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土地バブル汚職疑惑渦中の李在明氏が配下の議員50名を引き連れて検察支部に乗り込む

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韓国の政治は保革対立ということになっている。軍事政権時代と民主化要求の時代が長かった。民主化を求めた勢力が「革新系」ということになっている。朴槿恵大統領の疑惑追及から生まれた文在寅政権は革新系になる。リベラルと表現されることもある。ところがこの革新系が「土地バブル」の問題で揺れている。

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革新系野党「共に民主党」の代表である李在明氏には城南市長時代の疑惑がある。企業から不明朗な協賛金が出ていたのではないかというのだ。検察から李在明氏に出頭要請が出ていた。

背景にあるのは韓国の土地バブルだ。文在寅政権の支持率低迷の理由の一つに「庶民が住宅を手に入れられなくなった」というものがあった。なんらかの理由で土地に投機資金が流れ込み土地や建物の価格が上昇したものと見られる。文在寅政権はさまざまな安定化政策を講じたとされていたのだがどれも効果はなかった。さらに2021年にはソウルの土地開発を担うLHの職員が投機目的で土地を買っていたとして問題になっていたそうだ。

お金と手段を持っていた人たちが土地取引に夢中になっていたのが文在寅政権時代だったということになる。

今回の疑惑では「土地の用途変更」で便宜を図ってもらう見返りとして企業が城南市のサッカークラブを応援したのではないかと疑われているそうだ。

李在明氏には国会議員として不逮捕特権があるそうだがおそらくイメージダウンは避けられない。庶民の中には「自分達が住宅を手に入れられなくなったのは誰かが値段を釣り上げているからだろう」と疑っている人たちがいる。

李在明氏はこれを「政敵を追い落とすための陰謀」と位置づけ無罪を主張した上で配下の議員を50名引き連れて「正々堂々と」検察支部に出頭したそうである。いかにも韓国らしい劇場型演出と言える。保守政権は自分を追い落とそうとしているが自分には大勢の味方がいると示したかったのだろうか。

確かに保守系の尹錫悦大統領は検察出身である。つまり「尹錫悦大統領が検察に捜査させている」という主張には一部もっともらしいところがある。今回の読売新聞の50名を引き連れて……という記事には書かれていないのだが、革新系のハンギョレ新聞の幹部が解雇された。代表も責任を取って辞任したそうだ。城南市の都市開発に関する不正疑惑の中心人物から9500万円を受領していたのだというのが解雇の理由だそうだ。

もちろんハンギョレ新聞と李在明氏になんらかの癒着関係があるということが証明されたわけではない。だが、本来政府を監視するはずのメディア幹部も実は癒着構造の一部だったということになる。記者たちが自由に城南市の問題について取材ができていたのだろうかということになりいかにも具合が悪い。

つまりこの話は政界だけでなく「実はメディアもその癒着構造の一部だったかもしれない」という問題になりつつある。韓国では検察も「政治ゲームの一つ」であるために全く政争と関係がないとも言い切れないが、リベラル系が「健全だった」とも言えないようだ。特にメディアの関与はリベラル系にとっては痛い。

全体像を見ると「政治を監視するはずのメディアも実は政治家と一蓮托生だったのだのかもしれない」ということになる。ただ犯罪を抑止するはずの検察もパワーゲームの一つのプレイヤーになっている。これでは国民も一体何を信じていいかわからなくなってしまうはずだ。

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