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アフリカ大戦

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1994年のルワンダの大虐殺は隣の国コンゴ民主共和国(旧ザイール)に飛び火した。戦争は15年以上続き500万人以上が死亡したとされるが、詳しい人数はよく分かっていない。戦争は周辺諸国を巻き込んで泥沼化した。戦争に参加した軍隊は正規軍だけではなく、各地の武装組織も含まれる。周辺8カ国を巻き込んだこの戦争は、アフリカ大戦とも呼ばれる。
武装集団は各地のレアメタル鉱山を占拠し、地元の労働者が一日18セント以下で働かされていた。レアメタルはノートパソコンなどのハイテク機器を作るのに使われるので、先進国はレアメタルを買うことによって、戦争に間接的に加担していたことになる。(wired)一方、マスコミはほとんどこの戦争に関心を寄せなかった。
西洋諸国の関与はよく分からない。コンゴ(旧ザイール)はフランス語圏なのだが、イギリスとアメリカがルワンダ、ウガンダを支援をする形で英語圏を拡張させようとしているのだという憶測がある。一方、アメリカのアフリカに対する関心は低下しているのだという人もいる。
戦争の原因は国内政治の混乱だ。1960年代にベルギーから独立して以降、モブツ大統領が30年以上も独裁政治を行っていた。大統領は西側諸国からの援助を独占したため、産業が発展せず闇経済が横行した。国として民主的に国内利害を調整した経験はなく、政権交代が選挙ではなく、ローラン・カビラの反乱という形で実現した。カビラを応援するルワンダやウガンダの介入を招き、周辺国を巻き込んだ戦争に発展した。
コンゴの戦争を見ると、民主主義による政権交代は戦争の代替手段なのだということが良くわかる。例えば、アメリカでは大統領を選ぶのに1年以上かけるのだが、実は4年に一度の戦争をしているのと同じことなのだ。アメリカの戦争は儀式化が進み、今では選挙ディベートはエンターティンメントの一種として理解されている。
もう一つの原因は資源の豊富さである。コンゴは鉱物資源に恵まれているのだが、これを独占したいという欲求が生じる。日本のように資源のない国では、国民を教育して国際競争力を高める必要がある。結果として民主主義が発展し、政情は安定する。ところが資源国では単純労働で巨額の富が得られるので、武力を背景にした収奪が横行するのである。
何回か停戦の為の話し合いが持たれたが、試みは失敗に終った。その後、東コンゴの鉱物資源を買わない動きが広がり事態は沈静化の方向に向かっている。(ナショナル・ジオグラフィック)コンゴの西側では政情が安定に向かっているが、東コンゴは未だに不安定な状況が続いているようだ。
アフリカは1960年代に独立の動きが広がった。その後東西冷戦を背景にして親欧米国と親ソ中国に別れた。冷戦崩壊後も欧米を牽制するために中国との関係を保っている国が多い。中国は自国の労働者を持ち込み資源を持ち帰ってしまうので、新植民地主義だと非難する人もいる。その一方で、中国はインフラなどの投資を積極的に進めており政府レベルには歓迎されているという観測もある。(朝日新聞
日本の安倍首相は「中国植民地主義説」に立っているようだ。G7の席上で「中国の援助はアフリカ腐敗の温床」という主張をした。(産經新聞)アフリカの紛争には興味のなかった日本政府だが、中国への対抗上アフリカに目を向け始めたようだ。歴史を見るとアフリカの混乱はヨーロッパの植民地主義や独裁者の援助などが原因になっている。他のG7参加国の首脳がどのような気持ちで安倍首相の主張を聞いていたのかはよく分からない。