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若者を政治に参加させるには

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若者が政治に参加しないわけ」はたくさんの人に読んでいただいた。しかしながら、その多くは高齢者だった。これはこのブログの標準的な年齢分布とは異なる。皮肉なことにシルバーデモクラシーが証明される結果になってしまった。当事者の「若者」は全く関心を示さなかったのだ。
age_dist結論から申し上げると、若者が選挙に行く為には高齢者がよい影響を与える必要がある。現代の若者は老人中心のシルバーデモクラシーに魅力を感じていないのだろう。他人を変えるためにはまず自らが変わる必要がある。
この間、ネットを通じて何人かの方とやり取りをした。印象的だったコメントは「そもそも周囲で政治の話をするのがはばかられる」というものだった。その人はそのコメントが消極的な印象を与えるのを憂慮したのか、Twitter上のコメントそのものが消されてしまった。これは日本人が長い間自分の意見を持つ事をよしとしてこなかったからだ。
他人どころか家族の間でも政治の話はタブー視されているのかもしれない。逆に「選挙に行くようになった」という人たちの中には「尊敬している人が政治問題に関心を持っていた」という人がいた。例えば、家族全員で選挙に行く(その跡、何かおいしいものでも食べて帰るのであろうか)という習慣でもあれば、選挙に行く事に抵抗はなくなるだろう。
高齢者がTVで政治家を罵倒するのではなく、ポジティブで建設的な提案を表明するだけでも印象は変わるだろう。もちろんそれが政府への反対意見でもいっこうに構わない。だが、現実には政治は普段の生活の不満をぶつける場所になっている。ネガティブな感情が渦巻く政治状況に魅力を感じる人は少ないのではないだろうか。
この数日の経験は図らずも日本の政治状況を反映した結果になった。日本人は「自らが変わらないために、他人を変えたがっている」のだ。いわゆる右派と呼ばれる人たちは、自分が尊敬されて経済的に優遇されるためには「わがままな他人」が消えてなくなることを望んでいる。そこで持ち出すのが憲法だ。憲法を変える事によって、自分に都合の良い道徳律で他人を縛ろうとしている。
一方、左派の人たちも「正義は自分たちの側にある」と考えている。それが満たされないのはどこかで眠っている人たちがいて選挙に参加していないからだと考えているわけだ。特に若者が政治に目覚めてくれれば、必ずや自分たちに味方してくれるものと信じているのではないだろうか。
もっとも「安倍政権の危機」が高まっているから、すぐさま解答を寄越せとおっしゃる方もいらっしゃるかもしれない。今、最も早い道はアメリカで起こっている、民主党のサンダース候補が提唱する上からの社会改革を露出することだろう。日本人は空気に弱いので時代の潮流は社会主義だという雰囲気ができれば追随する人は増えるだろう。しかし、それにはいくつかの危険性がある。
第一の危険性は、内実が伴わなければやがて有権者を失望させてしまうという点だ。オバマ旋風が吹き荒れた状況を目の当たりにした日本人は翌年民主党政権を成立させるのだが、その後失望して政治に戻ってこなかった。民主党は風によって党勢を拡大したことを忘れれず、未だに自己変革ができないでいる。
次の危険性は、上からの改革は所詮ポピュリズムであるということだ。ポピュリズムに沸き立った国の末路は悲惨で、その後で高いインフレ率に悩む事になる。
「変わりたくない」という気持ちはこの国に蔓延している。経済政策がなく、「口利き」蔓延し、威圧的な言動がはびこりっているのに、未だに安倍政権の支持率は高い。それは安倍政権が一貫して「あなたは変わらなくてよい」というメッセージを送っているからだ。多くの有権者はどんなにひどい政権でも「政界が変わってしまうよりはマシだ」と思っているのだろう。
安倍政権に反対する人たちは、まず自分たちから変わらなければならない。

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