そこそこ統計が読める人たちが現在のコロナワクチン政策にあまり意味がないことを見抜いてしまう理由

共同通信で不思議な記事を読んだ。10代の若者の方がコロナの抗体保有率が高いという記事である。この記事には重要なメッセージがある。「国立感染症研究所の鈴木基・感染症疫学センター長は「全体の保有率は米国や英国に比べて低い。特に高齢の人で抗体を持っていない人が多いことに注意が必要」としている。つまり抗体で守られていない高齢者が大勢いて危険かもしれないと警告しているのだ。だが共同通信はこれを正面から伝えることはできていない。不利益分配が平等にできないからだ。






専門家は高齢者に注意喚起したいのだが

まず記事を素直に読む。直近に自然感染が少なかった地域ほど抗体を持っている人が少ない。だからリスクの高い人は注意しなければならない。特に流行がなかった地域の高齢者が危険である。

危険性が高くなければわざわざこんなことをいう必要はない。杞憂に終わるかもしれないが用心するに越したことはない。

だがここから先が「不都合な真実」になる。

実は若者はすでに抗体を獲得している人が多い。つまり無症状感染者がそこそこ多かったことを意味している。特に沖縄など感染が拡大した地域の抗体保有率は高いそうだ。自然感染で抗体を獲得している人がいるのだ。ネットワークの中に抗体保有者が多ければ多いほどウイルスは広がりにくくなる。つまり感染拡大が抑止されることになる。

致死率が1/30に下がっているという直近のデータもあり必ずしも怖い病気ではなくなっている。急性期の症状緩和に葛根湯が効くという話もあるそうだ。研究者は古くから使われている薬で安全性も高く安価であると言っている。どれもネットの陰謀論ではない。きちんとした大学での研究である。

つまりこれらの知見を総合すると、新型コロナは徐々に「普通の病気」に近づきつつあるという結論が得られる。普通の病気とは「免疫で対処できる人が多い」と言う意味合いである。決して熱が出ないとか寝込まないと言う意味ではない。さらに若者にとっては普通の病気でも高齢者にとってはそうではない。

ありのままを言ってしまうと若者の協力が得られなくなる

だがこの知見は「不都合な洞察」ももたらす。若年層にとっては普通の病気になりつつあるが高齢者や持病のある人には依然危険なウィルスだ。

ではなぜこれが不都合な洞察なのかを少し丁寧に見てゆこう。

  • 高齢者は若者の協力なしにはウイルスから身を守ることができない。「盾」があまり持続しないからだ。また感染した場合の耐性も低い。
  • 若者には耐性がある人が多く「盾」を自然獲得できる可能性が高い。これは統計データから読み解くことができる。共同通信の記事はそのことを統計的に伝えている。
  • おそらくワクチン由来の「盾」はそれほど長く持続しない。鈴木基センター長が警告しているのはそのためだろう。高齢者の中にはすでに5回目が終わった人がいるが「盾の定着率」はおそらく高くないはずだ。ワクチンの頻度が短縮され3ヶ月になったのはおそらく「盾」が長続きしないことに専門家が気がついたからだろう。さらに財務省と厚生労働省は国費負担の見直しを検討している。「盾」は持続しないがこれを国で援助していては国の財布が持たないということに気がついたのだろう。

平等な「不利益分配」ができないため、本当に大切なメッセージが埋もれてしまう

ワクチン接種には時間が必要だ。副反応で寝込む人も出てくる。つまりワクチン接種には不利益がある。しかしワクチン接種がなければ高齢者が不利益を被る。不利益が平等に分配できないというのが問題になっている。

「頻繁にワクチンを打つ」という不利益を若者に負担してもらわないと自分達が助からないと直感的に感じている人が多いのだろう。情報が曖昧なためにどれくらいの協力が必要とされているのかもよくわからない。さらに言えば国をあげてワクチン政策に邁進しており「ほぼ一本足打法」と言っていい状態になっている。つまり国はワクチン政策を否定したり放棄したりできない。

このため「これは何かおかしいのではないか?」というと科学的な抗体の話で抵抗する人が出てくる。抗体にはN抗体とS抗体があるそうだ。この統計はN抗体の話をしているだけだからS抗体はきちんと作られている可能性があるというわけだ。確かに記事には「感染由来の抗体保有率」と書いてある。

だが「ワクチン由来の抗体が盾として機能している」なら鈴木センター長がわざわざ「気をつける必要がある」と発言する意味がよくわからなくなる。問題は抗体の科学的な区分ではない。実効性のある「盾」が存在するかである。

つまり、鈴木センター長は第8波が来た時に高齢者が守られていない可能性があるという注意喚起がしたい。だが、ワクチンを5回も打ったのに効果がないとは何事か?となりかねないためそれが明確に打ち出せないのである。

この報道における、鈴木センター長の発言がなぜそれほど積極的でないのかはご本人に聞いてみないとわからない。あるいは「可能性がある」だけで「実はそれほど心配しなくていい」可能性も高い。だが逆に「ワクチンを打ったから自分は大丈夫」と考えている人が危険にされされているということも考えられる。

おそらく厚生労働省は「感染予防には効果がない」ということには気がついている

厚生労働省はすでに「海外から帰国する手続きが便利になる」ファストトラック制度があるから3回目接種しておくようになどと勧めている。新型ワクチンが予防役に立つというわけではなく「面倒なことを避けられるから」という打ち出しが一部始まっているのだ。

首相官邸は岸田総理が5回目を接種したという情報を流している。だがよく読むと「重症化予防効果が高い」としか言っていない。感染しないというわけではなさそうだ。

最近、厚生労働省の職員が新型コロナワクチンをあまり打っていないのでは?というフェイクニュースが流れた。SNS経由の発信で発信者はすでにこれを撤回しているようだ。だが厚生労働省は職員の接種率を公表していないのもまた確かである。毎日新聞は根拠不明としている。つまり報道として確かめようがないということである。

あまり科学的とは言えない「反ワクチン運動」が流行したせいで合理的なワクチンに対する疑念も表明しにくくなっている。ビデオ共有サイトではワクチン懐疑論は削除対象になっているそうである。確かに「ワクチンで守られている高齢者が少ない」という発言はこうした非科学的な反ワクチン運動を刺激しかねない。

結局誰もはっきりしたことは言わないのだが仮に若者の協力が必要ならば政府はそのことを正面から若者に発信すべきだろう。うっすらと気がついている人たちが多く結果的に接種率が下がっている。3回目の接種が済んだ人は67%であり4回目以降を受けた人が4,900万人という統計だ。

ただ国はこれまでも国民のを信じて情報提供するようなことをやってこなかった。厚生労働省に入省できるような人は「一般の理解度はそれほど高くない」ということを嫌というほど知っているのだろう。逆に「統計を使えば印象操作できる」ということを学んでしまったようだ。

今回この件について調べていてプレジデントオンラインが「元厚労省官僚が警鐘「ワクチン接種期に震災以上の超過死亡」政府やマスコミが黙り込む”不都合な真実”」という記事を出していることを知った。タイトルは少し煽り気味だが、厚生労働省で統計を扱っていた人が「統計は印象操作に利用されている」などと主張している。

いずれにせよ、そこそこ統計が読めてそこそこネットに出回っている根拠が確かな記事が素直に読める人たちは国のワクチン接種推進の裏にある動機に気がつき始めているだろう。政府の言うことは適当に聞き流しても構わないと思っているのではないかと思う。もっと必死になれば給付金などを使って必死に訴えてくるだろうというくらいの気持ちでいるのかもしれない。

今こそ力を抜いて必要な対策に集中すべき……なのだが

もちろん軽症でもきつい思いをするのだから基本的な感染症対策は続けるべきだろう。今年は新型コロナだけでなくインフルエンザの同時流行もありそうだ。普通の病気とはいえ病気は病気である。特に流行期には人混みに出かけないなどの配慮も必要だ。

だが、何か恐ろしいことが起こるのではないかと闇雲に恐れていては疲れ果ててしまうだけである。必要のないところでは力を抜きつつ有効な対策に集中すべきだろう。

行政の対応もいい加減になってきた。小池百合子東京都知事は表面的には警鐘を鳴らしつつも「その場その場で適当に判断する」と言っている。これを「総合的に判断する」と表現している。

ただし小池さんは「普通の病気になった」とは言わない。仮にそうでなかった場合に責任は取りたくないのだろう。結局気がついている人はうっすらと気がついているが誰もそのことを言い出さないという状態になっているのではないかと思う。

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