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国民拒否権投票案

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基本的には護憲派だ。自民党の掲げる憲法改正案があまりにも時代錯誤的なので、政治家には憲法を弄って欲しくない。さすがに、今の憲法9条は時代に合わなくなってきているし、自衛隊だけを合憲にするというのはいささかご都合主義だ。しかし、危険な改憲案を受けいれるくらいなら、矛盾を放置した方がましだと思っている。
しかしながら、最近ちょっとだけ考え方が変わった。つまり、改憲派に転向したのだ。野党はあまりにもだらしない。だから、直接民主主義的な制度を導入しないと民意が反映されないことがあるのだろうなあと思ったからだ。とはいえ、民意には積極的な政策立案能力はなさそうだ。
そこで考えついたのが国民拒否権投票だ。
有権者は有権者数の1/10の発議で国民拒否権投票の開催を最高裁判所に要請できる。最高裁判所は60日以内に国民拒否権投票を実施する。投票者数の過半数で審議中または審議の終った法案を廃案にすることができる。
デモがどんなに盛り上がっても、国会審議に影響を及ぼすことはできない。とはいえ、民意の盛り上がりは無視できない。で、あれば民意の関与を認めるのは極めて正当なことだといえるだろう。政治家にやましいところがなければ拒否権投票を避ける理由はない。また、マニフェストに小さな字で書いておいて「読んでいない国民が悪い」などというマニフェスト詐欺は減るだろう。
お好みであれば、ここに「内閣不信任」をトッピングしてもよいかもしれない。
もちろん、難点もいくつかある。発議の署名を集めるのは大変だ。かつて原発再稼働反対1000万人アクションという活動があったが「1000万人集った」というのは聞いたことがない。国民の反対運動といっても、実際に盛り上がっている人たちの数はそれほど多くないかもしれないのだ。さらに、過半数で廃案というのはかなりハードルが高い。
さらに廃案になった法案は再提出ができるので、選挙と国民投票の間で民意がねじれれば、「提出」して「廃案」という不毛な無限ループが繰り返されるかもしれない。
日本国憲法は戦後改正された事がない。国会議員が自分たちの立法特権をみすみす手放すとも思えない。故に、こうした憲法改正案を飲ませるのは大変な作業だといえるだろう。ほとんど、不可能と言ってもよい。
最後の難関はいわゆる「護憲政党」だ。護憲政党はとにかく憲法改正に反対しているので、憲法改正派に転じるのはなかなか難しいに違いない。
にもかかわらず、こうした改憲案を提示することには意味があると思う。自民党の国会議員たちは立憲主義と国民主権に恨みを持っている。改憲案は自民党が野党に転落してしまった時にできたのだが「国家を主導するはずの自分たちが、ふらふらとした民意に放逐された」と感じているからだろう。
中には、日本国民には天賦人権を与えるべきではなく、国の歴史こそが主権者たるべきだと堂々と主張する人までいる。国の歴史を神として奉れば、自分こそがその神官になれると本気で信じているのである。
こうした敵意と錯誤に対抗するためには、積極的に政党政治への制限を提案をすることも有効な手段ではないかと思うのだ。選挙こそが民主主義だと非難する人がいれば「積極的立憲主義だ」とうそぶいてやればよい。