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アメリカ上院のサウジアラビア強硬派重鎮に収賄疑惑 隠し持っていた金の延べ棒も見つかる

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アメリカの上院議員で外交委員会の委員長メネンデス氏の収賄疑惑を各メディアが報道している。エジプト政府からの賄賂を受け取っていたようだ。上着に隠されていた札束と金塊が自宅から見つかったようだ。メネンデス氏に疑惑がかけられるのは2回目だそうだが前回は無罪を勝ち取っている。この件についてロイターが面白いことを書いている。この人はサウジアラビア強硬派で「バイデン政権の攻略対象になっていた」という。

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この件について各紙があらましを書いており、日本でもそれを紹介する記事が出ている。興味深いのはロイターのこの一節である。

He has also been one of the Senate’s most vocal critics of Saudi Arabia and Crown Prince Mohammed bin Salman, especially resistant to major weapons deals for the kingdom. Biden’s aides have seen Menendez as among the key lawmakers they would have to convince to support their negotiations toward a mega-deal that could involve Israel-Saudi normalization of relations.

メネンデス上院議員はムハンマド・ビン・サルマン皇太子を激しく攻撃していた。バイデン政権がサウジアラビアとの関係を修復する上でメネンデス氏の説得は重要課題だった。

メネンデス上院議員は外交委員会の委員長でアメリカの外交政策を決定する上で非常に重要な人物である。だが彼は何らかの理由でサウジアラビアに敵対的だった。一方でバイデン大統領はインドから中東に向かう航路と鉄道を組み合わせた「アメリカ版一帯一路構想」を掲げており、サウジアラビアとの関係修復を急いでいる。最近ではイスラエルのネタニヤフ首相と対面しサウジアラビアに対する動向を探っていた。

経済政策に行き詰まるバイデン大統領が大統領選挙に勝利するためには、目に見える外交成果をあげることは非常に重要だ。バイデン大統領の強いリーダーシップのもとで中国に対抗する新しい構想をぶち上げることができればトランプ政権時代よりも中東外交でアメリカのプレゼンスが弱まったという批判を払拭することができる。

つまりメネンデス氏が「疑惑により一回お休み」になってくれた方が何かと好都合なのである。慣例として疑惑がかけられた人は委員長職を退かなければならない。

ただし、ロイター通信はもちろん「いなくなってくれて好都合だった」などとは書いていない。さらにいえば「結果的にいなくなればトクをするのはバイデン大統領だ」という書き方もしていない。単に汚職疑惑があり重要な人物が影響力を失ったと伝えるために「ご参考程度」に最後に慎ましく触れているだけだ。

一方でCNNは司法省の発表を前面に押し出して報道している。ジャケットに隠し持っていた500,000ドルの札束が見つかり、また家からは金塊も見つかっているそうだ。「いかにも悪いことをしています」という印象が生まれる。

バイデン政権をめぐってはよく「司法の武器化」などという言葉が使われる。そんなことはないとは思いたいのだが、今回のケースのタイミングを見ていると「あるいは議会対策としてそのようなことも行われる可能性があるのかなあ」という気持ちになる。前回同様結果的に「無罪」だったとしてもしばらくメネンデス氏が表立って影響力を行使することはできなくなるだろう。

今回のケースを見るとはアメリカの外交政策が実に様々な関係をパズルのように組み合わせて作られているということがよくわかる。中国やロシアといったわかりやすい敵を設定するのは簡単だが、新しい和平の枠組みを作り出すことは極めて難しい。おそらくそれを強硬に突破しようとすると議会内部にも様々な軋轢が生まれることになるのだろう。

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