安倍さんが火事の模型で国民を困惑させる

安倍首相がフジテレビのみんなのニュースに生出演した。集団的自衛権を説明するのに「火事」の模型を持ち出した。アメリカが火事になっても母屋であれば消せない。しかし、同じ敷地内にある「はなれ」の火が日本(道路を隔てた別の家になっている)に向かってきたら消しにゆけるだろうという。
これを聞いたコメンテーターは「火事の火は危ないのでは?」などと訳の分からないことを言い、ツイッター上では困惑の声が広がった。

正しい模型を考えてみる

この模型はおかしい。
火事は戦争を示しており、消防士は兵士を示している。問題は敷地だ。アメリカの敷地に離れが建っているので、これがアメリカの領土に見えてしまう。で、あれば「はなれ」は何のメタファーなのかということになる。
「はなれ」がアメリカの海外権益だとすると、「はなれ」は沖縄などにある米軍基地なので、日本の敷地に建っていなければならない。これは日本の主権が制限されていることを暗示するので、あまり好ましくないと思ったのかもしれない。アメリカは海外に権益を持っているので、正確には「はなれ」が様々な土地に点在していなければならない。さらに、日本の権益は海外にもあるはずなので、日本にも「はなれ」が必要だ。
海外権益を「はなれ」だと仮定すると、日本の消防士が火を消すのは「はなれ」と「消防士」両方のはずだ。道や敷地を一緒に歩いているときに、火事に巻き込まれたらお互いに火を消し合わなければならないからである。ところが、安倍さんの説明だと「日本本土に影響がない限り、自衛隊員に危機が訪れても対処できない」ことになってしまう。自衛隊は見殺しである。
さらに、道が何なのかが分からない。素直に考えると敷地が領土であり、道は公海を示しているはずだ。これだと単純な二国間防衛である。しかし、これまでの国会の説明だと、これは領土的概念ではなく「紛争地域」とそうでないところを示しているようにも思える。自衛隊は「他国の領土には行かない」ということなのだろうか。それとも「紛争地帯に行かない」ということなのか。
また、アメリカの消防士に消化器を渡すのに自衛隊は他国領土(あるいは紛争地帯)には入り込まないという説明なのだが、いちいちアメリカ軍に消化器を取りにきてもらうとしたら、使えない後方支援だなとも思える。
そもそも「アメリカの母屋が燃えている」ということは、アメリカ本土が攻撃されたということだが、そのようなことは9.11を例外として起きていないのである。
考えれば考える程、困惑は広がるばかりだ。

背後にある主義の違い

安倍首相は今回の法制を「戸締まり」に例えている。これは「一国・専守防衛」の例えになっている。地図も極東のものを示したし、日本という家も日本の敷地に建っている。これも「一国・専守防衛」だ。
この説明を受けてしまうと、日本はこれまで行ってきた自衛隊の海外派遣を諦めたと取られかねない。自衛隊の海外派兵は「積極的介入主義」だからだ。
また、火事の例でシーレーン防衛を描こうとすると、道を二人の消防士が一緒に歩いているうちに自然発火したという例を描かなければならない。
法案からは地域的限定は外れている。日米のガイドラインも極東という限定が外れている。海外にも出かけて行く訳だ。
で、あればテレビの議論は何だったのだろうかということになる。

安倍さんに対する批判と懸念

安倍さんには、物事を抽象化して分かりやすく説明する能力がないことだけはよく分かった。分かりやすく伝えるためには、池上彰のような人が必要だ。分かりやすく伝えるのは難しいのだ。
まず思い浮かぶのは、安倍首相が本質を隠蔽したまま、国民に虚偽の説明をしているというものだ。平気な顔をして淡々と嘘をついているわけだから「サイコパス」のような人なのかもしれない。ただ、これはまだマシなケースだ。
この「分かりやすい説明」を聞いて心底震えたのは、安倍首相が本当にこの法案について何も分かっていないかもしれないと思ったからだ。新しい法案が成立した暁にはこの人が政策判断をして出兵を決断するわけである。

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