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尹錫悦大統領の「事実上の核共有」報道がバイデン大統領に秒で瞬殺される

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やはり尹錫悦大統領の完全な勇み足だったようだ。先日、尹錫悦大統領が「事実上の核共有」を検討しているとする報道があった。これについて問われたバイデン大統領は「ノー」とだけコメントした。まさに「秒で瞬殺」だ。北朝鮮が着実に核兵器開発に前進を続けているが米韓の意識はかなりズレているようだ。韓国側の期待値が過剰なのかもしれない。

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まず昨日の投稿をおさらいする。朝鮮日報のインタビューで尹錫悦大統領は核兵器を含めた軍事作戦について言及し「作戦・演習に共同参画できるようにアメリカに働きかけている」と説明した。この説明の時に用いられたのが「共同企画・演習は事実上の核共有」だ。保守系は「これは事実上の核共有だ」と解釈した。だが革新系の新聞の中には「NATOですらアメリカの核兵器に関する最終決定権はアメリカにあるのだから、おそらくこんなことは無理であろう」と懐疑的な立場の見出しをとったところもあった。

この報道を踏まえた記者が大統領に事実上の核共有について質問した。バイデン大統領の答えは短く「ノー」だった。

アメリカ合衆国の念頭にあるのは中国との競争だろう。このため地域に介入する材料として朝鮮半島状況は使えると見ているのではないかと思う。つまり、韓国などを引き連れて大々的に軍事演習をすることが最大の目的で、議会政治に慣れたバイデン大統領が好みそうな手法だ。つまり安価でプレゼンスを宣伝できると期待されているのだ。

アメリカは韓国、日本、オーストラリア、ニュージーランドと共に行動することで「世界の中心にいるのはアメリカであって中国ではない」ということを示したいのだろう。

ところが尹錫悦大統領は「あの」韓国の大統領だ。あくまでも一般的な傾向だが小さな話を大袈裟に話す傾向がある。文在寅大統領時代の米韓外交は「南北統一」という大きすぎるビジョンに振り回されてきた。「ノーベル平和賞も夢ではない」とばかりにトランプ大統領を板門店に立たせることにも成功しているが結果的に北朝鮮の核兵器開発スケジュールには何の影響も与えなかった。今度は韓国は、NATOにおけるヨーロッパ諸国と同じ「同格の同名のパートナーだ」という一方的で大きすぎるビジョンに振り回されることになるのかもしれない。

保革問わず韓国政治には大国を後ろ盾にして自分たちの影響力を強く打ち出したいと言う思惑があるのだろう。当然これは北朝鮮や中国を刺激することになりアメリカの巻き込まれリスクを増大させるだろう。バイデン大統領はこうしたリスクに対してあまり関心がなさそうである。

ただ今回の「ノー」は文化的には最悪の選択肢だ。尹錫悦大統領のメンツを正面から「ノー」の一言で潰してしまった。韓国がアメリカに一方的に依存しているだけなら問題にならないのだろうが「アメリカが韓国に協力をお願いする立場」になると話は複雑化する。アメリカが強かった時代しか知らないバイデン大統領は「持ちつ持たれつ」の外交は苦手のようだ。共同通信によれば、尹錫悦政権側は「記者の聞き方が単純すぎただけで実際にはさまざまな話し合いが進んでいる」と国内向けに釈明している。

いずれにせよ、アメリカ合衆国は東アジア地域で日本や韓国をパートナーとは見ていないということは明白である。日本人は薄々これに気がついているがアメリカには聞かないことにしている。傷つきたくないのだろう。ところが韓国人はこれを相手に聞いてしまうのである。そして結果に傷つき時には反発する。

日本でもNATOのような核共有の議論を始めるべきだという人がいる。おそらくそれが進展することはなく少なくともバイデン大統領の2年間にはなさそうだ。おそらく考慮すらされないだろうということはよくわかった。あくまでもアメリカ大統領が持っている専権であってそれを他国と共有するつまりはないわけだ。

さて、岸田総理の訪米が決まったようだ。ホワイトハウスからロイターに「告知」があり、それを共同通信が伝えている。あくまでもアメリカ側としては「アメリカの招待」で日本が協力を申し出るという形にしたいのだろう。ロイターは「ホワイトハウスは詳細を示さなかったが読売新聞などが安全保障に関する対話だろうと伝えている」と短く補足している。

日本側はあくまでも自分達が傷つかないように「自発的に協力を申し出る」体裁にするのだろう。これまでも期待が薄々すれ違っているということはよくわかっているはずだが「アメリカの指示に従って日本が予算措置を講じた」などとなれば自公政権の正当性が揺らぎかねない。岸田総理には「自発的増税でアメリカを支える」と示す以外には選択肢はない。

それでも「防衛増税が決まったのはこの会談に間に合わせるためだった」というような分析が飛び交っている。つまり、韓国とは違った方向ではあるが日本側の期待も一人歩きしない状態になっていると言えるだろう。つまり「増税してアメリカに差し出せばこの先もアメリカは日本を守ってくれるだろう」という希望的観測にしがみつきたい人たちが大勢いるのである。日本では日本側がコントロールできる「敵基地攻撃能力(反撃能力)が本丸だ」などと言われているが、おそらく中身はまた違ったものになるのかもしれない。

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