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カリフォルニア州で住宅価格が高騰し車中生活者が増えている

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先日「アメリカ経済はバブルなのではないか」というような趣旨の記事を出した。誰がどうみてもバブルなのだがお祭りが続いている間は人々を引き付け続けるという特色がある。それを裏付けるような記事をいくつか見つけた。カリフォルニア州で車中泊をする人が増えている。住宅を手放したり借りられなくなる人が増えているようだ。さらにアメリカのビッグスリーが同時ストライキを始めた。労働者は困窮しているようだが、車の価格自体は高騰するのではないかと言われている。

アメリカの経済は好調なのか不調なのかよくわからなくなっている。おそらく「よくわからない」が最も正確な答えなのだろう。問題はこうした入り混じった状態がいつまで続くかである。持続可能性は低いように思えるのだが崩壊の兆しはない。

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アメリカのビッグスリーが同時ストを始めた。アメリカの自動車メーカー(ビッグスリー)がストをやるということは、賃金が物価上昇に追いついていないということだ。だが労働環境はタイトなのですとをやっても首を切られる心配はない。

アメリカではコロナ対策でインフレがはじまった。そのインフレを抑制しようとして金利を上げたところ世界中のマネーがアメリカの市場に還流し始めている。このため、アメリカの家計が持つ資産は史上最大規模になっていて消費も比較的活発な状況が続いている。

もちろん経済自体は活況だ・「新車在庫がなくなれば自動車価格が高騰するだろう」などと言われている。つまり、アメリカでは資産を持っている人と持っていない人の二極化が進んでいることになる。車の生産が止まれば経営者や投資家にはネガティブなインパクトが出る。だから堂々とストができるのだろう。

これとは別に「カリフォルニア州で車中泊をする人が増えている」という記事を見つけた。カリフォルニアでは自由な暮らしを求めて車中泊を選択する人が多かったが今は状況が違っているようだ。資産価格が高騰すると住宅の価格に影響が出る。このため家賃が支払えないという人たちが出てきている。家を持っている人は住宅価格を「資産」として計上できるため信用スコアが増加する。だが家を持っている人は賃料が払えなくなる。家を持っているか持っていないかで二極化した状況が生まれているようだ。

ロサンゼルスの6月の平均家賃は2950ドル(約43万円)に達した。

記事は「ロサンゼルス郡だけでホームレスは7万5000人以上」と書いているのだが、車中生活者をホームレスに含めるべきなのかには議論があるようだ。少なくとも「最低限住むところは確保されている」のだから低所得者向けの住宅などの斡旋を受ける優先順位は低くなっているのだという。つまり一旦ここに「落ちて」しまうと自力で這い上がるのは難しい。社会的にも蔑視されるのだという。

しかしこの車中生活者はカリフォルニアの最底辺ではない。ロサンゼルスにはホームレスが7.5万人もいるほか、治安の悪い住宅街も広がっている。刑務所に軽犯罪犯を収容することができなくなっており保釈金なしで解放される制度がはじまった。裁判を受ける前の軽犯罪犯は街に戻り再び犯罪を犯す。

政治状況も複雑だ。下院共和党の一部は大統領の困窮者対策を許さない。現在激しい抵抗運動を続けており「更なる歳出削減か」それとも「政府閉鎖か」という二者択一になっている。

このようにアメリカ経済はある種の混乱状態にある。直感的には「こんな危なっかしい経済には投資できない」ということになるのだが、実際のマネーの流れはアメリカに向いている。つまり「混乱」ではなく「活気がある」と捉えられ、直感とは全く違った動きになっている。極めて好調な部分と極めて不調な部分があるが投資家が見ているのは極めて好調な部分のみだ。

おそらくやがては崩れるのだろうがそれはおそらく今ではない。このため流動性が高い(つまりすぐさま処分できる)資産に人気が集まるのだろう。

もう一つ興味深い点がある。

今回の混乱を作り出しているのは明らかにバイデン政権のコロナ対策とそれによって引き起こされたインフレだ。さらに議会と大統領の不仲も政治的な混乱に拍車をかける。だが結果的にアメリカ政府の信用が低下し国債の金利が上がると世界中のお金がそこに吸い寄せられる。これも直感とは真逆の動きになっている。

バイデン大統領は今回のストについて「どっちつかず」の対応を取っているがこれに対しても目立った批判は出ていないようだ。大統領顧問を交渉現場に送り「ウィンウィン」の解決を目指すとしている。労働争議への介入なので日本のメディアは「組合に肩入れ」と言っているのだが、もともと民主党は労働組合に支援されているのだから本来はもっと積極的に労働組合に味方しても良いように思える。

とにかくアメリカ経済は極めて不思議な状況に陥っている。政治ニュースを見るとポジティブな側面がわからないし、経済ニュースだけを見てもネガティブな要因は浮かび上がってこない。実際にはこの両面ともが現在のアメリカの実情なのである。

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