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支持率が低くても政権が割と安泰なのは、岸田さんがかつてのある総理大臣に似ているから

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岸田政権の支持率が低迷していると書くと「政権が危ないのではないか」と考える人がいる。だが自民党支持者に聞くと次の総理として最も名前が上がるのは岸田さんなのだそうだ。そもそも野党への支持が低迷しているため解散総選挙さえ諦めれば岸田政権は長続きすることになる。衆議院議員の任期はあと2年ほど残っている。この政権は「ある政権に似ているのでは」と言われることが増えた。任期中にかなり大胆な方針転換があった「あの政権」である。影響は今も続いている。

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共同通信の調査によると岸田政権の支持率が長期低迷している。また、政策への支持も低くリーダーシップもほとんど評価されていない。

ところが次の総理には誰がいいか?を聞くと自民党支持者は「次も岸田さんで」と答える人が多いのだという。ちなみに全体で聞くと、石破・河野・小泉という順番になるそうだ。

つまり、解散総選挙さえ諦めて国民から叩かれるのを我慢しさえすれば今のまま「なんでも自分達で決められる」状態が続くことになる。

バイデン大統領・尹錫悦大統領とのキャンプデービット会談は歴史的な合意になった。日本では日米同盟が強固になったという評価が一般的だが、韓国には「東洋版NATO」を期待する声がある。これは共同対処を意味しており朝鮮半島有事に自動的に日本が巻き込まれることを意味する。台湾有事に際しても日本のコミットメントが強化されることから巻き込まれ不安は増大したと言って良い。

だが、キャンプデービット会談に関する「ネット保守」と呼ばれる人たちの関心は薄い。あれだけ日米同盟にこだわる人が多い(ように見える)のになぜなのだろうという疑問がある。

安倍総理であればバイデン大統領との絆を盛んに強調し「これで日本も安心だ!」と宣伝しただろう。安倍嫌いの野党支持者がこれに反発すると今度はネット保守の人たちが「野党支持者の批判は当たらない」と擁護する。これでネット保守の人たちは自分達が権威と一体だという満足感が得られる。今回はこのような動きが一切なかった。ネット保守は日米同盟や安全保障にはさほど関心がなく「野党支持者や中国・韓国に対する蔑視感情」によって動いていることもわかる。

このような岸田総理の姿勢に対して「小渕総理大臣と似ている」とする声がある。週刊誌ではプチ鹿島氏が早くからそのような指摘をしているが、最近テレビ東京の記者が同じような指摘をしており「ああこう思う人は複数いるのだな」と感じた。

テレビ東京の記者は「岸田総理のようなやり方をされるとニュースとして扱いにくい」ので国民が知らない間に割と重要なことが通ってしまう可能性が高まるのと言っている。プチ鹿島氏も「本当は怖い」という評価を紹介している。小渕政権の時にも実はかなり大胆な提案が通っているとの指摘は共通する。

岸田総理がわざとこうしているのかについては議論の余地がある。安倍総理の長門会談には賞賛と反発があったが岸田総理の広島ビジョンは各方面から単にスルーされただけだった。安倍総理のようにリーダーシップを発揮したいという気持ちがあっても単にそれができていないだけという可能性も高い。

小渕総理と岸田総理には違いもある。小渕政権は橋本総理が衆議院選挙で大敗して生まれた政権だった。目立たず敵が少ないことから総理に選ばれたという側面があり当初の支持率は高くなかったそうだ。ねじれ国会だったため参議院では菅直人氏が首班指名され、海外では「冷めたピザ」などと酷評された。これは自民党一強と言われる現在とは異なっている。

小渕総理はねじれ国会に対処するために、公明党の地域振興券案を丸呑みし、自民・自由・公明(自自公)路線を選択した。まず第一次改造で小沢氏率いる自民党を連立政権に参加させたが、その後第二次改造で公明党を引き入れている。この後小沢一郎氏が政権離脱を主張すると自由党の中から「政権に残るべきだ」と主張する人が現れ「保守党」が作られやがて自民党に吸収合併された。この時に自民党に出戻ったのが二階俊博氏である。結局、この後自公政権が定着した。

だが、小渕政権は長続きしなかった。就任から2年で脳梗塞を起こし首相を退任しその後1か月あまり闘病して亡くなっているそうである。後継は森喜朗総理だった。談合で決まったと言われる。この後が小泉政権で移行民主党政権の3年を挟んで清和会優位の時代が続いた。

小渕総理が実現させた法律には周辺事態法、通信傍受法、国旗・国歌法、改正住民基本台帳法(住基ネットの構築)などがある。また、労働者派遣法の改正によって派遣業種が拡大し非正規雇用依存の日本の労働環境が作られたのもこの当時だそうだ。

当時の自民党は議席が少なかったためなんとかして連立を組み議会対応をする必要があった。しかし、現在の岸田政権は自民党1強である。選挙を先延ばしさえすれば割と好きに政策を通すことができる。仮に選挙があったとしても自民党を脅かすような強い野党はない。「もう国民から叩かれるのは仕方がない」と開き直りさえすれば割となんとかなってしまうのもしれない。

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