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「公明党が中国に配慮しすぎた結果、国家安全保障戦略が骨抜き」論

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共同通信が安全保障について日本政府が国民の「決意」を求めるという記事を出している。共同通信としては一方的な「決意」の要求が国民の反発を招くはずだと読んでいるのだろう。だが世論はそれとは真逆の方向に進みつつあるように思える。デイリー新潮が「公明党の常軌を逸した「中国へのすり寄り」 「安保3文書」協議では自民案を丸のみ」という記事を出している。つまり政府案は期待通りではなくそれは公明党のせいだと言っている。それが常軌を逸していると言っているのだ。

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共同通信の記事は「政府、国民に「決意」要求 安保戦略、中国にらむ防衛力強化」というものである。元になった文章は「国家としての力の発揮は国民の決意から始まる」だそうだ。そのそも何を決意すればいいのかがよくわからないが、とにかく上(国家)から言われた通りに決意して備えろと言っている。誰が書いたのかはわからないが「全体主義的だ」という批判は避けられそうにない。

岸田総理の防衛力強化はおそらくアメリカの要求によるものだろう。岸田内閣は財政再建派の内閣なので本来は支出は増やしたくないはずだ。だが党内安倍派や世論の反発を恐れており「アメリカの要求に100%応えつつ財政再建もやる」という姿勢で一方的な増税を決めた。決意は全てバイデン大統領に示されており国民への「丁寧な説明」は結論ありきで後付けである。さらに弱さを表現でカバーする傾向にあり表現が一人歩きする傾向もある。

本来なら国家の一方的な「決意の要求」は国民の反発を買いそうである。ところが政治・時事系の記事を書いていると「平和の追求・軍備縮小」の記事にはあまり好意的な反応がない。増税に対する反発はあるのだろうが軍備拡張に対する強硬な反対は目立たないのだ。

岸田総理としてはアメリカに100%応えてみせることで「安倍保守派」を取り込んでいるつもりなのだろう。だがおそらく世論のトーンはそれよりももっと先に行っている。それがデイリー新潮の「公明党の常軌を逸した「中国へのすり寄り」 「安保3文書」協議では自民案を丸のみ」という記事を読むとわかる。新潮はおそらく「中国への敵対姿勢を明確にすべきだ」と主張している。

この新潮の記事はやや複雑な構成になっている。

  • 公明党は安保3文書では自民党の案を全て丸呑みした。
  • ところが「国家安全保障戦略」で中国を安全上の脅威にすることに対して抵抗を見せた。結果的に戦略は骨抜きになった。
  • 親中派と言われる公明党だが山口代表は習近平氏には会えていない。必死にアピールして面会を取り付けるつもりだったのではないか。

最後は憶測で終わっているのだが「山口代表が習近平氏に会いたい」という個人的理由で国家の根幹に関わる方針を骨抜きにしたと読み取れる内容になっており「自民党が公明党と組んでいる限り中国に対して強く打ち出せない」と連立に反対しやすいような構成になっている。そしてそれが「常軌を逸している」と批判しているのだ。

これら一連の記事を総合すると不思議なことになる。

岸田総理はアメリカに対して防衛費を相当増額すると決めた。アメリカバイデン大統領は自分達の負担軽減になり武器も売れるので歓迎している。公明党はこれには反対しなかった。だが中国に対する備えだとは見せたくない、結局何のために防衛力強化をやるのかはよくわからない。だがいずれにせよ請求書は国民に回ってくる。国民はとにかくなんらかの覚悟を求めらている。

岸田総理はこれを国民に丁寧に説明すると言っているのだが、反戦ムラの人たちは「自民党政権は日本を第二の戦前に引き戻そうとしているのだ」との極端な主張を展開することになるだろう。一方で「日本はいくらでも借金ができるのだから中国に対して万全に備えるべきだ」と考えている人もおそらく満足はしていないだろう。

一方自民党では増税回避のために国債償還ルール議論が始まっておりこちらはこちらで財務省・日銀と折り合いそうにない。

岸田氏は政調会長時代にもさまざまな議論を誘発し収拾不能状態に陥ったことがあった。この時には上司である安倍総理や実力者(菅義偉・二階俊博氏)などが収めてくれたのだが、現在の岸田総理には「上司」にあたる人がおらず実力者も黙り込んだままだ。従って落とし所は見えない。

本来なら「防衛増強について賛成か反対か」を決めたいところなのだが、そもそも議論が一体どこに向かって走っているのかがよくわからないため意見の持ちようがないというのが正直なところである。

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