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イスラエルでネタニヤフ首相の司法改革に反対するデモが発生し、リクードからは造反の動きも

イスラエルで国防大臣が更迭された。ネタニヤフ首相の司法改革に反対したためとされている。イスラエル大統領やアメリカのホワイトハウスからもネタニヤフ首相に思いとどまるようにと言う強いメッセージが出されている。リクードからも造反者が出る可能性があるという。イスラエル情勢はかつてなく緊迫している。

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汚職容疑や利益相反で起訴されたネタニヤフ首相は、検察が自らを再び追い落とすことがないようにとしてなりふりかまわぬ司法改革に邁進している。検察から首相を起訴する権限を奪い、行政府の職員の更迭などもできないようにしようとしているようだ。

このなりふり構わぬ司法改革に対して、さまざまな抗議運動が出てきた。

BBCが詳細を伝えている。ヨアヴ・ガラント国防相が他のリクード所属議員と抗議の意思を示し、ネタニヤフ首相に解任された。これに抗議するため各地でゼネストやデモが起きている。イスラエル大統領やアメリカ政府もネタニヤフ氏に思いとどまるようにと表明している。

CNNはアメリカならではの興味深い視点を加えている。民主・共和両党が均衡して対立を抱えるアメリカでは「造反」によって議決が通らないことがある。リクードから5名の造反者が出ればネタニヤフ首相は改革法案を通すことができないという。

また大学関係者・教育機関も懸念を表明しているようだ。CNNも言及しているがロイターにも同じような表現がある。

ハイテク産業が国家経済を推進すると言う構造があるにもかかわらず教育機関などが反発していると言うのも今回の特徴のようだ。テルアビブなどは「中東のシリコンバレー」などと言われ近年は住宅費の高騰などが問題になるくらい繁栄していた。ネタニヤフ首相がこのまま「改革」を推進すれば世界各国から集まってきた人材はイスラエルに寄り付かなくなるだろう。

アメリカの強い支援が国家存立の条件になってきたイスラエルでこれほどあからさまな民主主義への挑戦が起きていることに驚き当惑している人も多いようだ。それだけネタニヤフ首相が心理的に追い詰められていると言うことなのかもしれない。

元はと言えば起訴を逃れたいというネタニヤフ首相の個人的動機から出発した今回の騒ぎだが、首相は極右と手を組み、パレスチナとの二国共存いう国際的な約束を棄却しても政権にしがみつこうとしている。ユダヤ民族の国家を作りたい極右はこの姿勢を支援している。

だがこのまま「改革」を強行すれば、イスラエルは多くのものを失い国際的にも孤立するだろう。

普通の脱民主主義国家と違う点もある。アメリカの庇護を離れてロシアや中国に接近すると兆候はない。おそらく自前で核兵器を持っており他国に頼る必要がないのである。ただし、今後イスラエルが暴走すれば「孤立した核兵器保有国家」が中東に誕生することになる。つまりどの陣営にとっても安全保障上の脅威になりかねない極めて厄介な状況が生まれてしまうのである。

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