この時期になると税務署の周りの駐車場は迷惑駐車があふれるのではないか。税務署は申告に訪れる人たちのために駐車場を準備しないので、周りに流れるからだ。高齢者も遠く離れたところに車を停めて歩かなければならない。
だが、最近はわざわざ税務署に行かなくても税務申告ができる。窓口の混雑も減るだろうし、いい事尽くめのような気がする。マイナンバーカード制度が始まるので、利用できる人が増える。カードリーダーが必要だが実はそんなに高くない2,000円程度である。
いいことばかりのe-taxだが難点もある。
セットアップがかなり面倒で、国も積極的に宣伝していないようなのだ。
国税局のウェブサイトを見ても、いったいどうすれば始められるのかがさっぱりわからない。情報があらゆる場所に散らかっていていてとてもわかりにくいからだ。その割りに予防線ばかり張ってあって面倒なことこの上ない。いくつかのサイトを閲覧した結果をまとめた。要件は次の通りらしい。
- パソコンを準備する。XPはだめ。ソフト版とウェブ版があるが、ソフト版はMacでは使えない。パソコンのスペックはPentium 4(1.6Ghz)以上とのこと。512MBのメモリと2GB以上のハードディスクスペースが必要。何かの冗談だと思うのだがブラウザーはIEを使えと書いてある。(Macの場合はSafari)あんなにセキュリティに不安があるブラウザーを推奨するのはどうしてなのだろうか。Web版でもサーバーでデータは預かってくれないらしく、途中経過をファイルにしてダウンロードするらしい。
- 税務署に事前申請する。Webサイトからもできるらしい。
- ルート証明書などを事前にインストールする。これはWeb版でも必要な模様だ。
- マイナンバーカードが使えるようになったので、マイナンバーカードが読めるカードリーダーを準備する。国税局のウェブでは3,000円くらいと書いてあるのだが、Amazonの最安値は1,780円だった。ソニーがPasofiというリーダーを3,000円弱で提供しているがMacには対応していない。
- ポップアップブロックを解除しておく。最近ポップアップブロックがデフォルトなので、どうしてAjaxを使って擬似ウィンドウを作ったりできないのだろうか。
ちなみに書類(医療費の証明など)は別途郵送するそうだ。まあ、自営業者(ウェブの専門家とか)はいいと思うのだけど、こんなに複雑では医療費控除を受けようとする高齢者にはきついですよね。
使いやすい仕組みを作ることは技術的にはできると思うのだが、多分、日本のITベンダーには無理だったのだろう。悲しいことだが、Googleあたりに依頼することになるのだろうか。銀行は一般に使われているルート証明書を使っているわけで、なぜ個別にインストールしなければならないのか、さっぱり意味がわからない。
素直に考えると日本人はめんどくさいのが好きなんだろうなあと思う。それぞれの持ち場で責任を取らされるのがいやで、総合的な判断ができる人がいないのだろう。
銀行の場合は利用してもらえないと誰かが責任を取らされるわけだが、そういう人もいないに違いない。またいったん作ってしまうと顧客満足度を上げるような仕組みもなさそうだ。政治家が関心を持っているとも思えないし、仮に関心があったとしても顧客満足度を上げるための知識がないのかもしれない。
電子申告が増えれば、高齢者がわざわざ税務署にでかける必要がなくなり、税務署も人件費が削減できる。本当に必要な人も余裕を持って対応してもらえるだろう。わかっていてもそれができないんだなあと思った。
最初の壁は「新しいハードを買うのは面倒だなあ」というところだと思うのだが、カードリーダーは意外と安いですよということくらいPRすればよいと思う。ポイントカードつけてマイナンバーカードを国民に普及させるなどということを大真面目で検討するよりよっぽど良いのではないかと思うのだが。