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アメリカの12月の小売売上と卸売物価は行きすぎたインフレからの脱却を示唆。ただしNYダウはさほど反応せず。

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アメリカの小売売上と卸売物価指数が発表された。どちらも市場の予測を超えて悪化が進んでいる。これは「FRBの厳しすぎる金融抑制策」の必要性が薄くなったことを意味しており投資家には好材料だ。だがNYダウはさほど反応しなかったようだ。

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アメリカの12月の小売売上高と卸売物価指数が発表された。内容はそれぞれ下記の通りだ。

経済指標が悪いと投資家は落ち込みそうだが、現在のアメリカの状況は完全に逆転している。アメリカの景気が減速するとFRBはこれまでのような急なペースで利上げをやらなくて済むようになる。だからアメリカの投資家はこれをいいニュースと受け止めるのだ。

好感して株価が上昇しても良さそうなのだがNYダウはさほど反応しなかったようだ。日経新聞の見出しは「NYダウ反発で始まる インフレ鈍化が支え」となっている。一応インフレ鈍化を歓迎する動きはあったが「悪材料がでなかった」だけでさほど反応しなかったというのだ。

記事は次のように説明している。

ただ、インフレ鈍化は前週に出た12月の米消費者物価指数(CPI)でも確認されており、買いを急ぐ動きは乏しい。

つまりすでに材料は出尽くしているため特に市場が動く理由にはならなかったということになる。市場にとってネガティブな反応が出たり予測が大きく外れたりすると株価は一斉に落ち込む。だが、ポジティブな情報にはさほど反応しなくなっている。

ただしもちろん悲観一色ではない。

日経新聞の記事の後段には「長期金利が低下すると相対的な割高感が薄れる高PER(株価収益率)のハイテク株……」という表現がある。全体的に金利が低く抑えられている時には、市場よりも高いパフォーマンスを出している(つまりPERが高い)経営者に自分の資産を預るしか選択肢がなくなる。ところが当然ハイテク株の全てが成長するわけではない。中には失敗する事業も出てくるためリスクを織り込む必要がある。リスクを織り込むとハイテク株の魅力が埋没して薄れてしまう。この状況を「相対的な」という形容詞で説明しているようだ。

いずれにせよハイテク銘柄の中には値を戻しているものもあるようである。ただ、今回の指標がインフレ脱却ではなく不況と解釈されると株価上昇にとっては重石になる。このため比較的不況に強い成長銘柄とそうでないものを選別しようという動きになっているのかもしれない。

ただ、当然「今のところは」ということになる。労働市場は引き続きタイトでありインフレ継続の疑念が完全に払拭されたわけではない。さらに予期しない不況がやってくる可能性も高くなってきた。

アメリカの金融当局は投資家からの反発を避ける必要がある。一方で過度な楽観論がインフレを再燃させかねないこともわかっている。このため複数いる連邦銀行の総裁たちは共同作業で市場に対して難しいコミュニケーションを行っている。例えば「目標が達成できれば高金利政策から退却できる」と主張する人がいる一方で「まだ最終決断を下すには早すぎる」と宣言する人もいるといった具合になっている。

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