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反ワクチン派の陰謀論者ケネディ氏が民主党の大統領候補に名乗り

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ニュースサイトにはさまざまな報道が流れてくる。ケネディ氏が何かの選挙に出るらしいというタイトルは見ていたのだが一体何なのかを気にしていなかった。

見ると大統領選挙の民主党候補指名争いに出馬するらしい。ケネディ家といえばアメリカの「王家」の一つである。バイデン大統領にとっては強敵になるのだろうと感じた。だが記事の内容を見てまた驚いた。どうやら、かなりのお騒がせ系候補のようである。「国家と企業の腐敗した合併」から国民を守るために立ち上がるのだそうだ。

陰謀論・反ワクチン・悲劇的な名家出身とはいかにも情報量が多すぎる。

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アメリカの大統領は現在は民主党系のバイデン氏である。普通、大統領が続投を検討している場合は遠慮して他の候補は出ないものだ。だがバイデン氏はあまり人気がなく高齢も不安視されている。ハリス副大統領の実力も疑問視されているため「次」を期待している人も多いだろう。

一方でケネディ大統領は若くして亡くなったこともありアメリカでは人気が高い。親族というだけで次世代のリーダーとして注目される。今回「あのケネディ家から大統領候補が出る」となった。さぞかし期待されているのではないかと思った。

ところがどうも記事の評判は良くない。

同氏は22年に、ナチスドイツを引き合いに出した反ワクチンの演説も行った。前年にはSNSのインスタグラムで、コロナウイルスやワクチンに関する虚偽の主張を繰り返し共有したとしてアカウントが停止されている。

故ケネディ元大統領のおい、大統領選出馬へ書類提出 民主党員(CNN)

ケネディ氏は3月に、大統領選への出馬を検討しているとツイートした際、「私が立候補したら、私たちの経済を崩壊させ、中産階級を粉々にし、この国の風景や水を汚染し、私たちの子どもを害し、私たちの価値と自由を奪ってきた国家と企業権力の腐敗した合併を終わらせることが最優先事項になる」と述べていた。

ケネディ元大統領のおい、2024年米大統領選に立候補 民主党指名争い(BBC)

BBCの記述からケネディ氏が陰謀論を信じていることがわかる。アメリカではこれを「隠された真実」だと思っている人が多いという話は聞いていたが、名家出身の弁護士でもこうなるのかと少し驚いた。

ケネディ氏の一連の発言は一族からも非難されておりポリティコに反論が掲載されたこともあるという。ケネディ家はアメリカの名家の一つとして注目されているが、同時に悲劇の多い一族としても知られている。

悲劇に満ちた一族の運命は「ケネディ家の呪い」などと言われる。名目的には共和制国家のために「王家」など存在しないはずなのだがやはり国家というものは何らかの神話を必要としているものなのかもしれない。ケネディ家の人々は悲劇的神話の主人公として常に社会の注目を集める。今回出馬を表明したロバート・F・ケネディJr氏は1968年に暗殺されたロバート・F・ケネディ氏の息子なのだそうだ。十分に悲劇の登場人物と言えるだろう。

アメリカ合衆国には各種の陰謀論を信じる人が増えている。普通は民主党と共和党の抗争に利用されている。つまり陰謀論者は共和党を支持する傾向が強いものと思われる。実際にトランプ氏の支持者たちの間では陰謀論を語る人も多いようだ。

今回の特徴はケネディ氏が民主党の党員であるという点にある。

CNNは民主党の大統領候補者選定について書いているので「当然ケネディ氏もここに参加するのだろう」など思ってしまうわけだが、実際にどのような扱いになるのかはわからないのではないかと思った。常識で判断すれば与党から陰謀論を支持する候補者が出るはずはないからだ。

だが、最近のアメリカではこの手の常識は通用しない。そう考えて記事を見直したところ確かにBBCには「2024年大統領選に民主党候補として出馬するための書類を提出した。」と書かれている。今回は書類を出しただけなので実際には出馬しない可能性もあるわけだが「随分とややこしいことになりそうだ」と感じた。情報量が多すぎて「何だかよくわからない」という印象が残る。

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