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パリのクルド人をターゲットにした銃撃事件がクルド人の騒乱に発展

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パリの長距離列車が発車する北駅は旅行客にもお馴染みのエリアだ。この北駅近くの10区にあるクルド人の文化センターが襲われ複数の死者が出た。クリスマスを前にした一角は大騒ぎになっている。反発したクルド人たち騒乱を起こし警察との間で小競り合いがあったようである。

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ヨーロッパはどこでも長距離列車の終着駅近くに移民が多く暮らす場所がある。北駅の周辺にもアフリカからの移民やクルド系の人たちが多く暮らしているようである。NHKの報道を見ると移民たちが不安を感じていることがわかる。移民に対して危害を加えようとした男性がなぜ早期釈放されたのかと疑問に思っているようだ。

容疑者は69才の白人男性で最近刑務所から出てきたばかりだと言う。容疑や組織的背景は明らかになっていないが以前に人種差別的暴力で起訴されていた。2021年12月8日にベルシーという街で移民テントに剣を持って押し入ったそうである。フランス24によればこの男は元列車の運転手だったという。

フランス政府の関心はこれが組織的な事件かという点にあったようだ。組織的な背景は確認されておらず「テロではない」という立場である。極右との関連は確認されていないそうだ。フランス政府の心配はクルド人の安全ではなくフランスの政治や社会が極右に飲み込まれてしまうことなのだろう。

だがクルド系コミュニティはこの事件にひどく憤った。国家制度によって十分に守られていないという不満がある。だがそれだけではなかった。ウクライナの戦争が暗い影を落としている。

再選が危ぶまれているトルコのエルドアン大統領はシリアにいるクルド人を名指しし「彼らがトルコの治安を悪化させている」と主張している。フランスのクルド系コミュニティはフランスが十分にエルドアン大統領に対して強いメッセージを発していないことにも不満を持っているようだ。つまり、対トルコ政策という外交問題に対しても反発しているのである。

現地を視察したジェラルド・ダルマナン内務大臣に向かってクルド人のデモ隊が規制線を突破しようとし、警察が催涙弾を使用した。デモ隊は物を投げたりゴミ箱に放火したりしてちょっとした騒ぎが起きたようだ。

事件そのものの組織的背景は明らかでなく「ローンウルフ型」の人種差別的犯罪である可能性が高い。だがこの一件が引き金となりフランスやヨーロッパのクルドコミュニティの不満が爆発した形である。トルコはNATOの一員であり北欧の二カ国がNATOに加盟するためにはトルコの承認が必要である。再選を狙うエルドアン大統領はこのカードを最大限に利用するつもりのようだ。ヨーロッパ各国にクルド人組織の引き渡しなどを求めている。彼らを大々的に処罰することでトルコ国民の気持ちを引きつけたいという狙いがあるのだろう。

「多様性の確保」と口で言うのは簡単だが受け入れに納得しない人や十分に受け入れられていないと言う人の不満が簡単に解消されることはない。さらに遠く離れたウクライナの情勢も影響してクリスマス前のパリでは大きな騒ぎになった。ワールドカップがらみのモロッコ系とフランス系サポーターのいざこざも記憶に新しいが、移民社会のフランスはこのような複雑な問題を一つ一つ解決してゆくしかない。

参考文献

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