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自民党が国民民主党に連立要請 玉木雄一郎氏の代表選勝利を受けて

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国民民主党の代表選挙が行われ自民党・公明党政権との距離を縮めるべきだとする玉木雄一郎氏が勝利した。これを受けて自民党側からは「閣僚ポストを提供するから連立政権に加わってほしい」とする要望が出そうだ。正確には「打診検討へ」という表現になっている。国民民主党内での調整は難航すると見られており実現の可能性は低いのだが自民党側からのジェスチャーを見せることで今後の憲法改正議論や国会運営を容易にしたいのかもしれない。表面上は連立はないと言っている玉木雄一郎氏だが「選挙区調整がマスト」との条件を提示している。自分が大臣になるために仲間を見捨てたと見られることを避けたいだけなのかもしれない。普通連立協議は決まってから発表されるものだが「打診検討へ」とか「秋波」という報道が出続ける不思議な情勢になっている。どちらも世論の反応を気にしているのかもしれない。

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国民民主党の代表選挙が行われ玉木雄一郎氏が勝利した。焦点になったのは各政党との距離だった。玉木雄一郎氏は与党と「是々非々の協力」をすることで自分達の政策を実現したいと考えている。一方の前原氏は自分が調整すれば維新から立憲民主党までを含めた大きな枠組みが作れると考えていたようだ。候補者の中には前原氏の考えに同調する人が出たがサポーターや地方組織にまでは賛同者が広まらなかった。

これを受けて読売新聞が自民党からの連立話を報道している。実現する可能性はそれほど高くないのだろうが代表選挙が「冷めないうちに」既成事実を作っておきたいのかもしれない。ただ打診検討となっている。読売新聞に書かせておいて世論から反発が出るのかを見極めたいのかもしれない。ただし記事はそもそも反発されることも賛同されることもなかった。

自民党側にはいくつかの狙いがあるものと思われる。まず連合の内部に入り込み労働組合が全面野党支持にならないように楔(くさび)を打ちたい。茂木幹事長と麻生副総理は連合の芳野会長が就任した時から接近を始めている。特に麻生副総理は「連合と経団連に賃上げを働きかけたのは自民党である」としている。つまり労働者の生活を改善したいなら自民党とのパイプは不可欠だと言っている。

もう一つの狙いは公明党に対する牽制だ。東京都連と関係に亀裂が入り一時は連立の枠組みそのものが疑問視された。自民党と公明党の関係は菅前総理と創価学会の個人的なパイプに依存していることもあり茂木氏は調整に苦労している。一部では「茂木氏の不誠実な態度が公明党に嫌われているのではないか」という声も出ている。また、世論調査をすると「自公連立はどこか不自然だ」と考える人は多い。つまり連立解消派が意外と少なくない。さらに自民党内からは「そろそろ国土交通大臣を返してもらいたい」という声も強い。

一方で国民民主党の間にも事情はある。

玉木雄一郎氏は地元では大平正芳氏の親族からの支援を受けている。「保守」の政治家とみなされ宏池会との関係が悪くない。財務省出身で左派色も強くないのだから「大臣としての格」は十分にあると見做されるだろう。さらに労働組合連合から支援を受けている人たちは自分達の要求が通るなら与党でも構わないと考えるかもしれない。一方で労働組合の組織率は落ちており労働組合が支援する候補者で落選する人も出てきた。つまり、これまでの支持母体に頼っていたのではこれ以上の党勢拡大は期待できない。今回の代表選では候補者のうち半数以上が前原路線を支持した。つまり連立で救われる人と切り離される人が出てきてしまうのだ。

今回の読売報道を受けて時事通信と共同通信が記事を書いているが、どちらも連立が実現する可能性は低いだろうと見ている。

しかしながら記事をよく読んでみると「野党路線の前原氏が党を出れば」党内に反対する人はいなくなるということがわかる。つまり切り離される側の人を前原さんがまとめて外に出してくれれば障壁はなくなる。

また玉木雄一郎氏も「連立に加わるなら選挙区での調整が必要」と一定の条件を提示している。玉木雄一郎氏が大臣の椅子欲しさに仲間を見捨てたと見られることを避けたいだけなのかもしれない。仲間の椅子(議席)を保証しろと言っているようにも聞こえるのである。

いずれにせよ政党の都合による政党のための連立話なので無党派層を主体とするSNSではあまり大きな話題にはならなかった。無党派層にしてみれば「どうぞご自由に」ということだったのかもしれない。

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