ニュージーランドのアーダーン首相退任劇に見る日本の少子高齢化が解決しないわけ

ニュージーランドのアーダーン首相が退任する。このところ支持率が落ちていたため執行部を入れ替えて労働党の政権維持を狙う考えのようだ。だが、このニュースを見ていて「女性のキャリアパス」についても考えさせられた。ニュージーランドは女性がキャリアと子育てを両立させやすい環境が整っている。一方日本は……と考えたのだが「外野からの嫉妬心」にがんじがらめになっているのではないかと思った。






アーダーン首相の足掛け6年(実質5年余)間は主にコロナとの戦いだった。まだ正解がわからない中で徹底的な水際対策をやったことでニュージーランドのコロナ被害は大きく抑えられた。だが、このところはニュージーランドでもインフレが進んでおり支持率は落ちていたようだ。

だがそれでも支持率は高いままである。つまり今ならまだ政権立て直しに余力があると考えたのだろう。アーダーン首相退任のニュースは予想外のサプライズだったこともあり、ニュージーランドドルとオーストラリアドルは揃って値を下げたようだ。

アーダーン首相は首相の役職は激務だったと言っている。今後は全く課題が切り替わり経済対策をやらなければならない。首相自身は燃え尽きを自覚しているが、ここから新しい執行部を作って10月ごろに選挙をやれば労働党は今後も政権を維持できるだろうと考えているようである。

おそらく、アーダーン首相には「全身全霊を傾け国民と向かい合った」という実感があるのだろう。日本の政治家がいつまでも自分の地位にしがみつく理由もわかる。国民と向かい合ったという実感がないためいつまでも「燃え尽き感」が得られないのだろう。首相をやめても派閥領袖の地位にしがみついている人もいれば、そのまま長老として地方政治を掻き回しているような人も多い。

もう一つ特質すべきことがある。結婚を考えているそうだ。アーダーン首相はすでに産休を取得している。つまりパートナーとの間に子供を作っている。だが結婚はしていなかったということのようである。今年は娘が小学校に上がるので、それまでには家庭を作りたいという希望があるそうだ。

日本で同じようなキャリアパスが成立するだろうか?と考えた。おそらく無理だろう。

おそらく阻害要因は嫉妬心だ。女性に上に立ってもらいたくないという人が大勢いる上に古い考えも切り替えられない。このため「女はまず結婚して仕事を辞めてそれから子供を産むべきだ」という考え方が根強い。さらに女性の中にも「私もそうしてきたのだから今の女性は贅沢すぎる」という理由でキャリアと子育てを両立したい女性の足を引っ張る人がいる。若い女性だけが得をしていると考えてしまうのだろう。すでにどちらかを諦めた人も大勢いるのだから「どちらも取る」ような人が許せない。

また、今回のような決定をすれば「難しい課題から逃げて家庭に入るのだろう」などと言われかねない。能力があり実績も残しているうえにまだ若いのだから政治的キャリアの後で良き母親になっても一向に構わないはずだ。日本ではやりたいことをやらせてもらえず燻っている人が多い。彼らは周囲を縛りつけさらにクレームをいう時間だけは豊富に残されている。

だが実はどちらかを諦める必要などないのだ。

おそらく日本で少子高齢化が解消しない理由は財源ではないのだろう。むしろ、異性や同性から向けられる妬みが鎖になって社会全体を縛り上げていることの方が問題だ。

ニュージーランドでアーダーン首相の政治家としての特性や労働党の政権維持能力について議論になることはあるだろうが「女性として結婚より出産の方が先なのはいかがなものか」とか「首相という職業と家庭のどちらが大切なのか」といったような個人を縛り付けるような「鎖の議論」は聞かれない。

能力のある人がきちんとやることをやってくれればいいのだし能力のある人にはそれなりのサポートをしますよという社会なのだろう。その方がシンプルで合理的である。

ニュージーランドや北欧と日本を比較すると「人口の少ない国と人口の多い国を比較するのはいかがなものか」などと言い出す人がいる。だが、そろそろ嫉妬心の鎖でがんじがらめになった社会とやることだけやれば認めてもらえる社会の方のどちらが暮らしやすいかは考えた方がいいのではないかと思った。

参考資料

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