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皮をめくったら中は全部腐っていた 損保カルテルが底なしの様相

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損保大手でカルテルが横行しており公正取引委員会が調査に乗り出したという記事を読んだ。ビッグモーターがきっかけで調査が入ったのだろうと思ったのだがどうやら別件のようだ。この手の話は東洋経済が経緯をまとめていることが多い。当初は東急案件に対する疑惑だったが損保会社は「担当者がやった」ことにして逃げ切ろうとしていたようだ。だが調べてみると不正はかなり広がっていた。恐る恐る一枚皮をめくってみたら中は腐っていましたという話になりそうだ。NHKは損保会社の集約化が問題だと指摘している。一方で東洋経済は代理店と本社との歪な関係も影響がありそうだという。仮になんらかの構造問題が背景にあるならば政治も関与して仕組みづくりに着手しなければならない。だが、既に問題を積み上げている岸田政権には余裕がなさそうだ。野党も政府批判ばかりやっていないで、対策チームを作って具体的な提案を持って政府・与党に対応を働きかけるべきだと感じた。

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時事通信の損保カルテルで調査開始 大手4社、企業向け保険対象―公取委によると、大手損保4社に対して公正取引委員会が独禁法違反の疑いで調査を始めた。調査対象となったのは、東京海上日動火災保険・損害保険ジャパン・三井住友海上火災保険・あいおいニッセイ同和損害保険の大手4社だそうだ。ただし、この記事を読んでも「かねてより指摘があった」と書かれているだけでどんな指摘があったのかなど詳しいことはわからない。

そこでいつものように検索する。やはり東洋経済が経緯をまとめていた。大手私鉄に対してカルテルを結んでいるのではという疑惑が発端のようだ。

大手損保4社が企業向け保険でカルテルの疑い(6/19)

ここで公正取引委員会が具体的に東急の事例を調べ始める。幹事は東京海上日動だったそうだが「担当者が勝手にやった」という報告を出しているという。「担当者の不心得であって会社としての関与はいっさいありません」として逃げ切ろうとしたのだ。トカゲの尻尾切りともいうが、ビッグモーターでもみられた「切り離し」の図式である。ただこの時点では既に「もう一件あるようだ」と指摘されている。つまり個人の問題ではないと仄めかされている。調べればわかるのにという気がするがそこまで頭が回らなかったのだろう。

記事の中で中村正毅記者はこう指摘する。

「現時点では本件以外での同種の事案は認識しておりません」――。カルテルを実質的に主導していたことを認めた東京海上日動は、公表文書にそう記した。あくまで一社員が引き起こした特異な事例として整理し、早期の幕引きを図りたいという思惑が色濃くにじむ。

公取委が調査!東急への「大手損保カルテル行為」(6/26)

案の定、京成電鉄と千葉都市モノレールで類似事案が見つかる。「独禁法違反が続発する共同保険の底知れぬ闇」というサブヘッダーがついている。6月末時点では「一部の例外的な不祥事」だとして恐々と中を開けてみたら全体に広がっていたという図式である。

大手損保が京成電鉄向けなどでもカルテルの疑い(7/31)

こうなると「誰の責任なのか?」という問題が議論されることになる。だがおそらくこれは構造的な問題だ。

NHKは自然災害が多発し保険料支払い額が増えており保険会社の統合も薦めたことで保険を引き受けることができる会社が減っていると指摘している。東洋経済はこれに加えて代理店との歪な関係があり代理店主導で保険料を調整する動きもあるのではないかと言っている。

損害保険4社「カルテル」か 公取委が独禁法違反疑いで事情聴取(NHK)

大手損保のカルテル問題に潜む「代理店」の暗躍(東洋経済)

たとえ損保各社に通達を出したとしても、もともと遵法意識が低く営業利益の追求に追われている代理店の改革が進むかはよくわからないというのが東洋経済の指摘なのだろう。

構造的な問題があるとすれば損保各社にレポートを上げさせて「あとはきちんとやっておけよ」で済ませるわけにもいかない。監督官庁は金融庁になるのだろうが担当者を張り付けて監視し続けるわけにもいかないだろう。となると、仕組みや制度の問題なのだから政治の側がなんらかの仕組みの改良を行わなければならないことになる。

ただ岸田政権では未解決・未着手のアジェンダが積み上がっておりこれ以上「案件」を抱えるわけにはいかないのではないかと思う。またこれまでの実績を見ている限り実効性のある対策を作れそうにも思わない。色々な人の話を聞いて「ああそうだよなあ」と納得してしまうからだ。ここは野党がしっかりと状況を把握し改善につながるような提案をしてほしいところなのだが、こちらもそこまで過大な期待をしていいものなのか、悩ましところではある。

社会が有効な対策を打ち出せない場合の解決策は前近代的なものになる。誰かを広場に引き摺り出してみせしめとして立ち上げれなくなるまで叩くのが唯一の解決策になってしまう。保険業者が「一担当者の問題だ」とまとめようとしたのもおそらくこれが原因だろう。話が広がりマスコミが騒ぎ始めればきっと叩かれる側に回ってしまうという彼らの予想は自己実現しつつある。

今となってはもう手遅れだが、大手4社は見せかけでない本当の第三者委員会を設置して自ら対応策を提示すべきだった。

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