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マイナ健康保険証問題で受け答えが不安定化する河野太郎大臣はあとどれくらい「持つ」のか

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読売新聞が再び内閣改造報道を出した。読売に報道させて総理が「何も考えていない」と否定するのは国会会期末の解散騒ぎの時にもみられた岸田総理の手法だ。読売新聞の焦点は河野太郎大臣の処遇である。総理は「おそらくもう持たない」と思っているのだろうがここで替えると「負けた」ことになってしまう。河野太郎氏の受け答えは不安定化しており火に油を注ぎ始めている。このままではあと二ヶ月持たないのではないかとさえ思える。冷静に考えると河野さんを替えたからと言って問題が解決するわけではない。このままドタバタが続けば「どうせ日本には大掛かりなITプロジェクトは無理だ」という誤った諦めが蔓延しかねない。「できない」と判断するならば早めに身を引くべきではないだろうか。

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読売新聞が独自に内閣改造報道を出している。

だが、おそらくこれは読売の独自ではない。表向きは何も決めていないと言いつつ周囲の期待を醸成し急進力を保とうとするのは岸田総理の常套手段だ。国会会期末の「すわ解散」でもとられた手法だがその時にあったのは重要法案が通らないかもしれないという焦りがあったとされており自身もそれを認めている。今回も「もう内閣が持たないのではないか」という危機感が背景にあり求心力を維持しつつ打開策を探そうとしている可能性が高い。

読売新聞は聞かれてもいないのに「河野太郎氏の処遇が焦点」などと書いている。

マイナンバーカードのトラブル続発などで内閣支持率は下落傾向になっており、不安解消策を徹底しつつ、体制の刷新や首脳外交を通じ、立て直しを図りたい考えだ。

あたかも「河野太郎大臣がマイナンバーカードでしくじったので内閣支持率が下落傾向」なのだから「河野太郎大臣を取り替えれば人心が刷新できる」と言いたいようだ。問題はマイナ保険証の仕組みと進め方にあるのであって、国民が故なく騒いでいるわけではない。

マイナンバーカード問題については朝日新聞と新潮の報道をきっかけにして「政府への抗議の返納」が大きな話題になっている。河野太郎氏は「河野さんはマイナンバーカードを持っているんですか?」という質問に答えず、さらに「返納数は大したことはない」などと言っている。受け答えが実に子供っぽい。自分が批判されていると勘違いしているのだろう。

河野さんの問題はどこにあるのか。

日本国民が解決したいのはマイナンバーカードの問題である。正直河野さんの評価などどうでもいい。マイナカードプロジェクトは河野さんの自己愛を満たす道具ではなく国民の日々の暮らしに直結したツールであるはずだ。

IT化を進めて政府の事務を効率化してもらいたいと期待する人も多いだろう。だがこのままでは政府の事務効率化など夢のまた夢である。コロナの「お金配り」の時から多くの国民が「なぜ日本政府のITはここまで下手になってしまったのか?」と疑念を持っておりその答えを知りたがっている人も多いのではないか。

日本には仕事熱心な人たちがたくさんいる。また優秀なITエンジニアも大勢いるはずだ。なのになぜ日本社会はこの体たらくなのか。司令塔になる人たちが優秀な日本の人的資産を使いこなせていないだけなのではないかと思う。

だが、河野大臣はいつも鏡に映る自分の姿ばかりをみている。この自己愛が問題なのだ。問題を否認し新しい事を学ばないために問題解決が難しくなる。

昔から「エゴサ能力」が病的だという指摘があり「どうやったら河野さんのエゴサから逃れられるのか」というチャレンジが流行ったこともあるそうだ。そして批判的な意見はブロックしてしまうため「ブロック太郎」というあだ名もある。今回のマイナカードに対する受け答えからもわかるようになんでも個人的に捉える上に批判されるのが嫌いなようだ。

河野さんが現在気にかけるべきはマイナ健康保険証の評価であって河野太郎氏の評価ではない。だが、対応があまりにも不安定で幼稚なので「この人は大丈夫なのか?」ということになりつつある。さらに建設的に問題を指摘する人たちは疲れ果て与党に恥を書かせてやろうという人たちだけが生き残る。

岸田総理はどういうわけか「安倍・菅総理大臣が成し遂げなかった事を自分がやりたい」と焦っており、マイナンバーカード問題は迷走している。健康保険証を人質に本来は義務ではないものを無理やり取得させようとした。制度設計が杜撰な事も加わって地方行政や健康保険の業務は今や大混乱と言って良い。

岸田総理の元で問題は解決しそうにないが、読売新聞を読む限り、岸田総理は「河野太郎氏を替えれば国民は問題を忘れてくれるのではないか」と思っている可能性がある。神奈川新聞も国民がマイナンバーカードに不安を持ってくれれば「河野さんを潰せるのでメリットがある」と読み取れるような発言を紹介している。

所属する麻生太郎副総裁の派閥からは「岸田文雄首相は河野氏に対応丸投げ。責任回避と総裁選の対抗馬つぶしで一石二鳥」(閣僚経験者)と首相への冷評が聞かれる。

マイナンバーシステムやマイナンバー保険証がうまく機能しない理由に関しては早い段階からいくつもの「仮説」が出ている。政府はこうした仮説を汲み取り一つひとつ潰してゆかなければならない。政治は世襲政治家の自己愛を試す装置ではないのだから、問題が解決できないなら河野さんは早めに総理大臣に辞表を書くべきではないだろうか。

繰り返しになるが、日本には優秀なITエンジニアがたくさんいると信じている。だがこのままでは「日本にはITを使った社会変革は無理」という間違った諦めが蔓延し「政府に恥を書かせてやろう」という人たちだけが活性化することになるだろう。

一度「お店を広げた」人たちの責任は重い。本来は優秀な日本人の能力を発揮するために岸田政権は最後まで問題解決に集中するか、冷静になってそれができる人にバトンタッチすべきではないか。

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