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防衛増税と社会保険料の値上げの議論が始まる

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高市文書問題の他に目立った動きもなく予算は参議院を順調に通過した。次の議題はアメリカに約束した防衛費アップのための増税議論だ。一方で社会保険料値上げの議論も始まっており、国民の負担は上がりそうである。

もちろん丁寧な説明は求められるのだが、おそらく今重要なのは国民が「これなら協力しても良い」と感じることだろう。特に少子化は国民が「安心して子供を作ろう」と考えない限りは解決しない。国民を納得させるような議論は出ておらず、与党・野党含めてきちんと仕事をしているとは言えない。さらに目立ちたい人や自分に利権を引き込みたい人までが口々に主張を情報発信しており「動物園」のような状態になっている。

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時事通信が「防衛増税に協力してほしい」とする岸田総理の声を伝えている。仮に日本の安全保障に役立つなら有効な投資といえる。だが、状況は時事刻々と変化している。アメリカ主導・中国抜きの和平という構図は崩れつつあるため、「ウクライナは明日のアジア」という総理大臣の説明は急速に説得力を失いつつある。

一方で少子化対策も迷走している。

  • アメリカに約束して防衛費をあげざるを得なくなった。
  • これだけでは国内政策を軽視していると言われかねないため、イメージアップのために少子化議論が始まった。
  • イメージアップが目的なのでどうすれば少子化対策が成功するのかという議論がない。このため「とりあえず欲しいものを全部列挙してほしい」ということにした。
  • 全部やると国民負担は数兆円になるが優先順位がないため何をやって何を落とすべきなのかという議論がない。
  • 教育予算が入っていないことから、遠藤氏などは「だったら厚生労働省だけでやればいいのでではないか」などと言い出している。遠藤氏は総務会で案を通さないことも検討しているのだそうだ。

普通、政策批判は決まったことに対する批判になる。だが、岸田政権の場合は「そもそも何も決められない」のだから政策批判も出ない。結果的に「お金があればいろんなことができるのになあ」ということを言い合って終わりになってしまう。

新潮が決め方の問題について書いている。

党の最高実力者である茂木幹事長が「給食無償化」を言い出した。官邸に根回しがなく政府側は当惑しているという。また萩生田政調会長ともすり合わせをしておらず、茂木幹事長が本部長を務める「こども・若者」輝く未来創造本部で決められたのだという。

日経新聞の

遠藤氏は文部科学行政に精通し、教育予算拡充や「教育国債」創設を訴えてきた。関係者によると、遠藤氏は試案が修正されない場合、党総務会での了承を見送ることも検討している。

もあわせて考えると、そもそも野党が反対する前に党内を通らないのではないかと思う。

茂木幹事長の案については「ただのメモ書き」と揶揄する声も聞かれた。給食無償化によって助かる人が多いのは確かだろうが、当の茂木幹事長が発言をトーンダウンさせてしまう。

BS日テレの番組では「地方交付税でやってくれ」と変わっている。格好をつけるなら最後までやりきってくれれば良いのだろうが、そもそも単なる人気取りのために途中で諦めてしまうのである。

政府が3月31日に公表した対策のたたき台に盛り込まれた「学校給食費の無償化」に関しては、「各自治体が実行する費用を、国が地方交付税などで裏打ちをしていくことになる」との見通しを示した。

そもそも現状にキャッチアップできておらず、どうやったら目標を達成できるのかという道筋(戦略などと呼ばれる)が立てられないのだから「ご協力」などと言われてお金の話をされても困るといったところだろう。

結局、誰が何を決めているのかということがわからないまま財源の議論だけが続く。

ただ、野党も頼りになりそうにない。小西洋之氏の「サル発言」をきっかけに維新は立憲民主党に協力しないと言い出した。野党は予算の膨張を「安易な増税」として反対しているが、もちろん野党からも代替提案は聞かれない。

こうした議論の迷走は岸田政調会長時代の新型コロナ対策でもみられた。結局この時は上司である安倍総理大臣が岸田政調会長の梯子を外す形で決着させたのだが、現在の岸田さんには梯子を外してくれる上司もいないため、なんらかの形で党内議論を決着させる必要がある。

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