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新型コロナの分類見直し議論で分かった岸田総理への支持率が回復しないわけ

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今週は「岸田総理が2類相当から5類への見直しをやるらしい」との報道をいくつか目にした。だがフタを開けてみると「見直しの検討を指示します」という漠然とした内容に過ぎなかった。なぜ岸田総理の支持率が落ち続けているのかがよくわかる「検討指示」だった。おそらくこのままではマスク自粛警察はなくならないだろう。

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おそらく事前に周囲が宣伝して回ったのだろう。事前にいくつか「分類見直しをやるようだ」という報道が出ていた。「5類へ」と書くメディアが多く、先回りして「公費負担は減らさないでほしい」とか「5類になっても受診できる病院の数は増えないだろう」との予測を流すワイドショーもあった。つまり期待と不安が広がっていた。中には5類ではなく新しい分類を作るべきだと主張する人もいた。

おそらく総理周辺は「総理大臣を全面に押し出すために宣伝を」と考えたのだろう。曖昧な情報となって広がりさまざまな不安と期待を誘発するのは構わない。総理の宣言で見事に解消されていれば「総理大臣が岸田さんでよかった」ということになっていただろう。

だが、実際に総理大臣が打ち出したのは「5類への移行ができないか専門家に検討してもらいます」というだけの話だった。具体的な想定をしていた分だけ「なんだそれだけか」となってしまうのだ。

岸田文雄さんという政治家はかなり慎重なタイプのようだ。周囲に確認をしながら出ないと前に進めない。これまでは上司や周辺に相談してきたがついに「上司のいないポジション」になってしまったために「国民にご相談」をしているのだろう。結果的に「事前に期待されたほどの内容のない発表だった」となってしまう。岸田政権はこれを繰り返している。

おそらく総理周辺には気を効かせたつもりの人がいるのだろう。現在の第八波が収束し、統一地方選挙を無事に済ませ、マスクのない明るいゴールデンウィークを経て、広島サミットの大成功につながるだろうというシナリオを思い描いている。このため周辺は「総理が目指しているのはゴールデンウィーク前の正常化宣言ですよ」と仄めかしたようだ。共同通信が拾って「早ければ4月下旬に5類移行と政府関係者」記事にしている。だがこの政府関係者が「自分が責任を持って4月下旬までに移行を成し遂げます」と約束することはない。あくまでも匿名で期待だけを煽るのだ。

現在は第八波の最中である。医療現場の逼迫が伝えられ、中には乳幼児(5歳以下なので特定はされない)が突然脳症で亡くなったというような悲しいニュースもある。漠然とした不安は依然広がっている。

おそらく最も懸念されるのはこの「漠然とした不安を持ち続けるであろう」人たちである。

現在、国民生活の障壁になっているのは「なんとなく不安で他人にマスクを強要したい」という人たちだ。ほんの一部だが頑迷なクレーマーになりかねないため「他人に睨まれたくないから」という理由でマスクが外せない人が多い。日本人はコロナウイルスではなく一部のうるさい人たちへの対策としてマスク着用を続けている。

おそらく国民は「脱コロナ安全宣言」を出してもらって「政府もこう言っているのだから」という理由でマスクを外したいと考えている。ところがすでに尾身会長は退出してしまい最近は姿を見かけることが少ない。岸田総理も期待を煽るばかりで内容に乏しい。

その意味では加藤厚生労働大臣の対応は最悪と言って良い。これまでもかなり「自粛・自主規制・放置」の対応だったと思うのだが、これまで以上に「自主的な取り組み」をベースにすると言っている。現在の対応を考えると「国はもう知りませんから自己責任でやってください」としか聞こえない。さらに追及を恐れて「原則的に」と逃げてもいる。どこまでも責任を取りたくない人なのだろう。

加藤勝信厚生労働相は記者会見で、分類見直しにより、これまで行政機関が陽性者などに要請や関与をしてきた取り組みと異なり、国民の「自主的な取り組みをベースにしていく」ことになると説明。見直しの時期を「原則として」としたことに関しては、今後、非常に重篤性の高いウイルスに変異した場合などは「前提が変わってくる」と指摘した。

必ずしも国が無策で岸田総理が何もやっていないとは思わないのだが、見せ方という意味では考えられる最悪の対応だと感じる。

漠然とした不安を持っている人は「国は自己責任を押し付けている」とみなすだろう。とはいえ大した抵抗手段を持っているわけではない。彼らはおそらく不安からマスクを手放さないだろうし他人にも強要し続けるのではないかと思う。

誰も責任を取らないという政治的な体質の影響で日本だけはいつまで経っても脱マスクができない。

いずれにせよ工程表づくりは今から始まる。岸田総理はできるだけ早く具体案を提示するとの意向を表明している。

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