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ChatGPT開発競争は「真実」をめぐる戦いに突入

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岸田総理がG7でChatGPTを議題にするという意向を示している。著作権やプライバシー保護について議論する予定なのだそうだ。ところが実際のChatGPTをめぐる動きは「真実」を誰が握るのかという次のフェイズに突入している。Twitterをおもちゃにしたイーロン・マスク氏が既に「自分こそ真実が追求できる」と自信を見せている。さらに環境破壊につながりかねない懸念も出てきた。上手く扱えば事務作業の効率化につながるChatGPTだがツールを使う人間が愚かであれば「真実」の独占や環境破壊につながりかねない。つまり、賢い道具を持った人間が自らの愚かさによって滅ぼされかねないという事態も想定される。

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岸田総理はG7でChatGPTを議題にするつもりだと表明した。プライバシーや著作権の保護などで話し合いがもたれるものと思われる。群馬県高崎市で開かれるG7デジタル・技術大臣会合においては「責任あるAI」の実現について話し合われる。広島での首脳会合はおそらくこの議事を引き継いで総括するものとみられる。

しかしながら、ChatGPTをめぐる戦いは次のフェイズに突入している。誰が真実を握るのかという壮大な問題だ。

トランプ氏のトゥルース・ソーシャルを右派のエコーチェインバーであると批判してきたイーロン・マスク氏がChatGTPに代わる「真実のGTP」を作るとして話題になっている。マイクロソフトによる営利化を批判しているのだがChatGPTは意識高い系(WOKE)であると批判している。つまり左派的だと言っている。

つまりマスク氏は自分こそが中道で普遍的なのだと信じていることになる。この手の人はどこにでもいるがマスク氏にはそれを追求できるだけの財力がある。それが問題だ。

AIを製作者はAI学習の放置は非常に危険だと考え「親心」で制限を加えようとするところがある。教師が愚かであればAI学習はその愚かさを効率的に学習する。マスク氏らの保守派はこれを「意識高い系(WOKE)の思い上がり」と捉えて反発している。とはいえトランプ氏の思想も「偏っている」と思っているのだから結局は自分が管理するものしか信じられないと主張していることになる。

ChatGPT側の創業者の一人グレッグ・ブロックマン氏ももマスク氏の指摘を認めている。技術の進歩に追いついておらず制限が加えられているのだという。ChatGPTは左派的であるというより謙虚に限界を認めている。だがマスク氏はそれほど謙虚ではない。

イーロン・マスク氏はトランプ支持者など右派御用達のFOXニュースでタッカー・カールソン氏とのインタビューに答えている。トゥルースGPTは宇宙の本質の理解を目指していると壮大なビジョンを語っている。

現代ビジネスは、ChatGPTの思想について「左派に偏っている」との主張を紹介している。おそらく教師役が中道穏健な左派だったのだろう。ただ、この中道穏健左派的思想を修正するのは実はそれほど難しくない。右派系のGPTを作るために必要なコストはわずか300ドル以下だったそうだ。単に教師を変えるだけで正解が変えられてしまう。

中国も中国版ChatGPTの開発を進めている。ChatGPTは中国共産党の公式見解とは異なる回答を吐き出すことがありこれを規制したい考えである。ChatGPTは中国にとっては西側の危険思想そのものである。こちらは国家レベルで「正解」をめぐる争いをしている。

ChatGPTは単にこれまでの知識抽出を効率化するだけの装置だが、中には実像以上の何かを見つけてしまう人がいる。つまりコンピュータの中に神を見てしまうのだ。

つまり真実がそこにあると考えてしまうわけだ。当然中には「では道具が支配できれば真実も支配できるのでは?」と考える人が出てくる。プライバシーや著作権は法律で管理できるが機械に対する信仰心までは制御できない。

だがこの神はかなり厄介な存在だ。電気や水を大量に必要とする。

こうなると「真実の支配競争」によって環境が破壊されてしまう可能性すらある。人類がそこまで愚かだとは思いたくないのだが、「我こそが真実を知っている」と主張する人はどこにでもいる。おそらく問題はChatGPTではなくそれを使う人間の側にあるのだろう。

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