これを国民に還元すべきだという理屈で予算を膨らませようとしている。

だが、この時に「補正予算案をいつ提出するか」について明言しなかった。

田崎史郎氏は「確かに岸田総理は補正予算案の提出時期を明言しなかった」ので「政治記者たちは当然解散総選挙を考えているのだろう」と予測するようになったと解説している。だが最近の岸田総理のインタビューを見ていると「どうも最初からそのつもりはなかったようだ」と感じているそうだ。補正予算は20日に始まる臨時国会に提出されることが決まっている。総理も松野官房長官も盛んに「提出される以上は成立を目指す」といっている。つまりその間には選挙はないんですよと強調するようになった。

田崎さんによると、他の外交日程なども考えると選挙をやっている時間はないのだという。さらに岸田総理も「補正予算を成功させて経済を上向かせたい」という気持ちが強いと感じているという。

当初補正予算の提出について曖昧な発言をしたこと、さらに国民に利益を還元すると決めたことだけが一人歩きをし、実にさまざまな「使い道」提案が出てきた。さらに支持率が低迷していることから比較的選挙に弱そうな若手たちが焦りを募らせており「消費税減税でもやらないと自分の議席がなくなるのではないか」と感じていることになる。

岸田総理は「解散は考えていない」と宣言するに至ったがこの言葉を信じる人はいない。世耕弘成参議院幹事長は「国民への還元として減税をやるなら所得税と法人税だ」と発言する。これも選挙目当てだと受け取られてしまう余地を残すが、消費税が入っていないことから「消費税に議論が及ぶのは避けたい」という思惑があったのかもしれない。

さまざまな情報を照らし合わせると、どうやら岸田総理は「何かを言わなかったこと」が周囲にさまざまな反響を引き起こすとは考えていないようだ。むしろ自分が中心となって発信したことだけが「真意」なのだと考えているようである。

だが自民党の議員たちはそうは考えていない。特に政権中枢から遠い若手は焦りを募らせており「消費税減税のような思い切ったことをやらないと選挙に勝てないのではないか?」と思い始めている。また、間接的に派閥の領袖を通じた意思疎通がなく、そもそも無派閥議員が増えていて総理が何を考えているのかを知る術がないという議員が増えている可能性を感じる。

議員連盟が置いている前提条件には問題がある。議員連盟は「2%の物価安定目標を安定的に達成するまでの間、消費税率を5%に引き下げること」といっている。実は足元の物価はすでに上昇基調である。背景にあるのは円安と原油高だ。物価上昇が起きているにもかかわらず日銀がこれまでの金融政策の看板を下せないのは政治の側が継続的な賃金上昇のための政策を提示できないからである。

つまり日銀と政府・議会は「循環参照」になっており答えがないのだ。

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Comments

“今度は自民党若手議連が消費税5%減税を提言 なぜか政治発で広がり続ける減税提案” への1件のコメント

  1. 減税に反対している国民がいる?
    そんな人、聞いたことも見たこともありません。
    この記事も財務省のシンパが書いた記事だと疑います。
    税金は有り余っており、財務省などの公務員が懐に入れたり財務省の権力拡大のために私的使用されています。減税して当たり前です。

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