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チャールズ3世の戴冠式は多様性推進を打ち出すも人々の目はやや冷ややか。日本では「生解説スペシャル」も。

エリザベス2世女王が亡くなりチャールズ3世が新しい連合王国(イギリス)の国王になった。5月6日に戴冠式が行われ正式に即位する。今回の特徴は簡素化と多様性の推進である。一部には強固な反対派がいるようだが、むしろ無関心な人が増えているという。若い世代ほど「興味がない」という人が増えているそうだ。ただ今回の儀式にはおとぎ話のような小道具がふんだんに使われることになっている。日本では儀式そのものに関心を持つ人が多いのかもしれない。NHKがニュースで扱うほか、池上彰氏の「生解説スペシャル」を放送する局もある。

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チャールズ3世の戴冠式が5月6日に行われる。今回の特徴は簡素化と多様性の推進だ。引き続き国王はイギリス国教会(プロテスタント)の守護者だがキリスト教の代表だけでなくさまざまな宗教代表者(ムスリム(イスラム教徒)、ヒンドゥー教徒、ユダヤ教徒、シク教徒(シーク教徒))が式典に参加する。そもそも現在のイギリスの首相はキリスト教徒ではなくヒンドゥー教徒である。また英語だけでなくウェールズ語、スコットランドのゲール語、アイルランドのゲール語での聖歌も取り入れられているという。スコットランドとの関係は微妙だ。スコットランドの統治を象徴する「運命の石」はスコットランドに返還されているが、儀式の時にはロンドンに運び込まれ戴冠の椅子の下に埋め込まれる。

チャールズ英国王の戴冠式、一般市民も忠誠誓う機会 古い伝統と新しさ

多様性推進の一環として「一般の人たちも国王に忠誠を誓ってもいい」ということになった。元々は臣下である貴族が忠誠を誓う儀式なのだがそれを一般に解放するというのだ。国王サイドからみれば温情的配慮のつもりなのだろうが、これが一部から反発されているという。「国王に忠誠を誓え」と命じられているように感じる人がいるからだろう。

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エリザベス2世には「第二次世界大戦の時に国民と共に苦境に立ち向かった」というイメージがあった。つまり苦しみを共に乗り越えたという共通経験があり人気が高かった。一方で現在のイギリスはブレグジット以降経済苦境に陥っている。格差が拡大し冬の暖房費用をどうやって工面しようかなどと考える人たちも多かったようである。またこの冬も50万人規模のストライキが起きており交通や公共サービスに影響が出ていた。国王や貴族がイギリスの財産を占有していることに対しても反発がある。このため若い人ほど君主制に関心がなく「国民の経験に寄り添っていない(out of touch)」と考える傾向が強いようである。

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日本からは皇嗣殿下と皇嗣殿下妃が参列する。イギリスから独立した経緯のあるアメリカの大統領は式典には参加しないことになっている。独立しているのから「忠誠を誓う」のは不適当だろう。だがトランプ前大統領はバイデン大統領が式典に参加しないのは無礼であると批判している。本人も支持者も歴史的経緯にあまり興味がないのかもしれない。

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式典では金色の馬車、宝珠と王笏、足元に「運命の石」が埋め込まれたあまり座り心地のよくなさそうな木製の椅子、重さ2キロもある王冠(あまりにも重すぎるので戴冠式の時にしか使われない)などおとぎ話のような小道具がふんだんにつかわれるようである。

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儀式好きな日本人の方が現地のイギリス人よりも興味津々でこの儀式を眺めるのかもしれない。式場は現地時間午前6時(日本時間午後2時)に開場となりその後パレードが行われる。儀式が始まるのは現地時間午前11時からだそうだ。テレビ番組表を見たところNHKが夜7時のニュースで扱う他「池上彰の生解説スペシャル」を放送する局もあるようだ。

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