ざっくり解説 時々深掘り

左翼が安倍政権を打倒するためにはどうすればいいか

カテゴリー:

次の選挙で安倍自民党が勝つと、憲法改正が提案されると言われています。自民党の憲法改正案は立憲主義を否定するものであり容認できるものではありません。一方、民主党に危機感は薄く、自己改革の意欲もなさそうです。そこで、自民党優位の状況を変えるにはどうすればいいか考えてみました。

「市民」の本音を知る

日々文章を書いていると「市民」には特徴があることが分かります。男性的な価値観を持っていて、自己変革の意欲はありません。左翼勢力は女性的な価値観を持っていると見なされており、蔑視と差別の対象です。故に表立って社民党や共産党を応援する人は多くないはずです。左翼はまずこのことを知る必要があります。
男性的な価値観とは、科学的で効率的であり経済的に成功しているというものです。人々は競争的で、勤勉さが良いものと考えられ、弱者と見なされる事を怖れます。日本では生活保護レベルでも「福祉の対象になった」と見られることを嫌います。女性的な価値観とは「お互いが思いやりの心を持って、居心地のよい社会を作る」というようなものです。ジェンダーのニュアンスに拒否反応があるのなら、競争的価値観・共生的価値観と言い換えてもいいかもしれません。
旧弊な体制に対する嫌悪感はあるようで、上から価値観を押しつけられることを嫌います。「結婚したら同姓になるのは日本の伝統」とか「女は家にいるべき」というのは反発の対象になります。普段から価値観を押しつけられ辟易しているのかもしれません。
「市民」は結果で判断し、多数派への一体化願望があります。民主党は失敗した政党と見なされています。ただし、リーダーが変われば過去の失敗は忘れ去られます。左右ともに立憲主義や民主主義といった議論の仕組みには全く関心がありません。議論はプロセスであり、プロセスには興味がないからです。

安倍政権の何が成功だったか

安倍政権が成功したのは「偉大な虚無」だからです。彼らはプロセスには興味がありませんが、支持者たちの欲求はよく知っていて、それを叶えるためには何でもします。支持者たちは「自分たちが変わらずに、都合のよい状態がもたらされる」と信じるようになりました。嫌なことはやりません。「消費税が増える」とは言わず「税が軽減される」と言います。
偉大な虚無に対抗するのは時間の無駄です。空気を押しているようなものだからです。偉大な虚無に対抗しているうちに「話が通じない」と感情的になるかもしれませんが逆効果です。失敗したと見なされる人が感情的に議論すると「負けた」という印象が強まるからです。優越感を感じている人はいらついている反対者を見て満足します。

勝ちたかったらどうするべきか

本来ならば、日本の経済を立て直すために、有効な経済対策を打ち出すべきです。しかし、野党にはそのつもりはないようですし、長年「反対勢力」だった左翼勢力にはその能力がありません。
事前の策としてできることは「自民党に弱者のレッテルを貼る」ことです。「経済的競争社会において旧弊な自民党が国際競争の足を引っ張る」というようなものになるでしょうが、これは男性的価値観に沿っていれば何でも構いません。
弱者にも優しい社会などと言ってはいけません。また、有権者は弱者扱いされる事を嫌うので「非正規労働者の立場に立った」などと言ってもいけません。代わりに有効と思われるのは「真に能力のある人へのエンパワーメント(権限委譲)」などという主張です。これは競争的だからです。
これを学者(プロセスを考える人)ではなく、実業家(結果的に成功した人)に語らせるべきです。有名人への一体化欲求も満たされるでしょう。
実業家に情報発信を任せるということは、与党に対抗する左翼的勢力が自己改革をするということです。古くから「革新」と呼ばれていた人たちはもはや「革新(リベラル)」ではありません。有権者は変わりません。勝ちたかったら左翼勢力が変わる必要があります。

野党が失敗するとどうなるのか

さて、この議論は大衆操作的です。有権者には合理的な判断能力がないので印象を操作し結果を適当にでっち上げろと言っているようなものだからです。演劇的ではありませんが大衆煽動という意味では左翼の嫌うヒトラーのやり方に通じるものがあるかもしれません。
今度の選挙で自民党が勝っても、左翼勢力が主張するようにすぐに戦争が始まるということはないでしょう。憲法改正の発議がなされても、あまりに復古的なために有権者は戸惑うだけで積極的に賛成することはないかもしれません。
つまり、自民党は脅威ではありません。では、何が問題なのでしょうか。
安倍政権は順風満帆なように見えますが、間もなく転換期に入るのではないかと考えられます。アメリカの金融緩和策が終わり、経済環境が変わりつつあるからです。経済的な不満が高まれば、その矛先は現在の政権に向かうでしょう。大衆の空気が変われば、新聞の論調も変わってしまうのではないでしょうか。新聞は政権に抑圧されているのではありません。自主的に読者が読みたい事を書いているのです。
予想される最悪のシナリオは「安倍政権が作った民主主義のバックドア」を使ってもっと過激な人たちが政権を握るというものです。彼らは「あなたたち(有権者)は変わらなくてもいい。悪いのは旧弊な政治だ」と言うでしょう。彼らの矛先には右も左もありません。
今の自民党よりももっと過激な人たちが表れた時に今のように民主主義の危機を叫んでも遅いでしょう。左翼勢力は今のうちに対策を練る必要があります。


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です