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山本太郎氏の懲罰逃げ切りで参議院での「国会ダイブ」が事実上の容認へ

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通常国会が終わりに近づき総括の季節に入っている。参議院は山本太郎氏の懲罰を検討していたが「本人が反省している」と言う理由から懲罰をしないことにした。しかしながられいわ新選組の大石晃子氏は「懲罰を粉砕した」と主張しておりとても反省しているようには見えない。つまり表向き反省の意思さえ示せば国会内での「ダイブ」はやってもいいと言う前例を作ったことになる。議員たちはせいぜい体力をつけて「次」に備えるべきだろう。

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山本太郎氏がなぜ懲罰されなかったかについてメディアの分析は分かれている。どのメディアも「本人が反省しているから」と言う議運の説明は書いている。だが背景事情は若干異なる。TBSは「共産党が反対して意見がまとまらなかった」と付け加えており、共同通信は「本人が自分の主張を宣伝するかもしれない」ので懲罰しないことにしたと説明している。

いずれにせよ山本太郎氏が反省したことになっている。記者クラブ制度に加盟しているメディアが書けるのはここまでだ。「国会が懲罰を見送ってあげた」となっている。

この中で最も説得力があるのは共同通信の「自己宣伝説」だろう。ガーシー議員の懲罰動議で前例がある。れいわ新選組はすでに22630筆の署名を集めており処分が先送りされていた。この署名を背景に「圧力を加えると返って相手の運動を刺激しかねず損だ」という計算が働いた可能性がある。

山本太郎氏の懲罰採決が先送り れいわ・大石晃子氏「反対してくれたみなさまの影響は大きい」

今回の議運の判断に大石氏は次のようにコメントしている。「懲罰を粉砕した」といっており「本人は反省なんかしとらんで」と付け加えられている。つまり記者クラブメディアと意見が違い「向こうがビビって懲罰できなかった」ということになる。記者クラブメディアとネットではここまで意見が違うのかと改めて驚かされる。

事実上の勝利宣言だ。彼らは逸脱行為を認めささせることで「普段は自分達を抑圧しているシステム」に一泡吹かせてやったと言う気持ちがあるのかもしれない。少数者意見が排除され河野洋平氏も「想定と違っていた」と嘆く現在の国会システムで現状に不満を持つ有権者ができるのは「ちょっとした嫌がらせ」だけなのだ。

れいわ新選組共同代表の大石晃子衆院議員(46)が20日、自身のツイッターを更新。懲罰動議が出ていた同党代表の山本太郎参院議員(48)に対する懲罰が見送られたことに触れ、【懲罰粉砕しました】との題で「罪をでっち上げ、山本太郎への支持が増えたのにビビり、最後っ屁かまして逃げて行きよったなー。自民、公明、立憲らは」とつぶやいた。

地上波や通信社などはこうした「ネットで起きていること」は伝えない傾向がありスポーツニュースやWebメディアで足を伸ばさないと何が起きているのかがわからないとことが増えている。

つまり今回の件は「表向き反省していると言う態度さえ示せば」処分はされないと示したことになる。ただ反省だけではダメで院外で「ワイワイと騒ぐ」必要がある。議員たちはそれだけSNSの無党派の世論を気にしている。と同時にネット世論は不規則で掴みどころがないとも感じているのだろう。

だが「やはり暴力はいけないのではないか?」と言う意見もあるだろう。議員たちは普段から確かな規範意識を持ち国権の最高機関たる国会の権威を守るべきだ。

だが現在の国会はそうなっていない。党議拘束に逆らいLGBT法案に事実上の反対表明をした人たちの対応が分かれている。衆議院で「高鳥修一さんが処分された」と言う話は聞かない。彼は表向き「体調不良だった」と言うことになっている。だが参議院で退席し自説を述べた人たちは厳重注意処分を受けている。

LGBT法退席の3議員処分 参院自民

LGBT法案は当事者に寄り添った原案が採択されるべきだと個人的には思う。だがそれでも何か意見があるならば表に出て言うべきだしその意見は最大限尊重されるべきだ。自分も意見を言ったのだから当然相手の意見も聞かなければならない。

子供に「気が進まない時にはトイレに逃げていいの?」と言われて「波風が立たないようにそうしなさい」と教育しなければならないのが今の日本である。国権の最高機関はそうなっている。だが本当にそれでいいのか?ということになる。

結局お互いに意見を聞かず適当な理屈を作って相手の言い分を妨害したうえでやりたいことだけを押し通すと言うのが現在の国会だ。

ただ「大人は損得勘定で動く」と見抜いた子供たちは着実にそれを攻略する方法を学習しつつある。今回の例でいえば「意思決定は止められないがちょっとした抵抗は示さないと気持ちが収まらない」という感情が肯定されたことになる。

国会は国権の最高機関なので議員たちは何者にもとらわれず自由に活動方針を決めていいことになっている。縛りがあるとすればそれは憲法だけだ。

今回の参議院は道徳的な規範よりも損得勘定を選んだ。自分達でそれを選び取ったのだから、あとはそれに対処すればいいことになる。首を鍛えるのがいいのかスクワットをして足腰を強靭にするのがいいのかはわからないが、それぞれ体力をつけて次の乱闘に備えるべきなのかもしれない。彼らが言論空間をそうしたのだから問題は彼ら自身で解決すべきだろう。

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Comments

“山本太郎氏の懲罰逃げ切りで参議院での「国会ダイブ」が事実上の容認へ” への1件のコメント

  1. 山本太郎の行動が暴力かどうかより
    メディアにはまず今回入管法改正の内容のおかしさを報じてもらいたい。
    難民条約を批准しながら、難民認定率が1%未満の日本。『難民を見つけたくても見つけられない』と言いながら、一件の審査を数秒で終わらせていた疑惑のある審議官。そしてその方に集中して審査依頼がきていた、など、きちんと難民認定が行われていたかがまず問われるべきです。
    難民と認められて保護するべき人達をも強制送還させるような今回の法改正はするべきではなかった。
    強制送還されてしまったら逮捕や拷問、最悪命まで落としかねない人達がいて、
    それらの人たちのために体を張ってでも、1人ででもそれを止めようとしたのが山本太郎だった。その揉み合いの中で手が当たってケガをされた方がいるのなら、その方には申し訳なく思うし、直接謝罪もしてますね。故意にケガをさせようなどというものでないことは明らかです。
    山本太郎本人も『それを暴力だというのなら懲罰にかければいい』と言ってます。
    それを本人にちゃんと取材もせずに
    本人も反省していると言っているから、などと報じることに違和感しかありません。

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