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「スケジュールの勘違い」で高まるバイデン大統領の高齢化懸念

バイデン大統領が「今日の午後に大規模な記者会見を行う」と述べたが実際には会見は開かれなかった。大統領の勘違いだったと見られている。問題なのは実際にこれが何を意味するのかがよくわかっていないという点とバイデン大統領が全く異常に気がついていないという点である。ホワイトハウスは「収録されたインタビューが放送されると言いたかった」とフォローしている。

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もちろんCNNFOXもこのニュースを取り上げているが扱いが若干異なる。

民主党寄りのCNNはこの件についてあまり大袈裟に騒ぎ立てたくないのだろう。事実だけを淡々と書いている。一方のFOXもそれほど大袈裟な批判はしていないがバイデン大統領がどのような文脈で言い間違いをしたのかを動画にして公開している。かなり不安な気持ちになる動画だ。

バイデン大統領には明らかに覇気がない。アメリカ政治は問題が山積しており記者たちは聞きたいことがたくさんあったようだ。バイデン大統領はそれを打ち切る形で「大きな記者会見をやるから」と言っている。つまり明らかに「もう面倒だ」を感じているように見えてしまう。

もちろんホワイトハウスが説明するようにテレビインタビューのことを言っていた可能性はある。時事通信共同通信が伝えているが高齢不安を笑い飛ばし極めて高い自己評価を与えてる。ただ、一旦疑念が生じると「本人ほど衰えの自覚がないものだ」としか思えなくなる。

おそらくバイデン大統領の状態はアメリカ政治に小さくない混乱を生じさせ始めている。だが自覚がない以上「周りがフォローしてあげては?」とは言いにくい。おそらくこれ以上にひどくなっても周りが介入するのは難しいだろう。

フォーブスは「バイデン大統領に高齢懸念があり、多くの人が次の選挙に出るべきではない」と考えている」と指摘した上で、あまり長い記者会見をやると失言や勘違い発言が増えるためメディアへの露出を控えている可能性がある指摘している。別の記事によると、バイデン大統領の再出馬を望む人は26%にとどまり73%が再出馬は望まないと回答している。深刻なのは民主党支持者の中でも出馬・不出馬が拮抗しているという点だ。

FOXニュースは共同記者会見が行われないことに関して記者たちが不満を持っていると報じてている。フィリピン、アイルランド、ブラジルとは共同記者会見はやらなかったそうである。特に難しい問題を抱えているのはイスラエルだ。ネタニヤフ首相は「司法改革」で暴走している。おそらくホワイトハウスに招いて何か失言でもあれば「大惨事」なのだろうが、共和党はそれを望んでいるのかもしれない。ネタニヤフ首相をホワイトハウスに招くべきだといっている。

共同記者会見をきっちりやっている国もあるのだがやはり「選んでいる」という印象は残る。日本、韓国、フランス、ドイツなどは「比較的簡単」な国である。中国やロシアといった敵が明確であり記者たちも難しい質問はでない。また同盟国の側も事情はよくわかっているため深刻な問題は起こらない。

このようにバイデン大統領にはもはや難しい外交問題にはもはや対応できなくなっているのかも知れないが、国内の諸問題でも同様だ。債務上限拡大の交渉はあまりうまくいっていない。

問題はそもそも交渉が行われているように見えないという点にある。

アメリカは現在「政治的デフォルト危機」がある。財務省が提示するデッドラインは6月1日だ。合衆国憲法にはアメリカの支払い能力を担保する条文がある。これをどうにか使えないかという検討が始まっているようだ。使えないことはないだろうがおそらくは法廷闘争に発展するだろうという見方があり有効な解決策とは見做されていない。格付け会社の中には「アメリカの格付けを見直す」と宣言するところも出てきた。

本来ならば「この人は大丈夫か?」となってしまいかねないのだが、皮肉なことにこれを「強さ」の表れとみなす人もいる。高齢で頑迷になり複雑な妥協ができなくなっているのかあるいは強い意志で妥協をしないと決めているのかがよくわからない。いずれにせよ今のところ「共和党には一切妥協しない」と強気な態度である。

バイデン大統領には根強い高齢不安があるのだが「共和党に対抗できる唯一の大統領」としての期待も大きい。このため「多少のことは見なかったことにしよう」というような空気感ができている。

共和党側も候補者が乱立気味なのだそうだが極端な主張を捲し立てるトランプ氏が最有力なのだそうだ。つまり、民主党が勝とうが共和党が勝とうが、日本にとってみれば部分的に認知能力が落ちた可能性が否定できない高齢の大統領によって率いられる国に運命を預けるという状態はしばらく続く可能性が極めて高い。

日本の外務省はデサンティス・フロリダ州知事に期待を寄せていたようだが、デサンティス氏は失速しているとのことだ。デサンティス・フロリダ州知事はなぜかディズニーランドや国内のLGBTなどと戦っている。共和党支持者たちはこれに失望しているとのことだ。つまり共和党の側は「誰かが意識高い系の民主党を攻撃してくれること」を期待しているのだろう。冷静に考えるとそれは大統領の仕事ではないとは思うのだが少なくともアメリカの有権者はそういう人たちを熱心に支援しているのである。

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