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野党はリベラルなのか

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市民連合が新しいプラカードを作ったのを見て違和感を感じ「ああ終ったな」と思った。野党共闘に何の意味もないことが雄弁に語られていたからだ。
市民連合のプラカードには野党共闘というフレーズがあり、英語でUnite – All the liberals in Japanと書いてある。
最初の疑問はtheである。「そのリベラル」っていったいどのリベラルなんだと思った。英語ができる人にチェックしてもらった方がよいと思う。
次の疑問は野党をLiberalと訳していることに対しての違和感だ。ちなみに野党を正しく訳すとOppositionとなる。これは対立しているという意味で、英訳すると意味を成さない。Uniteというからには目的があるはずなのだが、その目的が見当たらなかったのだろう。そこでLiberalという英語を当てたものと思われる。
Liberalという語は「政府からの自由」というような意味を持っている。日本語では革新というような訳語が与えられることがあるが「新しい」というのはリベラルの本来の意味ではない。
日本の左翼はどう考えてもリベラルではない。社会民主党や共産党はどちらかというと福祉優先の「大きな政府」を指向しているので、本来の意味でリベラルとは呼べない。さらに、大なり小なり「クラッシック」と言えるマルクス主義の影響を受けている。
市民連合は「野党共闘」だということだ。つまり結集する理由は「反対すること」であり、それ意外にはない。反対運動が成就した暁には何が起こるだろうか。敵を見失った瞬間に内ゲバが始まるだろう。内ゲバを誘発するために票を入れるのは嫌だ。
左翼主義の人たちは未だに自分たちが「革新だ」と信じているのだろう。美濃部都政などは「革新都政」と呼ばれたのだろうが、それは遥かに昔の話である。左翼政党はその頃から進歩しておらず、もはや革新的とは言えない。全く時代が読めていないという意味では壊滅的である。
不思議な事に日本のThe Liberalsが対抗するのは、自由民主党だ。英語名をLiberal Democratic Partyという。こちらもリベラルを標榜している。日本はリベラルな国とは言いがたく、国民もリベラル(つまり小さな政府)など望んでいない。にも関わらず「なんとなくかっこいい」という理由で、リベラルを自任する人たちがリベラルな政党を攻撃するという、訳の分からない状態になっている。
これが市民アクションだというならFight for DemocracyとかCitizen’s movement for democracyなどとした方が良かったのではないだろうか。
野党は新しいビジョンを示せていないことは民主党と維新の党の合併騒ぎにも表れている。もともと民主党は、アメリカにあやかって二大政党の1つの名前をつけたものと思われる。維新は「取りあえず、ゼロリセットして新しくする」という政党なのだろう。共に新しいビジョンを示す事に失敗している。
ここは正直になって「与党に入れない人たちの選挙互助会」などという党名を付けるのもよいのではないだろうか。


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