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永田町の病とは

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橋下徹大阪市長が維新残留組の「永田町病」を批判している。国会議員だけで何でも決められると思ったら大間違いだという。永田町が病気にかかっているのは間違いない。かといって、地方議員が国会議員と対等だというような意味ではない。もっと別の病 – 正常化バイアスだ。
現在、維新の党も民主党も主導権争いしている。ポストによる見返りのある自民党にはこうした兆候は見られない。両者には共通点がある。「アベノミクス」により経済的な危機が去り、権力争いしたりポスト争いをする余裕がある、と思っているのだ。
だが、状況は変化しつつある。アメリカが利上げを検討しているからだ。利上げが行われば、金余りの状況は変化するだろう。現在、先進国の金利は低く抑えられており、ヨーロッパではマイナス金利の国さえ出現した。日本でも使い道がない金を日銀の当座預金に寝かせることが一般化している。結果的にインフレは抑えられており、政府は安い(ほとんどないに等しい)金利で金が借りられる。
アメリカが利上げをすると、今までだぶついていたお金はアメリカに向かうだろう。日本の金利もそれにつられて上がるはずだ。今まで安い金利でお金を調達できていた人たちは誰でも(それは日本国政府を含む)高い金利に苦しむ事になる。国内の株に投資されていた金もアメリカに向かう。株価は「暴落」まではいかないにしても下がるにちがいない。ドルの需要が増せば、ますますの円安になり、食料とエネルギーのコストは増大し、家計を圧迫することになる。株式に投資された年金資金が戻るのかは分からない。
こうした事態は、大地震のように「いつかあるかもしれない」危機ではない。既に計画されていることだ。だが、日本の政治家は「困ったら日銀がなんとかしてくれる」と思っているのではないかと思う。自分たちが日銀に命じさえすれば、なんとかなると信じているのだろう。今と同じ状況がずっと続くという錯覚を持っているということになる。これが正常化バイアスだ。
永田町には誰1人として「今とは違う状態になったらどうしなければならないか」と自分の頭で考える人がいないのかもしれない。さらに自分たちが政策を決めていると思い込んでいるのも問題だ。実際の政策は国の外で決められており、永田町はそれを後追いしているだけだ。
自民党の政策が立ち行かなくなることは既に分かっている。前回と違って民主党のせいにすることもできない。つまり、民主党は「まともに作用する」経済政策さえ作っておけば、自民党に勝てるチャンスが生まれることになる。果たして民主党が経済政策を立案する力があるかという問題はあるが、これは外部の力を借りればよい。国内外から専門家を募ってくればすむだけだ。
維新の党(大阪系)に期待する向きもあるが、彼らはフリーライダーのようだ。法律的なリスクを回避した上で、利得がありそうなプロジェクトを物色しているように見える。持続性のない短期勝負型だ。権力と政党助成金を目当に集ってくる政治家がたくさんいるので「カモ」には困らないといったところだろう。政治家にしがみつきさえしなければ、短期利得を得る機会は多く転がっているということになる。
共産党は政権を担うつもりがないので、分配政策さえ訴えていれば良い。良い悪いは別にして、それが左派政党というものだ。
それより大きい問題は民主党の意欲の欠落だ。政権を担える政党になると言っている民主党だが、経済政策を自ら立案しようという意欲と自信を持っていないように見える。「政権が担える政党になる」とは言うものの、具体的な政策が立案できず、その意欲も見えない。実際には永田町の人たちは「お手上げ状態」になっており、国民の財産をあたかも自分のもののように分配することだけを「政策」なのだだと誤解しているのかもしれない。
この「疑念」が確かなのかは分からないが、もしそうなら、日本は漂流した挙げ句、国民の資産がシロアリのように食い尽くされて行くことになるだろう。立憲主義が守られていようが、破壊されていようが、たいした違いはないのかもしれない。