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「日銀新総裁植田和男氏は異例の外部登用」で市場は一時金融政策の修正を予想するも徐々に沈静化

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政府が推薦する新しい日銀総裁候補が決まった。これまで同様に「日銀・財務省出身襷掛け人事」であろうという予想を覆す人選だったため市場は「黒田路線が修正されるのではないか」という観測が出たようだ。そもそも植田氏とはどのような人なのかあまり情報がない。周辺記事を調べてみた。

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関係者が最も気にしているのは市場の動向だろう。一時円高方向に動いたためこのトレンドが続くかを気にしている人が多いはずだ。ロイターによるとこの「修正観測は修正されるだろう」とみている人が多いようである。「焦って引き締め(タカ派的)に動くことはなさそうだ」ということになっていてドル円相場は新総裁人事発表前の水準に戻っている。

市場関係者が慌てて動く必要はなさそうだ。

外為ドットコムも一時「引き締めを予測」して円を買う動き(円高)と書いている。

市場では現在副総裁を務める雨宮氏が新総裁の最有力候補とされていましたが、予想に反して植田和男氏の起用が報じられたことで、新体制下で日銀はこれまでの大規模な金融緩和策の修正を行うのではないかとの見方が広がり、円を買う動きが強まったと見られます。

しかしながら今朝のNHKを見た人は全く逆の印象を持ったに違いない。円急落と伝えられている。

日銀の黒田総裁の後任に、日銀の元審議委員で経済学者の植田和男氏の起用が固まったことを受けて、10日のニューヨーク外国為替市場では当面は日銀が金融緩和を続けるとの受け止めから円売りドル買いが強まり、円相場は1ドル=131円台半ばまで値下がりしました。

実際は「乱高下」しているのだが、たった数時間の報道の違いに右往左往するとかえって方向性がわからなくなる。ここは一旦落ち着くべきだ。

市場の大方の予想は「雨宮氏が黒田路線を引き継ぐだろう」というものだった。自民党内にもアベノミクスを否定するなら党内政局になりかねないと牽制する動きがあり雨宮氏以外の本命候補たちが就任するにはかなり高い壁が存在したと言って良い。

一方で本命候補者たちも巻き込まれるのはごめんだという気持ちがあったようだ。候補者たちの間でたらい回しになり雨宮氏も最終的に固辞したのではないかといわれている。

本来ならば黒田路線を継承する雨宮氏が責任を取って政策を継続するかあるいは正常化に動くというのがもっとも丸く収まるやりかただったのだろう。だが、それはできそうにない。そこで岸田総理が考えたのは外から人を連れて来るというやり方だったようだ。ただ外から連れてきた人は内部・外部とのコミュニケーションができない。日銀出身者と財務省出身の国際派をそれぞれ副総裁に宛てて「コミュニケーション担当」とするという布陣になった。

市場は一時これをサプライズと受け止めた。民間からの起用が1964年から96年まで総裁を務めた宇佐美洵氏以来だったためだ。だが植田氏が必ずしも従来路線を否定していないということが周知され始めると徐々に沈静化したようだ。

ただし植田氏の経歴を見ても「速水総裁時代にデフレ再発を恐れてゼロ金利政策解除に抵抗した」という意外に目立ったものはないようだ。

一方で、副総裁に決まった氷見野さんは富山県出身。東大法学部を優秀な成績で卒業し大蔵省に入省。その後国際金融機関の規制を行うバーゼル銀行監督委員会事務局長と金融庁長官を務めている。政治・国際金融機関などとのパイプは太そうだ。一方、内田氏が日銀理事に再任された時には「黒田路線は継続の布石なのではないか」との憶測が出ていた。

このように今回の人事ではやはり総裁よりも副総裁人事の方が重要なのかもしれない。つまり、民間からの総裁登用には有事の際に日銀と財務省がそれぞれ傷を負わなくて済むという配慮が滲む。裏返せば日銀・財務省が今の状態にかなりの危機感を持っているということも伺えるのである。

一旦、総理大臣の国会での答弁を採用し「理論派の新総裁を日銀出身者と財務省出身者がコミュニケーション面から支える」という見方をしてみたもののやはり長年の襷掛け人事がなぜ継承されなかったのかという点は気になる。襷掛け人事は二つの異なる主体が利権を山分けするための構造だからだ。今回はこうした長年の慣習を守れない何らかの事情があったんだろうと考えた方が良さそうだ。

ただし実は日銀も財務省も利権を手放していないのかもしれない。内部のコミュニケーションパスは日銀出身者に握られ、国際的なコミュニケーションパスは財務省に抑えられている。こう考えると日銀総裁は「お飾りポスト」であり日銀と財務省がガッチリと抑えているという見方ができてしまう。

利権確保と責任回避という観点からは非常に考えられている。また自民党内部で余計なハレーションを起こさないための考慮もなされている。ただし有事の際には「誰が責任を取り誰が意思決定しているのだ」ということが問題になるのかもしれない。逆にポストさえ得てしまえば権限はついてくる。つまり「お飾りのつもりが予想外の行動を取るようになった」ということも考えられなくはない。すでに伝えられている通りに「速水総裁のゼロ金利政策解除に対して少数派であっても自分の意見を貫いている」という人だからだ。おそらく植田氏にもそれなりのコミュニケーションパスはあるだろう。

岸田総理は「一山越えた」というところだろうが、今後この異例の人事がどう転ぶかは予断を許さない。

なお形式的には国会承認が必要だが、現在は自民党・公明党が優勢の議会構成になっているため、このまま植田氏が総裁に就任するものと思われる。人事案は14日に国会に提示される。

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