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共和党の主要候補がアメリカ出生地主義の転換を改めて提案

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元々のニュースは大統領選挙キャンペーンを開始した。バイデン大統領が「バイデノミクス」という新しい政策を提案する。バイデノミクスはアメリカ時間の28日に発表されるものと見られている。

こうなると共和党ではどんな提案がなされているのかということが気になる。デサンティス氏は「国境対策の強化」を提案している。このニュースの中に「出生地主義の転換」という言葉が出てくる。アメリカの国是の大胆な転換だがあまり大きくは扱われていない。トランプ大統領の時代に一度「選挙対策」として提案されたが具体的には検討されなかったようだ。

いずれにせよアメリカ合衆国が新しく入ってくる人たちに「チャンス」が提供できなくなっていることがわかる。

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バイデン大統領がバイデノミクスを提案する。これを盛り上げるため「先出プレビュー」が出てきた。映画で言うと予告編みたいなものだ。

ユニバーサルサービスという言葉がある。日本では郵便、金融、電話でユニバーサルサービスの維持が求められている。元々は「公社」によって行われてきたが経営を効率化させるために民営化された。鉄道も元々ユニバーサルサービスだったが地方の路線維持は難しくなっている。

バイデン大統領は民間がインターネット回線を準備したがらない僻地にもネット回線を普及させると言っている。つまりネットのユニバーサル化を提案していることになる。社会主義批判が根強く金融や医療社会保障ですらユニバーサルサービスの普及が難しいアメリカで「国有」のネット企業が実現できるのだろうかという疑問は湧く。

だが、少なくともバイデン大統領が何を目指しているのかということはわかる。アメリカのどこにいても経済参加のチャンスは与えられるべきでその基盤は国家が整備しなければならないということなのだろう。

一方で共和党のデサンティス候補は「国境の監視体制を強化する」と言っている。これはトランプ前大統領に対しての打ち出しだ。トランプ氏の姿勢もかなり強硬だったが「それでは不十分だ」と言っている。

川を挟んでメキシコと国境を接するテキサス州イーグルパスで開いたイベントで、トランプ氏を含むこれまでの大統領が移民流入を食い止める措置を講じてこなかったと批判。「言い訳は無用だ。仕事を成し遂げろ」と述べた。

デサンティス氏が国境政策発表、強硬路線でトランプ氏に対抗(ロイター)

この中にあまり目立たないフレーズがある。

出生地主義に基づく市民権付与を廃止する考えも示した。

もともとアメリカ合衆国は「ヨーロッパなどから迫害を逃れてきた市民たちが自分達の手で自分達の財産を築けるようにする」という理念で形成された移民国家である。このため定住を決めた人たちには市民権が積極的に与えられてきた。ロイターは「トランプ氏も同様の提案をしている」と書いている。共和党の主要候補がそろってこの「国是」を転換しようとしていることがわかる。

この出生地主義の転換がメインラインではなくサイドラインになっているのは既に2018年にトランプ氏が同様の提案をしているからのようだ。中間選挙を前にした提案だったが「実施されれば法廷闘争になるだろう」などと書かれている。つまりその時には単なる思いつき扱いされ具体的な作業はなされなかったということになる。憲法上の扱いが難しいからだろう。

出生地主義の米国籍付与、トランプ氏が廃止表明(日経新聞)

デサンティス氏がトランプ氏以上に強硬な移民政策を打ち出すためには出生地主義の転換は避けては通れない「改革」なのだろう。実際にデサンティス氏が大統領になって実施に向けた具体的な提案をするまでデサンティス氏がどの程度本気なのかはわからない。またそれが実施された場合アメリカの国柄にどのような影響を与えるかも不明だ。

民主党は新しく入ってきた人たちを取り込もうとしている。民主党において「民族の多様性」が重要視されるのはそのためである。性的自認の多様性確保はその延長に過ぎない。そしてそれを支えるのは既に成功している人たちだ。つまり既に成功している人は新しく成功を目指す人たちに分前を与えるべきだと言っている。

一方で共和党は既に入っている人たちの既得権を守ろうとしている。このため流入する移民を制限しようとしているのだろうということがわかる。デサンティス氏は費用は不法移民の送金で賄うと言っている。こちらは新たしく入ってきたプレイヤーがこれまで成功している人たちから財産を盗み海外に持ち去ろうとしていると考えているようだ。

よくアメリカの二大政党制は「イデオロギーの対立」と言われる。だが実際には既得権の喪失を恐れる人たちとチャンスの土地に生まれたのに十分にゲームに参加できていないと考えている人たちの間の立場と見込みの違いなのかもしれない。アメリカが世界的な大国として君臨している時には見えなかったものが今に顕在化している。

そう考えると「現状維持を望む中間層が多い」日本でアメリカのような二大政党制を実現させるのは極めて難しいのかもしれない。似たような対立があるとしたら高齢者と若者の世代間対立にしかならない。

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