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二機の無人ドローンがモスクワに到達しクレムリン上空で炎上する

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ウクライナのゼレンスキー大統領がNATO加盟国に反転攻勢のキャンペーンを始めた。ロシア国内と実効支配地域では爆破事件が多発し既に反転攻勢は始まっているものと思われる。そんななかついに無人ドローンがクレムリンに到達した。状況的に「反転攻勢の一環であろう」と考えたくなる。つまりウクライナ側が仕掛けているように見える。だが本当にそうなのか、関連記事を読んでみた。

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クレムリンの上空でドローンが爆発した。ロシア側は事前に「電子レーダーで補足し無効化した」と主張している。ロシアは「ウクライナがテロでロシアを混乱させようとしているのだ」と非難し、ウクライナ側も「ロシアこそウクライナでテロを計画している」と言っている。

ロシアは5月9日に戦勝記念日を迎える。本来は大々的に戦勝記念日を祝うのだが今年はかなり抑制的になっているようだ。ロシア国内で警戒が強まっているものとみられる。

既に予想されていたようにウクライナが反転攻勢の準備を始めた。既にクリミア半島セバストポリの石油備蓄施設が攻撃されており反転攻勢は始まっているものとみられる。セバストポリでは10機のドローンのうち2機が到達したとみられているそうだ。このほかにも、クリミア半島、ロシアの占領地域、ロシア西部でいくつか爆発事件が起きている。

ゼレンスキー大統領は反転攻勢への支援を呼びかけるためにフィンランドを訪問した。共同通信はその後ドイツに向かう予定だと書いている。

アメリカとの間には軋轢がある。ウクライナはアメリカからの支援を必要としている。アメリカ側はこの戦争を管理しようとしてさまざまな情報を集めていた。しかし情報管理は極めて杜撰であり3月にはSNS上に漏洩していたことがわかっている。情報はさまざまに加工されておりSNSで広く拡散された。

今回の攻撃についてブリンケン国務長官は「アメリカは知らない」と言っている。時事通信とロイターが伝えている。

この中に時事通信が落とした一節がある。ウクライナ側がモスクワを攻撃しても「それはウクライナの自己決定によるもの」であり「アメリカは制止しません」と言っている。事実上の容認発言だ。

米国のブリンケン国務長官は、ウクライナがドローン攻撃でプーチン大統領を暗殺しようとしたとするロシアの主張を現時点で確認することはできないとしている。ウクライナが独自にロシア領内への反撃を決めた場合、米国は批判するかとの質問に対しては、ウクライナがどのように自衛するかはウクライナが決定することだと答えた。

しかし、だからと言って「反転攻勢の一環だ」と断じるのも危険である。既にクリミア半島では爆発事件などが起きているが、ロシアは手回しよく次のように発信している。

声明によると、7人を拘束し、爆発装置と起爆装置を押収。爆弾には、トルコとジョージアを経由しブルガリアからロシアに密輸された部品が使われていたとしている。

クリミア大橋が爆破された時にも同じようなことが言われていたのだが、国境検問を掻い潜ってあんなに大きな不審物を積んだトラックが移動できるものなのだろうかなどと疑問視されている。

バストルイキン氏によると、これまでの捜査で、爆発したとされるトラックがブルガリア、ジョージア、アルメニア、ロシアの北オセチア、クラスノダール地方を移動していたことがわかったという。

つまり全ての攻撃が反転攻勢の一環であると断じることもできず一部は「ロシアの奪還物が狙われている」というロシア側のキャンペーンの一環である可能性が排除できない。ロシアはソ連崩壊後チェチェン人分離派のテロなどに悩まされていた歴史があり国内テロにはとても敏感だ。もともと市民に対する情報工作はプーチン大統領の得意技だった。だがその手法は国内で「劣化コピペ」されて広く出回っている可能性がある。

ロシアサイドは既に多くの死者・負傷者が出ていると言われている。軍と軍事会社は弾薬の取り合いをやっており、ワグネルのプリゴジン氏は「兵站のサポートがなければ我々は撤退する」などとロシア世論を脅すような発言をおこなっている。この「ワグネルがなくなれば全て終わる」という発言がロシア世論に向けられたものなのかプーチン大統領に向けられたものなのかはよくわからない。

ロシアは大統領選挙を控えており、おそらく大統領サイドは「大規模動員」で世論を動揺させたくない。強制動員の試験運転をしながらも「志願兵募集」をおこなっているという状況だ。

一方で戦争を実際にやっている人たちは「弾薬も兵隊ももっと欲しい」と考えている。法律的にはポータルサイトに赤紙を送りつければ自動招集が可能な制度が完成されている。理論上はロシアから兵隊になれる男性が消滅するまで戦争は続けられるのだ。あとは最高責任者がどんな判断を下すのかにかかっている。

そもそもプーチン大統領はコロナウイルスや暗殺を恐れてさまざまな防御策を講じているなどと言われている。つまり既に「立てこもって」しまっている。

「ウクライナの脅威がクレムリンにまで迫ってきた」という情報を与えることで「もう大統領選挙に構っているような状態ではない」と思わせる効果がある。

メドベージェフ氏は早速次のように発言する。

ロシア前大統領のメドベージェフ安全保障会議副議長は3日、ロシア大統領府に対するドローン(無人機)攻撃を受け、ロシアにはウクライナのゼレンスキー大統領とその「一派」を「排除」する以外の選択肢はないと述べた。

仮にロシア側の自作自演であった場合、戦争を続行したい人たちがプーチン氏の背中を押すためにショックを与えたという可能性もまた否定できない。

春の反転攻勢自体は予想されたものであった。CNN「反攻間近か ウクライナ軍の行く手に待ち受けるもの、衛星写真で撮影」によるとロシアは既に占領地域で準備を済ませている。ただ軍事的に戦争を終わらせる効果はなく、最初の24時間でどれだけ政治的な成果を挙げるかが重要であると考えられているようだ。

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