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昭和の悪習にがんじがらめ 小渕優子選挙対策委員長に新しいスキャンダル

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小渕優子自民党選挙対策委員長に新しいスキャンダルが出た。小渕氏はスキャンダルを否定しているが、文春側はおそらく弾を小出しにして購読者数を稼ぐのではないかと思う。小渕優子氏は父親の小渕恵三氏から「昭和の負の遺産」を多く継承しており、負の遺産だけを選択的に相続拒否できないという点がジャニーズスキャンダルにおける藤島ジュリー景子氏に似ている。藤島氏はこの環境が当たり前だと考えておりジャニーズ改革はできなかった。小渕さんは昭和の負の遺産を切り捨てて令和のニューリーダーになることができるだろうか。

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文春の記事は「“ドリル事件“以来9年ぶりの要職 「ファミリー企業に1400万円超」 小渕優子・選対委員長(49)に不透明な政治資金処理が発覚」というタイトルだ。違法でなはく不透明なとしているところがポイントである。

内容は親戚の会社に仕事を流していたというもので確かに違法にはならない。

問題のファミリー企業とは、「光山商事」、「光山倉庫」、「光山電気工業」など、小渕氏の祖父・小渕光平元衆院議員(故人)が立ち上げた「光山社(こうざんしゃ)」の流れを汲む企業グループだ。中でも「光山商事」や「光山倉庫」は、取締役の大半が小渕姓で、小渕氏の従兄が社長を務めている。

第三者から見ればかなり異様に思えるのだが。おそらく「小渕家界隈」ではこれが当たり前になっていたのだろう。議員をやっている家長が一族郎党の面倒を見るのが当然というのが昭和の常識である。地域が小渕家を応援するのは「これまでもそれだけ世話になっていたのだからこれからも面倒を見てくれよ」という期待があるからだ。

つまり、小渕優子氏は父親から選挙区の地盤を引き継いだだけではなく「一族郎党・地域をお世話をする」という役割を引き継いでいる。中選挙区の時代には「いい先生」だったのかもしれないが、現在では通用しないよさである。

文春の予告によると今後も「タニマチ」と呼ばれるスポンサーや有罪判決を受けた元秘書の企業へのお金の流れが告発される予定なのだという。群馬県の東部(群馬5区)の常識が都市部の国民にどう見られるのかという点に注目が集まる。かつて中選挙区制度の元では当たり前だった政治へのぶら下がりの実態が面白おかしく描かれるのではないかと思う。

そもそも小渕優子氏が選対委員長になったのはなぜか。それは「小渕恵三氏にお世話になった」という人たちの支援を岸田総理が期待しているからだ。

経世会の青木幹雄氏亡くなるまでは「なんとしても小渕恵三の娘を押し上げたい」と考えていた。青木幹雄氏と学生時代から師弟関係にあった森喜朗氏は青木氏によって総理大臣にしてもらったという恩がある。青木氏が亡くなった時このようにコメントしている。学生時代の先輩の恩に報いるために今も政治に口を挟み続ける長老というのは、昭和的には美しいエピソードなのかもしれない。だが令和のスタンダードでは単なる時代錯誤にすぎない。

「心残りは小渕恵三さんのお嬢さんのことと思う。あなたの夢、希望がかなうように最大限努力する」とも語り、青木氏が「いずれは党総裁候補に」と目をかけていた小渕優子・党組織運動本部長をもり立てることを誓った。

青木幹雄氏お別れの会、森喜朗氏「心残りは小渕恵三さんのお嬢さんのことと思う」

岸田総理が小渕優子氏を要職に起用した理由は二つある。一つは旧経世会を分断する狙いだが、もう一つは安倍派を実質的に掌握している森喜朗氏の機嫌を取ることだ。森喜朗氏を引き付けておけば清和会系の人々からの支持が期待できる。実際に領袖がいなくなった安倍派は「自分達は岸田総理を支える」と言っている。

このため小渕優子氏はかなりトクをしているようにも見えるのだが、その裏には「小渕恵三さんにはお世話になったからこれからもよろしく頼む」と期待する人が大勢いるものと思われる。

世襲にもさまざまな形があるだろうが、小渕優子氏はこうした「昭和のしがらみ」にがんじがらめになっているタイプの世襲であることがわかる。

ではこの一連のスキャンダルは自民党が再び下野するスキャンダルに発展するのだろうか。必ずしもそうはならないだろう。内閣改造を受けて共同通信が世論調査をやっている。

要約すると次のとおりになる。

岸田政権が何をやっても評価はしない。内閣改造もどこかパッとしない。人事は内向きでこれも評価できない。だが政権交代もさせるつもりはないし、岸田さんの他に首相にしたい人も見当たらない。これまでの通りの生活が保障されるならまあ認めてやってもいいが例えば今の水産物支援などは全く不十分である。

つまりこれまでの生活が変わらないなら政権を黙認してやるくらいの気持ちの人が多いことがわかる。共同の緊急調査に答えた人たちの年齢層はよくわからないが、子育てよりも物価高対策の優先順位が突出して高くなっている。「次世代への投資よりも今の暮らしの維持」が重要だということになる。

つまり実は政権自体が昭和のしがらみに支配されているのだ。

当然、難しい政治議論をして持続可能な財政状況を構築しようなどという気持ちはないのだろう。処理水をめぐる水産物支援が不十分だと考える人が多い一方処理水の排出そのものに反対している人はそれほど多くない。また、一度はじまったガソリン補助はこれまで通り続けるべきだと言っている人が多い。

高齢化した世論は「政治を積極支持するつもりなどさらさらないが現在の暮らしが維持できるなら黙認してやってもいい」と考えている。つまり増税や社会制度改革などの負担増につながる本質的な改革など考えるなよということだ。デジタル改革にしてもやってもらう分には構わないが健康保険証など自分達に関係がある分野でそれをやるのはやめてくれということになる。

資産だけを継承することはできず負の遺産も継承しなければならないという意味で、小渕優子さんは藤島ジュリー景子氏に似ている。涙ながらに反省をしたものの実際には全くわかっていなかったという点も実はそっくりだ。

ジャニーズ事務所の取引先は国連の定める「ビジネスと人権」という新しいスタンダードを遵守しなければならないためジャニーズ事務所は今後淘汰されてゆくだろう。だが日本の政治は「昭和的な現状維持」を期待する有権者や支援者たちに支持されている。小渕氏はこうした環境にどっぷりと浸かっておりおそらくここから抜け出すのはほぼ不可能なのではないかと感じる。

現状維持バイアスの強い有権者たちは小渕氏に厳しい目を向け続けるだろうがかといってそれを取り替えようとまでは思わないだろう。小渕氏がどこかで昭和的な負の遺産を思い切って切り捨てない限り華やかな選挙の顔として女性有権者を惹きつけることはできず「古びた昭和遺物の継承者」として叩かれ続けることになりそうだ。

だがそもそも小渕優子さんが令和のニューリーダーになりたいと考えているのかがよくわからない。あるいは昭和世代の記憶を引きずる大勢の人たちの期待通りに仕方なく動いているだけなのかもしれない。仮にそうであれば昭和の記憶ゆえに批判され続けるのは単なる叩かれ損ということになる。

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