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共産党恐怖症

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今日ツイッターで面白いつぶやきを見つけた。次世代の党の犬伏秀一太田区議員が、渋谷で安保法制に反対するイベントを主催したグループの学生を名指しした上で「彼は共産党の指令で動いている」と主張したのだ。これに名指しされた本人が否定し、ちょっとした騒ぎになった。議員がデマを流布したとしてネット上で非難を受けている。
面白いことに、共産党がなぜいけないのかということは全く説明されていない。にも関わらず、一応悪口として成立している。犬伏さんは「(学生たちは)誤った正義感で参加したようです」と書いている。つまり「共産党に同調する人たちは騙されている」というのが前提になっているのだ。
犬伏議員を批判する人の中には「名誉毀損だ」という人もいるのだが、仮に「共産党の指令」でデモを主導したとしても、犯罪行為に手を染めたわけではない。にも関わらず非難する方もされる方も「共産党はなんとなく悪い」という認識があるようだ。悪の手先や秘密結社といったところだろうか。
一方、維新の党の初鹿明博議員が党から処分を受けそうだという。「罪状」は、安保法制に反対するイベントに参加し、共産党の志位委員長と握手をしたことだという。維新の党では共産党と握手すると処分されてしまうらしい。本人のブログによると、支持者や同僚議員から非難を受けたらしい。本人は党内を混乱させたと否を認めてしまっている。日本では共産党と握手することは、世間を騒がす罪に当たるのだ。
この2つの例から、日本人は共産党はなんとなく悪いものだという印象を持っているらしい。ところが「それがなぜ悪いものなのか」というと本人たちにもよく分からないのではないかと思われる。
一般の有権者のレベルで、共産党に拒絶反応を持つのは、あるいは致し方がないことなのかもしれない。支持を広げるのは共産党の責任だ。独自のマーケティング活動を通して拒絶反応を払拭してゆけばよいだろう。
一方、政治家の場合は事情が異なる。民主主義は多様な価値観をすりあわせて解決を図るための仕組みだ。民主主義が単なる多数決でよいのならば、議会も政党も必要がない。単に多数決で全てを決めてしまえばよい。
日本が右傾化しているという議論があるが、この表現には若干の疑問がある。自民党の事情を見ても、この共産党恐怖症を見ても、日本の右派の人たちは、単に多様な意見を許容できなくなっているのではないかと思われる。つまり、民主主義的な手続きに疲れ果てているわけで、その意味では「単に劣化している」と思われても仕方がないのではないだろうか。


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