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FOMCは0.25ポイント利上げにとどまるが、NYダウは過敏に反応

先ほどFOMCが終わり0.25ポイントの利上げという結果になった。円相場はやや円高方向に触れているが極端な変化はなかった。0.5ポイントの事前予想が撤回されたため「やや軟化した」という評価だったようだが、その後の発言にタカ派的な色彩も滲んでいるという報道もあり市場は鋭敏に反応しているようだ。時事の速報では500ドル安で取引を終えたそうだ。

パウエル議長は「モデル化が非常に困難」としてリセッション(景気後退)を意識した発言を織り込んでいる。アメリカ経済がかなり難しい状況に陥っていることがわかる。

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まず最初にお断りしておく。かなり複雑で微妙な言い回しが多いためできればソースは確認していただきたい。

FOMC発表直後の金融市場は「あまり動かなかった」という印象だった。銀行危機以前に聞かれていた0.5ポイントの利上げはなかったのだし、利上げは「あと1回程度」という発表になっているからである。

つまり「嵐は終わりが近い」というわけである。

Bloombergが声明のいくらかの追加引き締めが適切となる可能性を見込むをもとに「さらなる利上げ示唆」としている。ロイターも当局者の発言として「年内はあと1回利上げ」で2024年に利下げ局面へと書いている。実際には株価も下げているのだから更なる金融引き締めを予想した人も多かったのだろう。共同通信は「利下げは2024年になるようだ」ではなく「2023年に利下げはない」と断言した見出しにしている。受け取り方はメディアによって微妙に異なる。

当初この記事のタイトルは「イベントは無事通過」としていた。だが、ダウ平均はやや動揺を見せている。

パウエル議長のコメントに鋭敏に反応しているようで、若干微妙な情勢である。NYダウが500ドル超値を下げたという事実は速報として入ってきたが、なぜ株式市場が過敏に反応したのかについての詳細な情報はない。

一方で、シリコン・バレー・バンクやクレディ・スイス問題の当初の揺れは収まりつつあり市場は安定を取り戻しているように思える。

今後の焦点はTwitterの噂をきっかけとしたデジタル取り付け騒ぎ(デジタルバンクラン)の対応に焦点が移る。Twitterの監視をしなければならないと考える金融機関もあるようだが、騒ぎを補足できたとしても市場を安定させるのは難しそうだ。

アメリカ経済の先行きに不透明感が出てきたことで、製造業を中心に日本経済にも悪い影響が出るのではないかという懸念も出ているようである。

パウエル議長の発言要旨で最も気になったのは「リセッション(景気後退)は非線形になりやすいためモデル化が非常に困難」である。FRBは経済モデルを使って経済予測をしそれに基づいて利上げ・利下げの判断を行う。ところが例えば「噂の拡散」や「複雑な金融ネットワーク」によって起こる複雑系の動きは本質的にモデル化できない。

パウエル議長が何をもって「非線形」と言っているのかは必ずしも明らかではないが複雑系の中で事態がどう収束するか読み取れなくなるということである。

つまり、中央銀行総裁がアメリカ経済について「よくわからなくなる可能性」に言及しているということになる。さらにソフトランディングの道筋はまだ存在すると言っている。つまり、ハードランディング(リセッション入り)の可能性を強く滲ませる内容になっているように聞こえるのである。詳細は是非ロイターで確認していただきたい。

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