磯崎陽輔衆議院議員が「合区なしで参議院の格差を2倍以内に収めるためには100人を超える増員が必要」と主張している。個人的には県という単位はこだわるべきではないと思っているので、合区してもらっても構わないのだが、もし県にこだわりたいなら方法はあるのではないかと思った。議員報酬を半分にすれば議員数を倍増できるのだ。簡単な算数だ。
ではそのためにはどうすればいいか。それも簡単だ。現在議員は専業でなければならない。そのためには専業でも暮らしが成り立つだけの歳費が必要なのだ。専業でなければならないのは地方の人たちがわざわざ東京に出てこなければならないからである。であれば、テレワークにして仕事を持っている人に担ってもらえばよいではないか。東京に出てくる費用も浮くし、一石二鳥だ。
議員は法律を作るのに難しい勉強が必要という人もいるかもしれないが、実際には官僚に書いてもらっている人がほとんど。中には質問すらしない人もいる。だったら、別に専業じゃなくてもよいだろう。大臣や政府の役職についた人だけ、休業手当を出せばよい。政治にお金がかからなくなれば変な不正や口利きも減るだろう。そもそも兼業なら、口利きする時間すらなくなるはずである。暇だから悪いことを考えるのだ。
数が増えれば専門家の議員が多く雇える。今の制度では議員が個人レベルで議員の専門性を知っているレベルだが、全員リモートということになれば、ネットワーキングが本格的に進むだろう。テレワークが進めば専門家でワーキンググループを作るのも容易になるのではないだろうか。
そもそもみんなが東京に集まるのはどうしてだろう。役職に就けてもらうのに、いろいろごちゃごちゃやらなくちゃならないからだろう。でも、みんなが東京に集まらなくなれば、それもなくなる。大臣は東京に集まるから、その輪からはずされるという危機感を抱く人もいるかもしれないが、それは役所が東京に集中しているからである。だったら、役所もバラしちゃえばいいのだ。
「先進国では事例がない」と言う人もいるだろうが、別にアメリカやヨーロッパでやらないことは「禁止されている」というのと同義ではない。メリットがあるのならいくらでもやってもらいたい。
この案の唯一の弱点は、専業議員が「誰でも議員になるチャンスを与えるはず」の制度であるという点だ。だが、ほとんどが二世議員で一般の参入は阻害されているわけだから専業議員を雇っておく根拠にはなりにくい。
もちろん、議員をパートタイムのテレワークにという議論は単なる頭の体操なのだが、このように極端な提案をして始めて「ああ、なんで考え付かなかったのか」というアイディアがいくつも出てくることがわかる。要するに私たちはほとんどが知らず知らずのうちに思考停止の状態に陥っているのだ。