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岸田政権に新たな火種 秋本真利衆議院議員が東京地検特捜部の捜査対象へ

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共同通信が「秋本真利議員、数千万円受領か 東京地検、洋上風力の社長聴取」という記事を出している。秋本真利議員が洋上風力発電事業者から数千万円を受領していた疑いが持たれており社長が既に聴取を受けているのだという。秋本氏は現在外務政務官を務めており政府の一員だ。本来なら政権にとって火種になりそうなのだが「小さな火種」で済みそうだ。政権は他にもさまざまな火種を抱えているのでこれが比較的軽微に見えてしまうのである。なお、時事通信はまだ議員の名前は出していない。報道機関によって報道姿勢に若干の違いがあるため取り扱いには注意が必要だ。

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現在捜査対象になっているのは日本風力開発だ。政府の洋上発電プロジェクトへの参画を目指していたが落札ができなかった。

NHKは「この入札について、秋本議員は去年2月に国会で質問し次のプロジェクトの公募から入札の評価基準を見直すよう求めていました」と秋本氏との関係を説明している。仮に秋本議員にお金が渡っていたとすれば贈収賄が疑われていることになる。

共同通信とNHKは秋本議員の名前を出しているのだが時事通信はやや慎重な姿勢だ。議員の名前は出ておらず「趣旨を慎重に捜査する」となっている。

秋本議員は千葉9区選出の国会議員だ。河野太郎氏に誘われて政界入りしている。政権に入る前の河野太郎氏は自民党の中では珍しい脱原発派の議員だった。秋本氏もこの影響で再エネに力を入れるようになったものと思われる。

秋本真利氏の地元での評判はあまり芳しいものではなかったようだ。

文春の報道によると千葉市内に持っている事務所は市街化調整区域にあるが建築申請が行われていなかった。賃料が安く抑えられるために市街化調整区域に事務所を構えたのではないかとされている。この報道を受けて秋本事務所は「反省して事務所を移転します」と表明している。法令を無視してまで賃料を安く抑えたかったということになる。他にも秘書給与についての疑惑もある。とにかく事務所運営の経費捻出には苦労していたのではないかと思われる。

この時、既に洋上発電をめぐる疑惑は取り沙汰されはじめていた。今回のニュースは「噂から具体的な捜査へ」という段階だ。ただし共同・NHKと時事通信の報道はややフェイズが違っている。

国会質問をめぐる贈収賄の疑いという重大な事案なのだが、仮に捜査が進展したとしても騒ぎじたいはそれほど大きくなりそうもない。理由はいくつかある。

既に政権はさまざまな火種を抱えているためこの件が比較的に小さく軽微なものに見える。

さらに「単独事案」であり他に波及しそうにない。千葉県では千葉5区の薗浦健太郎議員が「政治と金」の問題で辞職している。「政治資金収支報告書不記載」という一連の問題であったため大きく騒がれた。

さらに秋本氏は今回は比例復活している。このため仮に何かあったとしても薗浦健太郎氏のような再選挙はないものと考えられる。

おそらくこの事案が騒がれない最も大きな理由は秋本氏の知名度のなさだろう。薗浦さんは麻生太郎氏の政策秘書をやっていた人だった。つまり薗浦さんの辞任によって麻生は頼りになる人を一人失ったなどと言われた。だが、秋本さんは「河野氏の最側近」といっても麻生派・河野グループに所属している訳ではない。どちらかと言えば菅グループの人だと見られているようだが、菅グループには具体的な形がないため「無所属の議員の単独事案」ということになる。

いずれにせよ国民の政治に対する期待が薄れているため多少の贈収賄疑惑があったとしても「まあ、これくらいのことをやっている人はいるだろうな」程度にしか思われないということになる。

今回の記事は秋本氏に関連している企業が任意聴取を受けたという話であって、秋本氏が聴取を受けたという報道ではない。繰り返しになるが報道機関によってはまだ名前を出していないところもある。今後捜査がどう進展するのか、それにつれて世間の関心が集まるのか(あるいは集まらないのか)が注目される。

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