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ムラの監視団に負けた岸田翔太郎秘書官。最後の注目点はボーナスを受け取るかどうか。

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岸田翔太郎秘書官が事実上の更迭処分を受けた。きっかけになったのは週刊誌報道の「内閣就任式ごっこ」だったのだが、最後のネットの注目点は「ボーナスを受け取るか」だったようだ。ネット世論に「6月1日まで在職するとボーナスが受け取れるらしいぞ」と看破されてネットで騒ぎが起きていたようだ。日本のSNSが巨大なムラになっていて「政治家たちがズルをするかどうか」をみんなで監視していることになる。結局、岸田親子はこの「ムラの監視団」に負けた。

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岸田翔太郎秘書官が「事実上の更迭」処分を受けた。FLASHの報道によると本人の心はすでに折れており「俺はやめる」といっていたそうだがお母さんが反対していたという。また「内閣ごっこ」をやっていた中には母方の親戚(岸田翔太郎氏の従兄弟)も含まれていたようだ。

この問題は野党の格好の攻撃材料になりかけていた。子育てに苦労する親は多いが特権階級の息子だけは特別待遇なのかという庶民独特の処罰感情に訴えかける事件だったといって良いだろう。政治家の世襲批判も強まっておりこのまま「翔太郎秘書官」を放置すれば政権だけでなく本人のキャリアを潰しかねない。こうして岸田翔太郎秘書官は官邸を去ることになった。

最終的な世間の関心事は岸田翔太郎秘書官が退職金やボーナスを受け取るかということだったようだが岸田翔太郎氏はこれを辞退したと伝わっている。日本人は大きな政策上の問題にはそれほど関心はない。だが隣の人が自分よりもちょっとだけいい思いをしているというような問題には極めて敏感に反応する。

官房長官がわざわざ秘書官の「意向」を説明したというのは前代未聞だろう。

松野博一官房長官は30日の記者会見で、6月1日付で首相秘書官を辞職する岸田文雄首相の長男翔太郎氏(32)が、退職金やボーナスを受け取らない意向であることを明らかにした。

その裏で忘れ去られている問題もある。岸田総理はおそらく日本のベストアンドブライテストの中に岸田翔太郎氏を置き「総理候補」として育成しようとしたのではないかと思う。だが日本という巨大なムラはそれを「身内贔屓」としか見なさなかった。

首相秘書官チームについてNHKの記事を見つけた。官僚の中から選り抜きのメンバーを抜擢しそばに置くことができるのが総理大臣の特権である。岸田内閣でもエリート中のエリートが抜擢されている。

今回の件を裏返しにして読むと「では岸田翔太郎氏の経歴がどんなものであれば秘書官として相応しいとみなしてもらえたのか」ということになる。岸田翔太郎氏は慶應大学を出て三井物産に入社しているそうだ。経歴としては申し分ない。だがそれだけではダメなのである。

世襲三世の岸田文雄さんは「どうやったら政治家を育てることができるのか」というノウハウがない。単に地盤を継げばいいからである。だがその常識が時代の変化によって崩れかけている。

今回、別のエントリーで次世代政治家育成のノウハウがない自民党が小選挙区の区割り変更についてゆけなくなっているということを書いた。世襲頼みになっているのだが先代の政治家が築いた地盤が引き裂かれてしまうとそれに対応できなくなってしまう。

おそらくは「岸田総理でも息子の育成ができない」という問題は、自民党が党として次世代の候補者を育てることができないという問題に通底しているのだろう。だが、ネット世論はそのような問題には一切関心を寄せなかった。

ただムラ文化は残っていて「親が政治家というだけで優遇されるのはずるい」という感情だけで岸田翔太郎氏は「事実上の更迭」ということになってしまった。

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