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岸田総理はこのまま秋本真利議員の贈収賄疑惑から逃げ切れるのか?

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秋本真利議員と洋上風力発電業者の不適切な関係疑惑が新しい展開を見せている。Webメディアのアゴラが参入しているようだ。今回の件での「被害者」はコツコツとオランダで実績を積み上げてきた商社系の風力発電事業者だった。この件について調べると、真面目に事業に取り組んでいる人たちが損をする政治的文化があることがわかる。本来なら岸田総理総裁には大胆な見直しを行なってほしいところなのだがおそらく力量的にそれは無理だろう。

デジタルや再エネなど日本には大胆な改革は無理なのだろうという気がする。少なくとも岸田政権が続く間は実現しないだろう。

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岸田政権が秋本問題の切り離しを図っている。外務政務官という政府の立場では答弁に応じる必要がある。だから秋本氏は辞任した。さらに岸田総理・総裁の監督責任に話が及ぶことも避けたいようで自民党離党も決まりそうだ。面倒なものは隠してしまえという政権の姿勢が強く滲む。ただ国民の関心が高くなければそのまま「逃げ切り成功」ということになる。

秋本氏は河野太郎氏に近い議員とされている。河野氏はもともと脱原発派・再エネ推進で知られていた。また小泉純一郎元首相なども脱原発派として知られている。南関東にはこのような弱いネットワークがある。つまり秋本氏の件が拡大すれば彼らにも疑惑の目が向けられかねない。秋本氏個人の問題として処理したい人は多いだろう。

今回の件には日本風力開発・レノバという2つの会社の名前が出ている。最初に捜査対象になったのは日本風力開発だった。資金提供までは認めているが賄賂性は否定しているという段階である。日本風力開発の社長と秋本氏は「馬主仲間」なのだそうだ。

レノバについては文春が2月時点で文春が記事を書いているが、まだ捜査対象になったという話はない。

実はこの不適切な関係については文春が取材をしていた。一度記事を書いたのだがこの時にはあまり注目が集まらなかった。

今回の捜査を受けてアゴラのある識者が記事を書いている。どうしても晴らしたい因縁があるようだ。この疑惑について扱ったところ秋本氏側から名誉毀損訴訟を起こされていたのである。今回の捜査によって弁護士8名が全員辞任してしまったという。裁判は続くものと見られるが後任は決まっていないという。

記事よるあらましは次のようなものになる。洋上風力発電は2020年に始まった15兆円の巨大プロジェクトだ。当初レノバや日本風力開発などが最初の3件を落札するものと見られていたのだが三菱商事グループが有利な価格を提示しプロジェクトを落札してしまった。

そこで何らかの理由で入札の評価方法が変わった。価格を条件から下げて別の要素を加えた。その時の所管大臣は萩生田光一氏だった。識者はこの入札変更に秋本氏が関わったのではないかと書いて名誉毀損で訴えられたのだ。

今回の件での一番の被害者はおそらく三菱商事系の風力発電事業者だろう。リスクを覚悟でオランダの風力発電事業に参画しコツコツと実績を積み上げてきた。しかしこの努力が報われることはなく同業者から「何か裏があるのではないか」などと叩かれていたようだ。努力したものを妬み潰してしまうという日本の風土はデジタル敗戦と呼ばれるIT技術革新の遅れにつながっている。秋本氏の件は実は政治がこれに加担していたということを意味している。本来ならば政権が自浄作用を働かせる必要がある。

東洋経済が取材している。三菱商事の価格の秘密は「オランダの電力子会社「エネコ」の練度の高いノウハウを取り入れたこと」なのだそうだ。ヨーロッパにはすでに洋上風力発電が盛んな地域がある。この努力の結果、国内企業よりも有利な条件を提示することができたようだ。この会社は早くからオランダの事業に参画しリスクも取ってノウハウを蓄積してきた。安い電力が提供できれば国民にとっては「良い事業者」ということになる。国が成長するためには企業がリスクを取ることが大切だ。だが日本人にはリスクをとって成果を収めた人たちを妬み潰そうとする文化がある。そして政治はそれに群がり加担する。

Business Insiderは商社は紳士的に条件変更にも粛々と対応するだろうと書いているのだが、アゴラはこの時の他社の働きかけを「恫喝」と言っている。あるいは妬みといっていいかもしれない。この「恫喝」の結果、三菱商事グループの強みだった価格のウエイトが下げられた。つまり何らかの理由で「後出しジャンケン」が行われた。秋本氏が熱心だったのは間違いがない。ただ1議員が働きかけただけですんなりと条件が変わってしまうのか?という疑念は残る。やはりそこには「空気」があったのではないだろうか。

アゴラはある指摘をしている。河野太郎氏の警戒だ。河野氏は業界がロビー活動をしていると決めつけた上で「日経新聞までが提灯を持つようになった」と警戒していたそうだ。不自然な警戒の理由は不明である。

河野大臣はこの問題について積極的に発言してきた。当初の所管官庁は環境省だったそうだが「取り組みが消極的」として激怒している。菅総理に近いこともあり「菅政権で担当官庁を変えなければならない」とさえ言っている。これが2020年の話である。2022年には経済産業省の取り組みが遅いと言っている。

河野太郎氏が秋本氏に加担していたと魔で言い切るつもりはない。そのような確たる証拠は出ていないあらだ。だが何事にも前のめりで周りに軋轢や問題が生じても全く気にしないところがある。コロナワクチンでもマイナカードプロジェクトでも国民は河野氏に振り回されてきた。今回のケースでは事務所運営などでお金に困っていたことがわかっている秋本氏を善導し監督できていたのだろうか?という疑念は残る。一人の例外的な問題であったとしても「再エネはどこか後ろ暗い事業なのではないか」と思われかねない。

立憲民主党はこの間の動きについて承知しており秋本氏に質問を行なっている。だが国民からの支持が低いためあまり注目されてこなかった。ただ、これまで秋本氏は外務政務官として政府の一員である以上答弁をする義務があった。

岸田政権の姿勢はいかにもあからさまだ。このまま外務政務官として秋本氏を放置しておくと答弁義務が継続する。これを消すためには本人が辞任してしまうのが良いということになる。

この件に関して西村経済産業大臣は「何も知らない」と言っている。また、松野官房長官も「あえて報告は求めない」との姿勢だ。つまりこの件から距離を置き、あくまでも秋本さん個別の問題として処理したいのだろう。つまり「逃げ切りたい」のである。

ただし、政権の逃げ切りは国民にとってはあまり良い結果をうまないだろう。最も気になるのはルールが歪められ努力をしていた人たちが報われなかったという点だろう。秋本さんは「みんなが儲かる仕組み」にならなければと言っていたようだが、おそらくその「みんな」に国民は含まれていない。お腹を空かせた人たちが新規事業に群がり日本の改革を妨害しているのである。

期待するだけ無駄なのかもしれないが「私の内閣で日本を前進させる」と言い続けている岸田総理が取るべき対応は逃げ切りではなく正面からこの問題に向き合うことだろう。

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